Ⅱ レディ・オブ・ザ・ランド
自分が悪かったのだと、リムレット姫は結論を出した。
急にドラゴンが現れれば驚くのも当然だ。
きっと、王も娘がドラゴンになったなんて、悲しくてまだ国民に話せていなかったのだ。
だと言うのに、自分が
申し訳ないことをしたと、リムレット姫は己をいましめた。
「まず国民に、この姿の私を知ってもらおう。恐ろしい存在ではないと知れば、きっと私のために動いてくれる。
それに、怖がらせてしまったことを償わなければ」
夜中、また姫は国に飛んだ。
今度は人々の生活圏から離れた場所に降り立ち、そこで国民が好いてくれていた歌を歌った。
謝罪の気持ちと、自分を忘れないで欲しい/助けてほしいという想いを混ぜて。
何度も、何度も、何度も。
リムレット姫は国民に歌を届けた。
すると、国民たちはドラゴンを悪い存在じゃないと思うようになり、美しい歌を歌う心優しいドラゴンを敬意を込めて、「
昼間、リムレット姫がいつものように浜から国を眺めていると、一隻の船がやって来るのが見えた。
「やっと、やっと来たんだわ。信じていたもの、お父様が皆が救ってくれるって! 信じているのだもの!」
いつぶりか知れないが、とにかく姫は身支度をしなければと島に建てられていた城に戻った。
化粧をしても醜いドラゴンの顔は変わらない。せめて、良い服を着て精一杯のオシャレをして客人を迎えようとした。
船が着き、一人の騎士が島に降り立った。
騎士はリムレット姫の話を王から聞き、彼女と結婚するという条件で志願して島にやってきた勇敢な者だった。
孤島の城館に到着した騎士が戸を叩く。
すると、中からリムレット姫の声で「どうぞ」と声がした。
騎士が城館に入ると、そこには美しいドレスを着た醜いドラゴンが鎮座していた。
期待を込めた瞳をドラゴンが騎士に向ける。
すると、騎士はその
「ま、待って!? どうして、どうして逃げるの!」
リムレット姫が鈴のような透き通る声を上げても、逃げ腰の騎士が止まることはない。
――ピシリッと、リムレット姫の中で何かが音を立てて、ひび割れた。
姫は、悲しみ/怒り/困惑/苦しみ/怒り/怒り/怒りが溢れて。
猛々しく咆哮/叫び、溢れ出る想いのまま駆ける。
ドラゴンの俊敏さですぐに騎士を捕らえ、怪力できつく締めあげる。
苦しむ騎士にリムレット姫が顔を近付けると、騎士はまた悲鳴を上げる。
「――!!!」
レディ・オブ・ザ・ランドは騎士を力一杯に握り殺し、海に投げ捨てた。
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