(40)定番のセリフ

 ファンタジー小説の中で圧倒的多数を占めるのは、おそらく「異世界転生もの」ではなかろうか。


 主人公は「どこだ?ここは・・・」と辺りを見回し、それが見覚えのあるゲームの世界だったり、又は見知らぬ世界だったりして、最初は夢でも見ているのかと思う。


 しかしここで「どうも夢ではないらしい」と気づき始める時の定番のセリフというのがある。


「夢にしては随分とリアルだな・・・」


 コレ!


 このセリフ!


 僕の書くファンタジー小説にも似た様な描写があるが、コレに代わるセリフって無いものだろうか。


 なかなか良いセリフは思いつかないのだが、何となくオリジナリティを見せたい僕は、こうした「定番のセリフ」とは違うセリフに挑んでみたいという想いがある。


 まあ、文才の無さがそれを邪魔してなかなか思いつかないのだが。


 ファンタジー世界では、無双できる力を持った主人公が、魔物に襲われて苦境に立つ街を訪れるシーンがよくある。


 その街にも戦士らしき者はいるものの、怪我をしていて戦いに参加できないって事もよくある。


 こういう時の名セリフがコレだろう。


「俺も戦いに参加したいが、前の戦いで膝に矢を受けてしまって・・・」


 コレ!


 膝に矢を受けるやつ!


 膝を狙って当てた敵も凄いが、鎧で絶対防御している筈の膝に矢を食らうコイツも相当すごい運の持ち主だ。


 他にも恋愛もので、友達だと思っていた異性を意識し始めるあたりで、


「あいつの事は好きなんでしょ? それは『Like』なの?『Love』なの?」


 みたいなセリフ!


 こうした定番セリフ達だが、僕はこれらを最初に考えた人って相当スゴイと思う訳だ。


 後世に引き継がれる名言を残したという偉業だと思う。


 僕もこんな偉業を成し遂げられるだろうか。


 いつか言いたいものだ。


「このセリフ、最初に考えたの俺なんだぜ」


 ってさ。


 いつかそういう日が来るといいなぁ。


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