(2)キーボード

 最初のテーマは、僕がPCで文字を書く時に使うキーボードについてだ。


 アルファベットとひらがな、数字や記号が印字されたキーが並んだキーボードを使っていつも文字を書いている訳だが、このキーの配列を考えた人は凄いと思う。


 基本的には英語で文字を打つ事を想定していて、よく使う文字程使いやすい位置に配置しているという事らしく、日本人の僕が初めて使った時には違和感があったものの、使い慣れて来ると、確かにこの配列がベストな気がしてくるから不思議だ。


 かれこれ30年位昔、僕が使っていたワープロのキーボードの配列も今と大差無かった訳で、この配列を考えた人はやっぱり凄いなと改めて思う訳である。


 今ではキーボード上の文字や記号で使った事が無いものは皆無だが、30年前には意味が解らず使っていなかった文字もある。


 その代表格が「@(アットマーク)」だ。


 僕もそうだが、僕の周囲にもコレを使いこなしていた人は居なかった。


 そもそも、読み方さえ分からなかった。


 何となくアルファベットの「a」をぐるっと円で囲んだ様な形をしているので、「えーぐる」とか「えーまる」とか呼んでいた人も居たが、僕の友人が「えーにょろ」と呼んでいたのを聞いて、何となく響きが可愛いので、僕も「えーにょろ」と呼ぶ事にしていた。


「@」の呼び方は人それぞれだったが、いざ資料を作ろうって時にこの記号を使う人はほとんどおらず、たまに見積書の単価を示す記号として「@」を数字の前に付ける人が居た位だった。


 なのでその頃の僕は、この記号は「単価」を示す記号なのだと本気で思っていた訳だ。


 ところが、10年後位になると、世の中にインターネットが普及しだし、テレビのCMなどでも「@」が使われる様になった。


 そして、テレビで出演者が「@」を「アットマーク」と当たり前の様に呼んでいて、それが長年に渡り謎とされていた「@」の読み方が判明した瞬間だったのだ。


 すると僕の周りでも「これは at を記号化したもんやで」と、さも以前から知っていたかの様に話す輩が増殖し、気が付けば僕も今では「アットマーク」と普通に呼んでいる訳だ。


 そんな事を思い出しながら、今もキーボードを叩いて文字を書いている。


 さて、次の作品はどんなのにしようかな。


 出来れば「ことば」の力で、読む人が幸せな気分になれる作品が書ければいいな。


 そんな事を思う、猛暑で外出を控えた夏の日の僕だった。

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