(134)日本語

 仕事で英語の資料を作らなければならない事が増えてきた。


 なので、インターネットで自動翻訳してくれるサイトを使う事も増えてきた訳で。


 ところが、自動翻訳には欠点があって、入力した日本語を、トンチンカンな解釈で翻訳する事がある。


 その原因の多くが「情報不足」だと認識している。


 例えば、「右手をご覧下さい」という日本語。


 日本人なら、「右側の景色を見ればいいんだな」と理解するのだが、自動翻訳では「Look at the right hand」になる。


 アメリカ人がそう言われれば、まずは「誰の右手を見ればいいんだ? 自分のか? それともあなたの右手?」という疑問が湧く事だろう。


 英語を話す人にとっては、主語や動詞が曖昧な言葉は理解が難しい訳だ。


 そう言えば、子供の頃に父親が母親に、

「おーい、お茶!」

 と言ってるのを思い出す。


 コレを英語で「Hey tea !」などと訳そうものなら、アメリカ人は訳が分からない事だろう。


 それに似た例で、雨の日のコンビニ等で「水濡れ注意」などと書かれている事がある。


 日本人は「床が濡れていると、足を滑らせるかも知れないので注意しなくちゃな」と無意識に考えられるのだが、英語圏の人は「雨に濡れて店に入っちゃいけないのか?」とか「天井から水濡れでもしているのか?」など、色々な事を考えてしまうそうだ。


 その外国人によると、


「日本人はどうしてこんなに少ない情報で全員が同じマインドになれるんだ?」


 との事で、日本人が忍者の末裔なのか、はたまたエスパーなのかと本気で信じそうになったらしい。


 でも、そう言われれば確かにそうだ。


 日本語の日常会話って、主語が無い事が多い気がする。


 英語で主語が無いなんて致命的な情報不足だろう。


「愛してる」という言葉も、英語だと「I love you」と、きっちり主語が記される。


 そうした主語さえ無くても通じてしまう日本語というのは、実はものすごくユニークな言語なのかも知れないな。


 そんなユニークな言語で物語を綴ろうとするせいか、物語の面白さを表現する為の選択肢が多すぎて、僕を悩ませているのかも知れないな。


 でも、日本語の可能性は無限大だ。


 これからも、日本語に感謝しながら執筆しなくちゃな。


 英語の資料作成が面倒すぎて、現実逃避中の僕は、そんな気持ちを新たにしているのです。

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