後日談 新年度、四月一日。

今日から高校生に成る四月一日の午後二時、今は槇原ベーカリー昼の休憩時間。

二週間前の天野さんと訪れ、伊勢神宮で授かったお守りの白紙袋を母へ贈った。

それを受け取る母は紙袋の中を見て、

「裕人、弟か妹が欲しいの?これは安産祈願のお守りよ」

混雑する参拝客の中で、白地に金糸の一番目立つお守りを選んだつもりが、まさかの安産祈願とは、

「母さん、そう言う意味じゃなくて」

「弟か妹が欲しいなら裕人からお父さんに頼みなさい」

だから違うんだよ母さん・・・


食卓に同席する天野さんは大笑いして、いつも寡黙な父は赤面するが母に悪気は無さそうな感じ。


昨日から僕の家で同居を始めた天野サヤカさんへ、

「今日からサヤカちゃんに裕人の世話をお願いするね」

母は可笑しな申し出をした。


「それって、裕人君が私の所有になる事ですか?」

「裕人は未成年だから保護者は両親だけど、サヤカちゃんに管理を任せるかな」

まさか僕は飼い犬じゃないでしょうに・・・


「任せてください、悪い女から裕人君を守ってみせます」

天野さん、何で話がそこに行く・・・

「サヤカちゃん、『女房焼くほど亭主モテもせず』と言うから心配は無いでしょう」

そんな物言いする母も母だ・・・


「お母さん、中学時代の裕人君はモテましたよ」

「こんな無愛想な裕人が女生徒にモテるなんて嘘でしょう?」

母の意見は尤もだが、天野さんも下がっちゃいなく、


「私が知る限り、裕人君は同級生の女子三人と、年上のナースさんと男女の関係が有ったはずです」

お願いだ、母に僕の過去を暴露するのは止めてよ天野さん、心の中で懇願した。


「それに自称乙女の下級生から『槇原先輩、私の処女バージンを貰って下さい』と迫られたり、お母さんが思うより裕人君はモテモテでした」


家族団らん和気藹々とは言わないが、それなりに和んでるダイニングに凍えるような冷たい風が吹いた。


「それは母の私にはショックだわ、サヤカちゃんは平気なの?」

全てが真実でも言い過ぎたと気不味い天野サヤカさんは、

「お母さん、今日は何月何日ですか?」


「今日は四月一日だけど、え、サヤカちゃん、エイプリルフールなの?もう心配しちゃったわ」

「はい、ちょっとだけ悪戯してみました」

ちょっとの悪戯じゃないよ、嫉妬深い天野さんから過去の僕へ報復だと思う。


「すっかりサヤカちゃんの嘘に騙されたわ、だいたい無愛想な裕人がモテなんて私は信じてないけど、あれ、裕人の顔がいつもより青いけど?」



天野さんと母の会話を同席する父も聞いていて、

「裕人、女性は怖いから隠れて悪い事は出来ないぞ」

それは父さんから人生の教訓ですか?・・・

「ハイ、父の有り難い言葉を肝に銘じます」

僕なりに返事をした父が、


「そうだ、昨日な、高校の仲間で帰郷した野村の歓迎会を開いたけど、バスケ部の顧問は受けないって言ってたぞ」

東京帝王高校で何度も全国優勝した野村先生が白梅高校に赴任するから、僕は出願変更したのに、顧問をしないなんてマジかよ・・・


「父さん、それが本当なら僕には絶望しかない」

「そう落ち込むな、裕人、今日は何月何日だ?」


「え~父さんもエイプリルフールなの?」

今まで父の冗談を一度も聞いた事がない僕は信じきっていた。


「そう言う事だから、俺は仕事に戻るからな」

ベーカリーへ向かう父に続いて母も、

「私もお客さんを待たせているから」

住居から店先へ戻った。


家に残された僕は天野さんから、

「この後は二階の部屋で話しましょう」

の言葉に従い、狭くなった自室のベッドに座った。


天野サヤカさん、さっきの冗談は僕への恨み、それとも何だったの?」

蒸し返す積りは無いが、父母の居ないこの部屋で改めて真意を訊きたい。


「あれね、お母さんが何度も『裕人はモテ無い』って言うから我慢できなく腹が立って、言い過ぎたと思うゴメンなさい」


「あ、そうなんだ、僕の方こそゴメン」

色々含めて天野サヤカさんに気を使わせたみたいで、申し訳なさがイッパイだった。


「ううん、裕人君と本音で話が出来て嬉しい、私のお願いを聞いてくれる?」

そうだ、男と女、彼氏と彼女よりも、一人の人間と人間がお互いの本音を語り合う、何て素晴らしい関係なんだ、と一瞬でも思った僕は単純だったと後から思った。


「僕に出来る事なら何でも叶えたい」


「質問その1です、裕人君は以前『エロ漫画の読者は99%男性で巨乳と巨根は読者の希望だから』て言ったね」

「女性はレディコミを読むから、エロ漫画のファンは男だと思うけど、それが何か」


「つまり、エロ漫画に描かれている性行為が男性の願望なら、それと同じ事を裕人君に奉仕したら喜んでくれるの?」

女性が豊かな胸で挟んだり、口を使って性欲を抜いてくれる行為を想像して、


「そ、それは嬉しいけど好きか嫌いかは個人差が有って、それを誇張したエロ漫画だから現実とは違うと思う」


「質問を変えるね、個人差と言えば初体験の痛みは一人一人違うの?」

「そこまで経験ないから、でも何で」


「私、好きな裕人君でも痛いのは嫌だから」

「未だ先の事だけど、出来るだけ優しくする積りで駄目かな」


「ネットで調べたら、処女膜にも個人差が有って、厚いとか薄いとか最初から膜が無い人もいるらしくて、その時の為に今から準備して欲しいけど、無理かな」

それは天野サヤカさんがネットで調べたレディスクリニックの知識らしくて、

「でも、どうすれば良いの」


「裕人君の太くて長い指で、私のお姫様を痛くないように馴染ませて、それまでは私も裕人君の自慰を手伝うから」

「え、何で天野サヤカさんは今からなの?」


「だって、初体験の時に裕人君が気持ち好くて、私だけ痛いのは不公平でしょ、二人で一緒に気持ち好くなりたいから、早めの今から準備するの」


それはお互いに自慰行為を手伝うより普通に結合前の愛撫でしょう・・・

それでも将来を約束した幼馴染の天野サヤカさんに隠れて抜くより罪悪感は無いと思う。


「裕人君のプニョを触って好いでしょう?」

天野サヤカさんが言うプニョってナニ?」


「裕人君の柔らかい、ヘソ下のプニョ、直ぐにカチコチ君に成るけどね、あ、お玉ちゃんも好いでしょう?」

可愛く呼ぶが女性には無い男性のアソコだと分かる、

「分かったよ、けど天野さんは下ネタが好きなの?」

「うん、大好きだけど裕人君以外のプニョは気持ち悪い、裕人君は性欲の強い女性は嫌いかな?」


「僕は嬉しいけど」

直接合体でなく、妊娠の可能性が無い天野サヤカさんの要望リクエストに答える僕も悪い気はしなかった。


将来を約束した幼馴染のエロマンティックが止まらない・・・


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将来を約束した幼馴染は嫉妬深い元人気モデル。 鮎川 晴 @hotetu99370662

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