(65)バランス
新しい小説を書こうとプロットを起こす時、色々な設定も考えるし、シナリオも考えていく訳だが、僕は「読者に何を伝えたいか」を考える事から始める。
どういう事かというと、まあこれは少し哲学的な事になってしまうかも知れないのだが、「読者の今後の人生の糧になる様な要素」について考えていると言ってもいい訳で。
例えば、「現代社会を生きて行く上で、世の中の仕組みを知って欲しい」とか、「偉人の名言を知って欲しい」とか、「価値観の一助にして欲しい」といった事を考えているという感じだろうか。
実際に僕もこれまでの人生で、読書によってそうして心を育てて来たところもある訳で。
それは小説だったり詩集だったり、漫画だったりする事もある。
だいたいは登場人物のセリフから得る事が多いのだが、そんな中でも心に刺さった言葉は沢山あって、
「取り合えば足りない物も、分け合えば余る」
「好きになりたければ、いい所を数えなさい。嫌いになりたければ、悪いところの数を数えればいい」
「協力と依存は別物だ。そして、謙虚と卑屈も別物だ」
「人は何故、失ってから『あれがそうだった』と気づくのだろう」
「恋とは相手に求める気持ちの事で、愛とは相手に捧げる気持ちの事だ」
などなど他にも沢山あるのだが、そうした名セリフや名シーンから影響を受ける事で僕の考え方やその後の人生に影響を及ぼす事もあったりする。
で、そうした読者への影響力の様なものを考えながら小説のプロットを起こす訳だ。
が、これがなかなかに難しい。
こうした事を考えていると、どうしても哲学的になってしまうのだが、こうした哲学を突き詰めて考えていくと、どうしても「極端な表現」になってしまうのだ。
でも、極端な表現というのは、読者の価値観から離れすぎて共感を得られない事もしばしば。
だからといって読者に迎合する様になると、これまた曖昧な表現しか出来なくなってしまう。
このバランスが難しいのだ。
恐らく全ての「作り手」の人達は、こうした「産みの苦しみ」というものを感じているのだろうな。
僕もそうして苦しみはするが、そうして生まれた作品は自分でも好きになるし、そこには充実感や、読まれて評価される事への幸福感が伴う。
これも「苦しみと幸福感」のバランスなのだろう。
そう、何事もバランスが大切という事なのだろうな。
きっと今の僕が眠いのも、起きている時間と眠っている時間のバランスが悪いのだ。
そういえば「ワークライフバランス」なんて言葉があったっけな。
仕事のし過ぎも良くないって事だよね。
という訳で、今日は一日公園で散歩でもしてみるかな。
何事もバランスだもんね。
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