(16)小指
例えば、小指の角をテーブルの脚にぶつけて悲鳴を上げる事がある。
これは誰しもが一度は経験する「痛いやつ」な訳だが、この痛みはどんな言葉で表現するのが良いのだろうか。
なぜ僕がこんな事を考えているかと言うと、シャワーを浴びている時、固形石鹸が手からすべり落ちて、左足の小指の上に落下したからだ。
新しく出したばかりのバスサイズの固形せっけん。
落ちたせっけんを拾い上げてみると、ちょうどせっけんの角に小さな窪みが出来ていたので、恐らくその角の部分が僕の小指を直撃したのだろう。
その痛みたるや、何と表現していいのか、適当な言葉が思いつかない。
「せっけん投下事件」と勝手に名付けたその事件から一夜明けた今日も、左足の小指はズキズキと痛み、もしかしたら骨までダメージがあるのかもと疑ってしまう程だ。
今は「ズキズキ」と表現するのが適当な気がしているが、昨日のアレは、そんな生易しいものではなかった。
5寸釘を打ち込まれた様な痛みと言えば大袈裟な気がするが、それに匹敵するのではないかと思いたくなるほどに強烈な痛みだった。
で、この痛みを表す言葉を探しているのだが、それがなかなか出て来ない。
小説の中で「その時、左足の小指に激痛が走った!」みたいに表現するのは良く見るが、映像が無いので、読んでいる僕は勝手に「血が出る怪我をしたイメージ」を想像してしまう。
しかし今回のコレは、血は出ていないし小指の見た目には何の変化も起きていない。
なので「激痛が走った!」みたいな表現は僕の中では適当ではないのだ。
とはいえ「激痛」には違い無い。
しかし「激痛」というのは表現がアバウト過ぎて、具体的な痛みを表している訳では無いだろう。
僕が欲しいのは、具体的にあの痛みを表す言葉なのだ。
何か無いものだろうか。
いつもの事ではあるが、こういう時ほど自分の文才の無さを思い知る。
言葉の神様が居るならば、どうか僕に「語彙」を与えてください。
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