最終話 「いただきます」

 料理が終わった。


 表面の余計な油を落として、お皿の上に。

 そして、塩、ケチャップと共に食卓へ運ばれる。


 時計をちらりと確認する。

 時刻は15時30分。

 最高のおやつ時である。


 食卓に並べ、晴香も席へと座る。


 手を合わせて、あの言葉を並べる。


「いただきます」


 合掌の形を解き、お箸を持つ。


 それから、一本、また一本と口へ運んでいく。


 時には塩をかけたり、はたまたケチャップをかけたり。


 ゆっくりとする訳でもなく、急ぐ訳ではなく、一本、一本と、着実に口へと運ばれていく。


 口に運ぶ度、香ばしくも美しい。豪快でいて繊細な、あの音が広がる。


 何度も咀嚼し、また次へ。味わい、また次の一本へと進んでいく。


 最後の一本まで、流れるように進んでいく。




 お箸を置いて、再び手を合わせる。


「ごちそうさまでした」


 お皿の上には何もない。まっさらな食事後。


 食事の後、しばらく席を立つことが出来なくなる。


 そんな折、ふとこぼれる言葉があるのだ。


 ……

 美味しかった。

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