第153話 受験の翌日から翌々日。
三月六日は公立高校入学試験の翌日、この日も中学に登校するが卒業証書授与式のリハーサルで、形ばかりの授業は各教科担任から高校生に成ったら、の話を聞かされる。
高校は義務教育でないから何かの事件や犯罪で退学しても自己責任、男女交際を否定しないが必ず避妊して、悪い仲間に付き合えば『朱に混じると赤くなる』的な教えとか、お酒やタバコは二十歳になってから、人生は二度とない、後悔の無い生き方を望みます。
ドラマのような教師の言葉に未だ実感の無い中学三年生の僕達は笑いを
受験のプレッシャーから解放された級友の一人、親友を名乗る
「
三月八日の卒業式から合否が決まる三月十四日まで数日間の誘いに、
「テストは終わったけど、気持ちが落つかないし遊んでいてもきっと楽しくない」
偽らない僕の心情に、
「じゃぁ
「
兎に角、今は休みたい僕へ、
「それじゃ、合格発表まで
「取りあえず寝る、夜十九時に寝て朝の九時まで寝る十四時間睡眠を叶えたい」
「
橋本の意見も分かるが、
「今の僕は推定193cmだが、来月の高校入学までに194cm、三年後の卒業まで200cmに成りたいから『快食快眠快便』『寝る子は育つ』に期待する」
「
「悪いな
そんな流れで三月六日は過ぎて行った。
三月七日、入学試験から翌々日の卒業式前日はダイジェストで・・・
案件その一、
昼休みに僕を訪ねてきた小柄な少女は、
「槇原先輩、卒業おめでとうございます」
「誰だっけ?」
「え、一年の朝川ユイです」
「申し訳ないが君を知らん」
「え~、変態から助けられたチビッ子の朝川ユイですよ」
「悪いな、受験で全ての記憶力を使用したから、君を覚えてない」
「忘れても良いですよ、それよりお願いが有ります、先輩の第二ボタンをください、代わりに私のバージンを捧げます」
その下りで一年生のちびっ子朝川ユイを思い出した、そして
「あの日、天野さんは何て言った?」
「超美人の天野先輩が『スマホで適当にに彼氏を作るな』とか『私の彼にチョカイ出したらボコルって』メッチャ怖かったです、でもラストチャンスに女の子の大事なモノを掛けます、あれから私のバストもCカップまで育ちました」
巨乳に憧れる男子ばかりでないが僕の持論で、
「女性に一番大事なのは『清潔感と恥じらいの気持ち』頭と尻の軽い女子を好きに成る男はロクなモンじゃないし、第二ボタン以外なら卒業式の後に渡すよ」
「やったぁ、槇原先輩のボタンゲットだぜエ、アザ~す」
おいおい、僕の話を聞いてないのか、そんな朝川ユイは自分のクラスへ帰って行った。
案件その二、
卒業式前日は早めの下校で教室を出た僕を、
「
僕をマッキーと呼ぶ数少ない女子の声に振り返るそこには、元女子バスケ部の高身長の
「僕に何か用事?」
「うん、私の相談に乗って」
「難しい話は無理だよ」
「あのさ、橘君に絵のモデルを頼まれたけど、どうしよう?」
「
「だって、前に絵のモデルをした
僕をモデルに魔王を描いた橘君から、次作は愛と美の女神アフロディーテを描きたいと聞いていた僕は、
「きっと裸じゃないと思う、それに
無意識に僕から出た言葉に、
「私のヌードを知っている
あの日、成り行きで
「ゴメン、一つ訊きたいけど、あの時の清水さんは恥かしがらなかったよね」
「うん、なんか口の固い
アイドル風と言うか、確かに美少年の橘葵君は女装男子で・・・あ、橘君のタイプは三人のゴリマッチョ、アスリート系の姉とは違う高身長のスリム女子の記憶から、
「モデルの件は別に、
「え、なんで知っているの?」
「何となくの質問だよ、違ってたらゴメン、清水さんはもっと自信を持っていいよ」
「そうね、
後日談的に・・・
橘葵君から『清水さんへモデルの依頼と交際して欲しいと告白した、けど未だ返事を貰ってない』と報告された。
「橘君が自分で決めたなら僕は応援するよ、兎に角頑張れ」
案件その3、
これで僕を引き止める同級生は居ないとホッとした。
「槇原君、ちょっと時間をくれないかな?」
その声の主は僕が属する三年四組の担任、コケシちゃんこと小池詩織先生二十五歳が真面目な顔で、
一刻も早く帰って食事と入浴を済まして就寝したい僕は、
「手短にお願いします」
「うん、手短に簡略にね、あのさ、槇原君が『大きくなりたいなら偏食をなおしてって言うから信じて苦手な野菜と牛乳も飲んだわ、でも身長は変わらずに胸のサイズアップでDカップに成って、巨乳の
偏食を注意した僕が責任をとってコケシちゃんと結婚するなんて無理すぎるし、コケシちゃんが三十歳に成る五年後の僕は未だ二十歳だよ・・・
「僕と結婚してもコケシちゃんの背が伸びないよ」
「だから、槇原君の遺伝子で私が産んだ子供が大きく育てば、母親の私は満足する」
なんか来世に期待するみたいな、コケシちゃんの思いに呆れながら、
「未だ未だこれから先生の身長は伸びますよ」
「本当に信じていいの?」
それでも五年後にコケシちゃんと結婚させられる僕の不安は消えた訳じゃない。
この件の後日談は翌日に起きた。
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