(66)メガネ

 僕の目は、乱視、近視、老眼のコンボで、メガネが無いと小さな文字は見えないし、数字も「5」「6」の違いが見にくかったりして、たまに自分で作った見積書の数字の間違いを見落として、どえらい損失を食らう事もある。


 なので、一応メガネを4つ持っているのだが、実は普段ほとんどメガネをかけていない。


 何故かと言うと、メガネをかけたまま歩いたりすると、頭痛がしたり酔ったりするからだ。


 視力の低下ってのは困ったものだ。


 と、それはともかく・・・


 小説を書く時に、登場人物に眼鏡をかけさせるかどうかを悩む時がある。


「萌え」の世界には「メガネっ娘」という「属性」とやらがあるらしく、メガネが似合う美少女とかをそう呼ぶのだそうな。


 「眼鏡を外すと美少女でした」というのは少女漫画の定番だとは思うが、それではまるでメガネが悪者みたいに感じてしまう。


 だからかどうか「メガネっ娘」を考えた人は、こうしたカテゴリを作る事で「メガネキャラ」に市民権を与えようとしたのかも知れないな。


 確かに、そのメガネが「伊達だてメガネ」でないのだとすると、その美少女とやらは視力が悪いという設定なのだろう。


 そうやって視力の悪い美少女が、メガネを無くして困っている所を美少年が助けるシーンなんかを入れる事で、心ときめくボーイミーツガールみたいな「出会い」を演出する事が出来る訳だ。


 が、僕はこれって「新しい価値観だなぁ」と個人的に思っている。


 僕がアニメキャラで眼鏡をかけているのを見ると、もう先入観全開で「このキャラは勉強が出来るに違いない」と思い込む癖がある。


 もしそのメガネが「丸メガネ」だったら、もうそのキャラクターは「博士」とあだ名がつくのが確定事項だとさえ思っている程だ。


 昭和の価値観だと笑われるかも知れないが、そうでもしないと、そのキャラクターが救われない気がしてしまうのだ。


 だって、目も悪くて頭も悪かったら、そのキャラの見せ場を何にすればいいのかが思いつかないんだもの。


 だけど、世の中には実際にいるじゃん?


 目も悪いし頭も悪い人って。


 僕はね、そんな人の「いい所」を見つけて、素敵な物語にしたいんだよね。


 だけど、昭和の価値観で凝り固まった僕の頭は、どうしても「メガネ」というアイテムが与えるイメージが強過ぎて、さっぱり素敵なキャラを想像できない訳で・・・


 どうしたもんかね。


 早く見つけたいんだけどな。


 眼鏡を4つも持ってる頭の悪い僕を救うキャラクター像を。


 素敵なメガネキャラを作れれば、僕も救われる気がするんだけどなぁ・・・


 そんな事を、メガネを拭き拭きしながら考えている、今日の僕なのです。


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