第89話 経口補水液。
「そう言う事ですか、ところで
「
CMの無い放送局で録画した朝ドラと大河、何が面白いのか分からない『ブラモリタ』を欠かさず視聴しているが、
「そうね、こんな感じよ」
「お爺さんのトマト、お日様に匂いがして凄く美味しい、けど無理しないでね、サヤカは心配だからこれを送るから飲んでね、の後に経口保水液『
最初の風邪薬は『パパ、これで早く治してね』、次のノンカフェイン・エネジードリンクは『お兄ちゃんお姉ちゃん、これを飲んで受験勉強ガンバッテ』から、今回のCMは『野菜を作る祖父の熱中症予防』バージョンみたいな。
それにしても『
そんな僕の表情を読み取る
「熱中症予防と骨粗しょう症の高齢者に人気のカルシウム入り
「
「うん、
それなら僕が飲むノンカフェインのミネラル麦茶で充分だろう、
「そのCMが人気で、次は『お盆の帰省バージョン』を撮影するから、サヤカちゃんは一緒に来てない」
一気に多くの情報を得た僕は
「
二千人以上収容できる観客席に十六校の中学関係者が居た午前の試合に、灰原中の生徒が駆けつけていたのか、試合に集中していた僕は気づかなかった。
着替えに使うバックヤードか通路で午前の試合に勝ち残った八校が適度に離れて車座でランチを取る。
アリーナの外で
「
いつもの冗談で、僕が遅れた理由を不要と受け取り、
「午前の試合に灰原中の応援が来ていたって知っていた?」
橋本以外のメンバーにも聞こえるように言うと、
「そうだな、男子より女子生徒が多かったし、他校の可愛い女子も見つけた」
そう答えるメンバーは試合に集中して出場したが、二分のインターバルとハーフタイムに大きな観客席から灰原中の制服を見つけたと言う。
遅れた僕はチームメンバーに混じりランチする、その時間を使って女子マネの吉田さんは、自称『戦略ノート』を開いて、
「次戦の相手は県東部の焼き物の町から来た
対戦相手の特徴から自軍のスターターを変更して、
「開始のジャンプボールは誰が?」
「
時期部長と期待される二年の白川に納得するが、『僕って可愛いでしょう?』と笑えない冗談を平気で言う千葉は足も速く、ディフェンス能力が高い。
本人に悪気は無いが、マッチアップの相手にニコニコと笑顔を見せる、それを余裕の千葉から馬鹿にされたと受け取る相手は不愉快な気分で、不用意なファールを重ねる。
相手の快足を封じ込め、ファールを引き出してプレーの質を落とさせる千葉には適役だと思う、そして吉田さんの指示も的確だった。
2Qと3Q間のハーフタイムまでに
*バスケでは一人で五回ファールすると退場になる、ファール三回でプレーが消極的になるからコーチに交代させられる。*
快足の主力選手を失った陶東中は控えが出る、仕事を終えた白川と千葉はベンチに下がり、灰原中は高身長の僕と
81対56のスコアで試合終了のピリオド、全て吉田さんのシナリオ通りに快勝した。
勿論 観客席の灰原中応援団も歓声をあげて祝福してくれる。
灰原中バスケ部と応援団が今夜は松下リゾート・神山ホテルの宿泊と夕食バイキングに期待した。
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