第141話 真面目なお願い。
いつもなら小悪魔的な笑顔で僕を弄る
内容的に恥かしいが真剣に訊くから僕も真剣に考えて、それは一般的な男性の願望と答えた。
「あと、裕人君にお願いが有るけど笑わないで」
「うん、神様に誓って笑わないよ」
数秒の間が空き、一つ息を飲んだ
「ニップレスって知っている?」
それは乳首に張る絆創膏みたいなテープだと僕は知っている。
「あ~、使った事は無いけど知っているよ」
天野さんが心配した笑いも無く平然と答える僕に、
「え~男子の裕人君が何で?」
僕がニップレスを知っている理由を訊きたいのか、
「スポーツ時に汗とユミフォームが擦れて、乳首が痛くなる予防の一つだよ、例えば陸上の長距離ランナーとか、バスケでもユニフォームの下に擦れ予防でアンダーシャツを着たり」
「なんだそう言う事なら良かった、裕人君が変態だと思ったわ」
そんな心配しなくても男は無いかしらの拘りが有って、それを変態と言われても否定できない、けど今は言わない。
「それで、ニップレスがどうしたの?」
「・・・」
再び天野さんの沈黙で会話が途切れた。
「笑わないから言いなよ」
「あのね、私は子供の頃からファッション雑誌でモデルをしていたでしょ、思春期に入った頃の水着撮影で、スタイリストさんが教えてくれた胸のポチが目立たないニップレスを使い始めたの」
「うん、それで?」
「初潮が来た成長期の胸ポチが押されて、水着のモデルを辞めた今でもポチが出てこないの」
「それは大事な事かな?」
「うん、メイクのお姉さんに聞いたら『それだと赤ちゃんが上手に吸えないから彼氏に吸い出して貰うのよ』って教えてもらったけど、裕人君にお願いできるかな?」
何かで聞いた事はあるが、今直ぐに心配の無いそれは陥没乳頭と言うのだろう、
「それって赤ちゃんが産まれた時の話でしょ」
「ウン、赤ちゃんは未だだけど、話題のスーパー銭湯や温泉に行ってもこれじゃ大きなお風呂に入れない」
「やっぱり陥没乳頭だと恥かしいの?」
「女子にとっては大問題、成人男性の包茎より恥かしいかも」
その例えが正しいのか判断出来ないが、陥没乳頭だと包茎みたいに恥垢が溜まる可能性も無くは無いだろう。
「
「え、今じゃないの、今すぐが善いけど」
さっきのエロい質問で反応していた別人格がより大きく再度充血を始めた。
「一回の吸出しで正常なポチになるの?時間と回数が必要なら今すぐに初めてよ」
成る程、もっともな理由だ、バスケで怪我した僕も整形外科に何回か通院したし、民間療法のポチ吸いなら時間と回数も掛かるだろう。
「それなら、今から始めようか」
「宜しくお願いします」
天野さんの入浴中に寝落ちした僕は、ピンク色の着ぐるみみたいな上下スエットを着ている天野さんに気付き、フードに付いた大きな耳で『ウサギちゃん』タイプと分かる。
スエットの首元からフルオープンのジッパーを下ろして、ピンクのブラをずらした天野さんは恥ずかしそうに頬を赤らめて、透き通るような白い肌と淡いピンク色の小さなポチを見せた。
邪なエロい気持ちを『これは彼女の願いだから』と、全力の理性で僕は耐えた。
初めて見る陥没乳頭は、胸の膨らみから半分だけポチが顔を出す、男性で例えるなら真性包茎でない仮性包茎と思う、天野さんは心配するがこれはこれで可愛く見える。
「私、緊張でドキドキする」
「僕もドキドキする」
天野さんに同調するが、僕のドキドキは意味が違うと言えない。
エロと男の欲望を封印して、ゆっくり優しく左ポチを吸う僕に、
「くすぐったいけど、裕人君が赤ちゃんみたいで可愛い」
天野さんがポチを吸われて発情しないか心配した僕を赤ちゃんみたいとか、くすぐったいと言うから少しだけ安堵した。
舌先に感じる左ポチが頭を出して、僕の口が右ポチに移動すると、
「え、私の陥没ポチがも出たの、裕人君凄いね、さすがおっぱい星人」
誰が僕をおっぱい星人と言うのか、今すぐに訊きたいが僕は右ポチに集中した。
左ポチの時と同じ様に舌の感触で右ポチも頭を出した、これでミッション完了、無事生還した僕は、我慢を重ねた股間の皮膚が最大限に張り詰めて猛烈に痛い。
「痛、た、た、た」
自分では分からないが、苦悶の表情を天野さんに見せたと思う。
「裕人君、大丈夫、わぁ凄いことになっているけど、ゴメンなさいきっと私の所為よね、少しでも痛みを和らげる為に手当てさせて」
身体の大きな僕が、細くスリムな美少女に抵抗できなくはないが、真剣な表情で手当てを申し出る天野さんに逆らえなく、身を任せてしまう。
小さく白い手の細い指が僕の充血したアソコを優しく撫でる、女子ならの冷えた指が何度も何度も往復して、僕の理性など何処かに消し去り、天野さんの白い手に僕の欲望が暴発した。
天野さんの前で出したことは有るが、天野さんの手で出された経験は無く、快感より恥ずかしさが上回る。
発射後の冷静になる賢者タイムの僕に、
「これ貰っても良いよね?」
天野さんは言うが、放心して理解出来ない僕は返事ができない。
「答えないのは了解の意思表示ね、裕人君の赤ちゃんを頂きます」
そう言って僕の遺伝子を乗せた白いアレを口に含み、ゴクリと飲み込んだ。
「そんなの、無理しなくて良いよ」
「無理じゃないし、裕人君のならほろ苦くて美味しく感じる」
天野さんがエロ漫画で疑問に感じたゴックンを、男の願望と答えた僕は単純に嬉しいけど、照れて言葉に出来なかった。
家の居間で、テレビを点けっぱなしに気付いた僕に、
「ねぇ裕人君、白赤歌合戦はどっちが勝ったの?」
壁に掛かる時計を見たら日付が変わる午前零時、次の番組が始まる。
「天野さん、勝ち組はネットで調べたら」
「そうね、あ、裕人君除夜の鐘が聞こえるよ、二人で迎える新年、とてもロマンティックね」
確かに遠くからゴーンゴーンと届く、戦後発展した商店街の由来になった円城寺は無く、今は商店街の名前として残っている。
天野さんが言う除夜の鐘はテレビから聞こえていると思うが、ロマンティックと言う天野さんに本当のことを言えない。
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