(94)愛ゆえに

 今日も赤坂の顧客のところへコンサル業務でお出かけした僕。


 その会社のマスコットキャラが大好きな僕は、コンサルの合間の雑談で、先方の担当者と色々キャラクターの魅力について語っていたのだが、何と来週そのキャラクターグッズをいくつか頂けるという話になった。


 社内に設置されたガチャガチャのカプセルに入る程度のアイテムなのだが、社員や業者には「一人1回」というルールで、そのガチャガチャを回してキャラクターグッズを無料で頂けるというのが昨年にあり、実は2つ程缶バッヂを頂いた僕。


 その愛らしい缶バッヂは、既に僕が愛用しているリュックに装着しているのだが、僕があまりにそのキャラクターを愛でているものだから、顧客が気を利かせてくれた様で「社内でキャラクター獲得の権利を余らせている従業員数名から、あなたにその権利を譲りたいという申し出がありました」という事になったそうで、今日コンサルの業務がひと段落したという事もあり、来週はガチャガチャを何度か回させてもらえるらしい。


 おお・・・


 何と言う心優しき人達なのか・・・


 と僕は感謝の言葉を並べまくっていたのだが、顧客の話では、


「あなた程ウチのキャラクターに愛情を持ってくれている人は他に居ませんからね」


 という事らしい。


 ・・・そうなの?


 こんなに愛らしいキャラクターなのに。


 こよなくプニプニほっぺを愛する僕のセンスからすれば、世の中の「ゆるキャラ」を含め、このキャラクター程愛らしいキャラクターは他には無いというのが僕の見解なのだが。


 なのに、僕よりこのキャラクターに愛を注ぐ人が他に居ないだって?


 そんなバカな。


 とは思うが、誇らしくもある。


 だって、ジャンルはどうあれ、僕が「日本一」って事だもんね。


 一体何のキャラクターの事を言っているのか、読者の皆様に詳しくお話できないのがもどかしくはあるのだが、とにかく、日本国民なら誰でも知ってる企業のマスコットキャラクターなのである。


 都内に居ると、このキャラクターのラッピング車両がたまに街中を走っているのを見かける人も居るとは思うが、この会社のサービスの契約をしていない人が出会う事が無いキャラクターなのは確かだ。


 僕はこの会社のサービスの契約をしている訳では無いのだが、たまたまコンサルタントとして5年くらい前からお付き合いをさせて頂いており、そしてこのキャラクターが登場した時からの熱烈なファンなのである。


 物欲の希薄な僕が、このキャラクターグッズに関しては欲しくて堪らない。


 僕の中で癒しの頂点に君臨するキャラクターであり、その地位はこの5年間、ちっとも揺るがなかったし、きっとこれからも揺るがない。


 ああ、いいなぁ、こういうの。


 生きる希望が湧くもんな。


 早く来週にならないかな。


 ガチャガチャ何回くらい回せるんだろうな。


 いつか、このキャラクターの魅力について語り合える仲間に出会いたいものだと、そんな事を考えている今日の僕なのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る