(74)雨音

 いやあ、今日の東京は本格的に雨が降ってましたな。


 祝日のオフィスで仕事をしていた僕ですが、雨音を聞きながら仕事をすると、何故だかすこぶる仕事が捗る訳でして。


 いやぁ、好きなんですよねぇ。


 雨の音。


 心が落ち着くというか何と言うか、集中力が増す気がする訳ですよ。


 今日は面倒極まりない、帳簿付けなどのデスクワークをしていたのですが、溜まりに溜まった領収証等の仕分けもずいぶんと捗った訳でして。


 これが夏の日照りで蒸し暑くなったオフィスだったら、おそらく帳簿を途中で投げ捨ててるんじゃないかと思える程の量だったのですが、雨音を聞きながら、静かなオフィスでペラペラと領収証をめくる音が聞こえる空間というのは、なかなかに落ち着く空間でした。


 しかし、この雨音。


 これを文章で表現しようとしたら、何と表現するのが良いのだろうか。


 しとしと、ザーザー、ゴー! みたいな擬音で表現すれば、それとなく雨量が分かりそうな気はするが、この心が落ち着く感じを表現する良い文章というのはどんなだろうか。


 雨音にも色々あって、道路に溜まった水を通り過ぎる車が巻き上げる様な音もあれば、ベランダにポタポタと入って来る飛沫の音もあれば、ガラスを叩く雨粒の音なんてのもある。


 それらが入り混じって奏でるハーモニーを、全てひっくるめて「雨音」な訳で。


 そういえば、僕は子供の頃から雨が好きだったな。


 みんなは「外で遊べなくなるから雨は嫌い」等と言っていたが、僕は雨が降ると、窓際に座ってカーテンにくるまり、いつまでも飽きずに雨音を聞いている様な子供だった。


 子供の頃から癒しを求めていた訳ではなかったとは思うが、何かしら本能的に雨音を「心地よい」と感じていたのだろうな。


 水道の蛇口をひねっても水は出るし、お風呂でも水音は聞けるのだが、雨音だけは、何か特別な気持ちにさせてくれる魔力の様なものがある気がする。


「水には感情がある」と説いた日本の研究者「江本勝」という方が、1994年に水の結晶の撮影に世界で初めて成功した事例がある。


 毎日「ありがとう」と感謝を続けたコップの水と、「バカ野郎」と罵倒し続けたコップの水の結晶を比較すると、感謝を続けたコップの水の結晶はとても美しい形になり、罵倒し続けた水は歪な結晶になったというものだ。


 もしかしたら「雨水」は、優しい心を持って天から降って来るのかも知れないな。


 僕は思うのですよ。


 ファンタジーによく出て来る「水の精」ってやつ。


 あれって、実在するんじゃないのかなってね。


 皆さんは「雨」は好きですか?


 たまには雨音を聞きながら物思いにふけってみるのも、いいもんですよ。

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