(95)オカオモチツイタ

 僕はかわいいほっぺが大好きだ。


 老若男女は問わない。


 が、わかいいほっぺを所有している率が圧倒的に高いのは、やはり赤ちゃんや幼児だろう。


 ちなみに、ただ愛でているだけでは無く、僕は子供達をリスペクトしている。


 何故なら、彼らの発想力は「脈絡不要の無限大」だからだ。


 ある日4歳になる甥っ子が、かわいいほっぺを赤くして母親である我が妹に


「おかおもちついた~」


 と言いながら抱っこをせがんだ。


 時期が年始という事もあり、妹は


「おかおもち? どんなお餅?」


 と甥っ子を抱きながら質問をした。すると甥っ子は、話が通じていないと思った様で、


「おかおもちついたの!」


 と半ベソをかきながらグズりだす。


「うん。だから『おかおもち』って何?」


 と聞き直すが、甥っ子は赤いほっぺをますます赤くして


「おかおもちついたの! 『痛いの痛いの飛んでけ』ってやって!」


 と怒り出す始末。


 つまるところ、「尻餅をついた」という言葉の応用で、転んで顔を床に打ち付けた事を「お顔餅ついた」と表現した訳だ。


 それをやっと理解した妹は、赤くなった甥っ子のほっぺをムニムニしながら


「痛いの痛いの飛んでけ~」


 とやっていた訳だが、4歳とは思えない応用力を見せた甥っ子に、僕は畏敬いけいの念さえ感じている。


 いつの間にか「常識という名の型」にはまってしまった事を痛感した僕は、現在執筆中の「地球が思ったよりもカオスだった件」に登場する子供達について書きながら、そんな事を思い出している。


 ほんと、子供達のこの無限の発想力を、健やかに育ててあげられる社会になって欲しいと心から願うばかりですね。

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