(139)感染症?

 何故だ!?


 きっかけは分からない。


 何の予兆も無かった。


 しかし今、ずっと頭の中でが巡っている。


 は僕の頭の中を何度も繰り返して行き来しており、僕は単純な梱包作業をしながらを頭の中から振り払おうとしていた。


 僕がを好きかと訊かれれば「全然好きじゃない」と答えるだろう。


 そもそもが流行していた時にも、ほとんど興味を持たなかった。


 世界的に流行したなんて話も聞いた事はあるが、僕はが流行する理由がさっぱり分からなかった。


 なのに今、僕の頭の中でがずっと鳴りやまないのだ。


 何故だ?


 何故、今さら何だ?


 今や世界中の誰もに興味など持っていないであろう、「忘れ去られた歴史」とでも言うべきものに、何故僕は今になって侵されているのか?


 は、単調なリズムと感情の無い男の声で僕の頭をループして、頭から振り払おうと目を瞑ると、瞼の裏に無表情で身体を揺する、ガラの悪そうな男の姿が浮かぶ。


 くっ!


 僕の頭はどうしてしまったんだ!?


 こんな情景を思い浮かべたい訳じゃ無いのに!


 なのに全然頭からが消えてくれない!


 知らないうちに、誰かに感染うつされたのか?


 だとしたら、これは他の誰かに感染させれば僕だけでも助かるのだろうか?


 やるか?


 やっちまうか?


 ・・・・・・・・・


 ペンパイナッポーアポーペ~ン。


 ズンチャ、ズンチャ、ズンチャ・・・


 あ、だれかに感染うつしたせいか、少し楽になったかも。


 ふうっ。


 ・・・それにしても、恐ろしい感染力だったな。


 危うく、脳がどうにかなってしまうところだった。


 皆さんも、どうか恐ろしい感染症には気を付けてくださいね。

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