第103話 あの記念日。

男性を知らない純真な美少女は、単純な疑問から将来を誓った僕のアソコに好奇心が止まらない。これは生物の実験だと想定してください。


名邦高校の選抜試験を受けて十五時に帰宅した僕を天野サヤカさんが訪ねてきた。

つばの広い麦藁帽子の天野サヤかさんが着ている足首までの白いワンピースは日焼防止の服と思うが、アラブの王族にも見える。


「裕人君、お疲れ様、やっぱり選抜試験のレベルは高かったの?」

難しいというより選抜試験で組んだチームでミニゲームは楽しかった、そして帰りに呼び止められた石川拓実の話を聞いても其れほど疲れなかった。それより僕がもっとも疲労を感じたのは愛知名邦高校まで往復の交通機関。


以前より遠足のバスや電車の座席が僕には小さくて、今日利用した地下鉄も人の呼吸から出る排気臭で息苦しかったし、天井が低くて僕は閉所恐怖症かもしれない、これで合宿所に入居せずに毎日通学するなんて無理過ぎるから、是非とも寮費無料の特待生エリート合格したい。


「うん、僕が疲れた理由は往復の電車と地下鉄の臭い空気が苦手なんだ」

毎日の通勤で利用している大人は地下鉄車内の匂いに慣れているかもしれないが、初めての僕には鼻が曲がるほどの気持ち悪さしかなかった。そして名邦校内の水道水も臭くて不味くて、まるで東京や大阪と同レベルと思う。


「裕人君、都会の空気と水道は不味いから仕方無いね」

僕と天野サヤカさんが地下鉄の匂いで会話していると、槇原ベーカリーから母が戻り、


「サヤカちゃん、今日の夕飯は裕人の好きなカレーだけど、食べていきなさいよ」

「ご馳走様になります」

白い服を着ているのに染みに成りやすいカレーを断らないのも社交的な天野サヤカさんの人柄だと思う。


僕の家で夕食がカレーライスの日は、大きな寸胴に市販のカレールーを数種類プレン度して、おおよそ三十皿を作り、父と僕は大盛りで五皿まで食べて良いルールを母に決められている。


炊飯器に白米は一升五合、肉と野菜が柔らかく蕩けるまで煮込んだカレールーの寸胴鍋を見た天野サヤカさんは、

「家族三人でこの量なの?まるで野外学習か給食みたいですね」

「サヤカちゃんはお腹いっぱい食べてよ、口に合わなかったら無理しないでね」


僕の母が言うと、それは嫁姑風のハラスメントに聞こえるだろう・・・

「頂きます」

「お代わり自由のセルフ方式だから遠慮しないで」

カレー以外に、福神漬けとラッキョウ漬け、キュウリ漬けと沢庵漬けの数種類を並べる事も僕の家では常識である。


今日の選抜試験に参加して空腹の僕は母から許されたカレー五皿を完食して、母に夕食を誘われた天野さんは一皿の完食で苦労していた。

「ご馳走様です」

僕と天野さんが使用した食器とグラスを洗い、水切り籠に立てたサヤカさんへ、

「そのまま置いておけばいいのよ」


僕と天野さんが食事を終えた頃にベーカリーからパン職人の父が戻り、

「お、今日はカレーか、いつもと同じ五皿まで食べていいかな?あ・・・」

それが家族には当たり前の会話でも、天野さんが居るとは思わない父は言葉に詰まった。


食事を終えた僕とサヤカさんは二階の自室で、ベッドに腰掛けた満腹な僕の正面に立つ。

「あのね、今日はこの前のお礼をしてないから」

この前のお礼って何だろう、無理に想像しても酔っ払いが不法侵入の夜か・・・


「お礼って大袈裟だな、そんなの要らないよ」

「裕人君が要らなくても私がお礼をしたいの、じっとして動かないでね、よいしょ」


ベッドに腰掛ける僕の太ももへ白いワンピースの天野さんが向かい合わせに座る、そんなマウントポジションに僕は身動きが取れない。

「裕人君、動かないでよ」


天野サヤかさんは両手で僕の顔を支えて、顔を傾けてそっと唇を重ねた。

プリンかムースの様に柔らかいサヤカさんの唇に戸惑い驚く僕は、

「え、どうしたの、あの決めたルールと違うけど」


そうさ、キスは十五歳、エッチは十八歳まで我慢すると二人で約束したが、


「そうよ、私の誕生日は七月七日の七夕で十五歳になったからキスの解禁よ」

「え、初めて聞いたけど」


「裕人君の公式戦バスケが終わるまで待っていたけど、もう我慢しない」

あの日のお礼に理由を付けて、強引にキスを迫る天野サヤかさんは、


「私は十五歳だからキスを出来るけど、裕人君は未だ十四歳でしょ、だから私の気が済むようにキスするから逃げないでよ」

それは僕がされるがままの、まな板の上の魚なのか、多少のキス経験が有る僕はサヤカさんの欲望に身を任せた。


小鳥が餌を取るようにチュッチュ、チュッチュと小刻みなキスから、強く唇を潰すように押し当て自分の舌で僕の唇を犬のように舐める。

「サヤカさん、何処で学んだの?」

「女性週刊誌の彼氏とラブラブなキス特集で見たけど、どこか変だった裕人君?」

恋人が舌を絡めるディープなキスを天野サヤかさんは躊躇とまどうのか、


「十四歳の僕からキスを出来ないけど、サヤカさんは舌を絡めないの?」

「え、好いの?じゃあ遠慮なく」

まるで僕の許可待ちだったようにサヤカさんは細い舌を僕の中に入れて来たが、予想よりも長い舌は僕の舌を抱きしめるように絡めた。


「裕人君、初めてのキスって気持ち良いね、きっと癖に成りそう、今日はカレー味だけど」

二人で食べたカレーがそのままファーストキスの味とは、餃子やニンニク増し増しのスタミナラーメンじゃなくて良かったと前向きに考えた。


なんて余裕は、サヤカさんがキスを止めないから僕の心と身体にも余裕は無い。

「サヤカさん、ちょっと待って、不味まずい事に成っているから」

「私のキスで裕人君のアソコが大きくなってきたの?、私の太ももに当たっているから分かるよ」


そうだよ、向き合わせで僕の太ももに座るサヤカさんは柔らかくて好い匂いがする。

キスで僕の身体が変化してもそれは仕方無い事でも、それをサヤカさんに説明するのは難しくて言い出せない。


「裕人君は困っているのね、そうだ二人の壁を失くす為にオチ〇を見せて」

「え、今は恥かしいよ」


「お風呂で裕人君の背中を流す時に見たけど」

「あの時と今の形は違うから」


「私はエッチな気持ちで見たいじゃない、将来を約束した裕人君と私でしょ、何年か先の優先使用権は私に有るから現在の状態を知りたいの、勿論妊娠に繋がるエッチな行為をしないと約束するわ」

論破された僕は素直にボクサーブリーフを降ろした。


「へえ?こんな風に成っているんだぁ、ちょっとだけ触って好いでしょう?」

そう訊くより先にサヤカさんは右手の人指し指でツンツンと押した感触を、


「真ん中の柱は固いのに先のキノコは柔らかい、不思議な感じね」

サヤカさんは恥じらいが有るみたいで、無理した言葉で感想を言うから、


「オチ〇チ〇とかキ〇タマって言うのが恥かしいなら『陰茎』や『睾丸』の正式名称なら平気じゃないかな?」

「あ、そうね保健の時間に習った用語を憶えているから、これからはそう呼ぶね」


僕はサヤカさんが何を言い出すのかと暫し待った。

「裕人君、陰茎の中は軟骨が有るの、それとも別の何か?」

「その中は海綿体と言うスポンジ状の組織で、性的興奮や外的な刺激で充血して膨張硬化するんのさ、序に言うと柱が硬いのは女性の奥まで子種が届くように、先の亀頭が柔らかいのは、受け入れる女性が痛くないように工夫されているらしい」


「へぇ~女性を傷つけない陰茎って、裕人君みたいに優しいんだ」

その言い方は僕が性欲の化身みたいに聞こえるから、止めて欲しいと言えない。


「うん、良く見たから納得するけど、最後に精子が出る瞬間を見せて」

女子へ股間を晒して羞恥心を感じなくなった僕は、

「こんな感じで簡単に出るから、見てよ」


いつもの自己処理なら数十秒で果てるが、サヤカさんに凝視されていると逆に短時間で興奮のピークを迎えて、受け止めるティッシュを探すより先に空中へ発射した。


「あ、裕人君から出た」

空中に噴出したザーメンを上手にキャッチしたサヤカさんは、

「これが裕人君の子種ね、考えように寄っては婚約者の私に所有権が有るかも」


それの言葉に驚く僕が止めるより先に、サヤカさんは匂いを嗅いで口に含み、ゴクリと飲み干した。


「生臭いけど、ほろ苦くて癖に成る味かも、そうだ裕人君、次からも出したら私に頂戴」

男性の体液は蛋白質と水分が主で、女性が飲用して美容効果の都市伝説があるらしい、其れは精神的な効果だと思う。


当たり前に放出後の小さいアソコを見たサヤカさんは、

「プニプニと小さくて可愛い、私の坊や、愛おしくなっちゃう」

その表現は、男としてなぜか悲しい・・・


取りあえず天野サヤカさんの処女バージン保持キープされたが


「私が裕人君に守られたのは、今回の件とあの記念日から二度目ね」

僕がサヤカさんを守った記念日と二度目って、前の事を覚えてない・・・


「え、二度目なの?」

「嘘でしょ、裕人君は憶えてないの?」


「憶えているけど、ちょっとだけヒントが欲しい」

「やっぱり憶えてないんだ、ヒントはね、裕人君ってお昼寝が好きでしょうその理由は分かる?」


僕が昼寝を好きな理由って、初めは幼稚園児の頃だから憶えてないし・・・

「分からないよ」

「じゃぁ次のヒントね、裕人君は血が出ると死んじゃうって信じていたね」

そうさ、幼稚園児の頃はテレビのニュースで『出血多量』や『出血性ショック』が死因で人が亡くなる、血液イコール人間の命と信じていたが、それと記念日の関係を思い出せない。


「もう、裕人君がお昼寝を好きな理由は『夕立』で雷の大きな音と光が怖くて布団を被って耳を塞いだまま寝るから、嫌な事をすべて忘れるからでしょう、これは幼稚園の頃に裕人君のお母さんから聞いたよ」


そうか、小さい頃の僕は独りで留守番する時の雷が嫌いで、現実逃避の様に布団を被ったまま夕立が過ぎるまで昼寝していた。

それでも思い出せない僕は、


「サヤカさん、記念日の答えを教えてよ」

「未だ駄目、自分で考えて」


「いつまでに答えるの?」

「期限は中学の卒業式の日ね」


どんなに時間を貰っても分からないものは分からないだろう・・・

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