第100話 ロス土産とアレ。
不法侵入者の件でロスのお土産を渡しそびれていたと、翌日僕はサヤカさん家に呼ばれた。
海外土産はマカデミアチョコが定番と想像する僕は正直に言えば嬉しくなかった。
「裕人君はバスケが好きでしょ、現地の人に選んで貰ったけど、要らないかな?」
受け取った白いビニール袋の中を見たら、NBAのプロバスケチーム、ロスアンゼルス・レイサーズの公式レプリカユニフォーム、白地に黄色と紫文字のチームカラー、更に前と背中には6番のゼッケン。
これは、NBAで人気実力とも最高レベルの『キング・レブロン』、このレプリカユニフォームを日本で購入すれば三万円を越えるだろう。
「本当に僕が受け取って良いの?、エミリさん有難う」
サプライズで涙が流れるくらいに嬉しい、これを感動と言う以外に言葉が見つからない。
「日本人に人気の選手は28番だけど、195cmの裕人君にサイズはこれで良かったかな?」
正確には身長193cmだが、憧れの背番号6、キングのレプリカユニフォームは僕の家宝にするとニヤニヤ笑いが止まらない。
それを見ていたサヤカさんは少し拗ねた様に、
「裕人君、名邦高校の
僕が選抜試験を受けると、初耳のエミリさんは、
「凄いね裕人君、この次期にスカウトされるなんて将来有望なバスケ選手ね」
単純に驚きを隠さないから、僕は逆に恥かしい。
「必ず合格するとは決まってないです」
学費寮費を免除される
「
八月の最終金曜と土曜の二日間、隣県の僕は金曜の午前参加を指示されていた。
レプリカユニフォームの話はここで終わり、エミリさんから、
「あの日からサヤカがご機嫌なのよ」
僕の知らない逸話が有るらしい。
「ママ止めてよ、裕人君に聞かれたら恥かしいでしょう」
サヤカさんが恥かしいとは何事だろう・・・
「是非聞きたいです」
それは不審者を挑発する為に発した『オッサン、汚い手で僕のサヤカに触るんじゃない』が嬉しくて、エミリさんに不法侵入騒動を報告しながら微笑が止まらなかったらしい・・・
それが女子の気持ちなのか、やはり僕には難しい。
僕とサヤカさんのお留守番をエミリさんへ全て報告したつもりだが、
「ちょっと訊き難い事だけど、裕人君、アレを使ってくれたよね」
エミリが言うアレとは、心当たりが無い僕は、
「え、何の事かちょっと意味が分からないです」
「だから、若い男女が一週間一緒に暮らしたら我慢できないのは仕方ないから、アレを使ってねって渡したでしょう?」
エミリさんが言うアレとは薄々0.02mm Lサイズのゴムだと気づいた。
「アレは使って無いです」
僕とサヤカさんの約束で『18歳まではエッチ禁止』と決めて有るが、それをママのエミリさんには伝えてなかった。
当然ながらエミリさんが気にする妊娠とエッチ行為は無いと言いたかった。
「あれほど注意したのに生でしちゃったの?、サヤカ、まさか危険日じゃないよね」
ここまで聞いたら少し天然のサヤカさんも会話の意味に気づき、
「アレを裕人君に渡したのはママだったの?私は裕人君が用意したと思って心の準備をしていたのに」
アレを使う男女の行為が無かった事を、生で行為に及んだと勘違いしたエミリさんと、アレを見つけてエッチを期待したサヤカさん母娘は耳まで真っ赤に赤面して、
「あ〜、凄く恥ずかしい、裕人君の意地悪」
二人は照れ笑いで誤魔化すが、もしかして男性より女性の方が性欲が強いのでは、僕にとって女性心理の謎は深まる。
兎に角、勉強合宿と言うお留守番の任務終了で解放された僕は自宅で寛いでいた。
簡単なプリント一枚に名邦高校まで公共交通機関のアクセスを読み、中学の公式ユニフォームを返却して、ゲーム用のロングパンツしかない僕は当日の服装自由に安心した。
試験当日まで一週間、近くに建つ市民体育館のバスケコートで、知り合いのOBに頼んで練習に参加させてもらった。
少しだけ29cmのバッシュが小さくなった気がする、これも成長の証しか?
200cm超のプロバスケットプレーヤーは足のサイズが30cm以上、34cmも珍しくないと聞くが、専用のバッシュは市販されているが普段履きのスニーカーは何センチまで市販されているのだろう、NBAプレーヤーを目指しているが無駄に成長しているかと自分が心配に成る。
後日談的に、僕が名邦高校の
「よお、
「それは初耳だ」
「俺が神山中の四番を県内ナンバー1と言ったけど、結果全国ベスト5に選ばれた、
過ぎた事はどうでも言いが、僕が散々苦労したマッチアップのプレーヤーが全国レベルだったとは、今から思えばそうだと納得する。
「後さ、
お喋りな橋本のお陰で、思い出しても忌々しい神山中のエースと全国大会で活躍を知った。
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