(5)比喩表現
小説を書いていると、登場人物のセリフを考える事が多くなる。
読者に登場人物が「どのような人物か」を具体的に想像させる為には、心情描写やセリフというのは欠かせないものだろう。
こういう時は、過去に出会った人達をモデルにしながら描写していく事が多くなるのだが、小説を面白くしようとすると、実際に過去に出会った人達をモデルにするだけでは物足りない訳だ。
なので、色々脚色してイメージを膨らませていく事になるのだが、これがなかなか難しい。
ウケを狙いすぎると逆につまらなくなるし、表現が淡白だとどうにも機械的な感じがして登場人物に命が宿らない。
なので僕は、キャラクターの心理描写やセリフに「
たとえば、迫りくる圧力を表現するならば、「広大な海の大波が押し寄せる様に」などと表現をしてみたり、登場人物が滑稽な姿である事を表現するならば「半分皮を剥いた山芋の様な」とかだ。
この比喩表現次第で登場人物の人格や生い立ちまでもが表現できれば最高なのだが、なかなかそうはいかない。
昔「ひょっこりひょうたん島」で御馴染みの井上ひさし先生の著書を読んだ時に、表現についてこのような事が書かれていた。
正しい文面は覚えていないのだが、「読者が複雑で難しい情景を思い浮かべられる様に、いかに簡単な言葉で表現するかを心掛けている」といった内容だった。
逆に「難しい言葉を使って表現しても、読者は見た事の無い情景を想像するに至らない」といった事も指摘していて、つまりは「いかに簡単な言葉で世界を表現するか」が大切なのだと言っている訳だ。
なるほどな~
と僕はとても納得した訳だが、いざ自分で執筆してみると「簡単な言葉で世界を表現する事」の難しさを思い知らされる今日この頃なのである。
僕の理解はまだまだ甘いって事だな。
アリが
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