(143)SFなファンタジーな現実?

 9月の連休、いわゆるシルバーウィークという事らしいが、実際はただの3連休でしかない2023年9月の今日、僕は暑さから逃げる様に、長野県までやって来た。


 以前にこのエッセイでも語ったかも知れないが、僕は「道の駅」を巡るのが趣味だったりする。


 今回も色々な道の駅を巡った訳だが、今回はかなり「当たり」だった気がするな。


 素敵な道の駅は沢山あるが、長野県の「美ヶ原高原」という所は特に素晴らしかった。


 どう素晴らしいかは是非ともググッてみて欲しいと思う訳だが、とにかく景色が素晴らしい、絶景なのだ。


 標高2000メートルに位置する公園であり道の駅でもある場所で、駐車場に車を停めて、最初に見える景色が「雲海」だ。


 公園は「芸術の丘」みたいになっていて、山頂にはゴシック調の砦がある。


 その建物の屋上からの景色は、まるで天空の城から下界を見下ろしたかの様だ。


 涼しい風が吹き抜ける丘の上は、地上が猛暑である事を忘れさせてくれる。


 まるでラピュタの城にでも迷い込んだのかと思える程に、全身でファンタジー世界を満喫出来た気分だ。


 が、リアルなファンタジー世界を体感出来たおかげで、これまでの自分の作品のリアリティに不安を覚える事にもなった。


 地上が真夏日だというのに、標高2000メートルはとても涼しい。


 そして、更に上空に行けばもっと寒くなるし、宇宙に到達すれば氷点下の温度しか無い空間に至る訳だ。


 太陽の表面温度が6000℃くらいあるのだと学校で学んだ気がするが、標高が高い場所に行くという事は、太陽に近づいているという事なのに、どうしてどんどん寒くなるんだろうか?


 SFとはサイエンスフィクションなので、科学的である必要がある。


 そしてファンタジーとは空想物語なので、自由な世界観が許されているのだろう。


 で、ファンタジーにもリアリティを付加しようとSFファンタジーに仕立て上げた作品などは、ファンタジーでありながら、科学的な根拠に基づく環境設定をしていた訳だ。


 が、道の駅の山頂という環境は、僕の知識不足を剥き出しにしてゆき、そんな何気ない現実と知識の矛盾が姿を現した訳で。


 ううむ、太陽の光に当たると暑いのは確かだし、標高が高いと気温が下がるのも確かだし、熱い空気は上昇し、冷たい空気が下降するのも事実だし、なのに高い標高のほうが地上よりも冷たいのも事実だ。


 僕はファンタジーな雰囲気の空間で、科学的な事に頭を悩ませている訳だ。


 こりゃあ色々と勉強が必要そうだな。


 何で僕はSFファンタジーなんかに手を出してしまったんだか。


 色々思う事はあるが、だけどやっぱり、現実に僕は雲海を見下ろしながら肌寒ささえ感じている訳で。


 この感覚をうまく表現できれば、ファンタジーがよりリアリティのある世界になって行くのだろうな。


 うむ。


 さっぱり考えは纏まらないが、宇宙や物理等について、もっと学びたいという気持ちにはなれたかな。


 そんな週末を過ごしながら、青空を見上げて宇宙を思う僕なのでした。

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