第79話 中間テストと禁断の恋。
五月末の修学旅行が終わると、二学期制の
以前は週に水曜土曜の二日が
フリーメール以外のSNSが一切使えない僕のタブレットに
<もう直ぐ前期の中間テストでしょ、部活が休みなら私に合わせてくれるよね>
に僕から、
<ハイ、宜しくお願いします>
と返信した。
過去に何度か
そして約束の日、約束した時間に奈央さんが借りているマンションを訪ねた。
「いらっしゃい、裕人君、夕御飯は食べたの?未だと思ってカレーを用意したわ」
お腹がふくれると頭が回らなくなる僕は、
「学習指導の後で頂きます」
食べないではなく、終わってから食べますと伝えて、リビングテーブルに座った。
高校受験用の過去問題集を開いて、
中学三年は新しく習った分野と、一年と二年の復讐も含めたテスト形式らしく、基礎に戻った学習の復習も重要と知った。
ひと通りテキストを解き終えた僕へ
「先月に神戸大阪京都へ修学旅行に行ったらしいね」
きっと
「初めて引率する修学旅行のお土産を持ってきた
あの一件を
「僕じゃない別の男子じゃないですか?」
「そうよね、私もそう思うけど、私が知る限り高校時代は小柄で男子から人気が有った
「僕は成熟した大人の女性がタイプですから、
「裕人君、それって私を誘っているの?」
こういう事も有り得ると、僕は自宅で自慰処理してきた。
「今は大丈夫です、
正直に答える僕へ、
「カレーライスに負けたみたいで悔しい、他に裕人君が食べたいのは私でしょ?」
「そうですね、甘酢ラッキョと福神漬もお願いします」
真面目に答えた僕へ、
「少し会わないうちに意地悪な男に成ったのね、まあ善いわ、そこまで言うならカレーライスをお替りしなさいね」
「勿論です」
『惚れやすい性格の詩織には気を付けなさい』って、僕はどう対応すれば良いのだろう。
それから部活動停止を含めた十日間のテスト期間が終わり、久しぶりの体育館に入る僕へ
「なあ
交際している
「そうかな、僕はプリティやキュートと違う小さいスモールの可愛いなら理解できるが」
橋本の気持ちとは違うと意見した。
翌日からの
それはクラス委員の立場から言うのだろうが、『詩織は優しくされると惚れやすい性格だから気を付けて』と奈央さんに
◇
◇
そして後日談、
小さくて可愛い担任のコケシちゃん、声が小さいから
そのたびに、
「有難う、役に立たない先生でゴメンね」
今にも泣きそうな顔で生徒に礼を言う。
「あ〜コケシちゃん、可愛くてキュンキュンしちゃう」
女子に有りがちな『あざとい』より母性を感じるらしい。
橋本以外の男子も、
「コケシちゃんを見ている心配で、
「小さくて、あんな妹が居たら楽しいよな」
それはか弱い女性を守らなければの
生徒と教師の禁断の恋は僕の
ただ一つ、生徒から親切にされるコケシちゃんは不安な顔で、
「どうして皆んな優しいの、私が半人前の先生だから?」
と
こんな場面ではお調子者だがコミュ力の高い
「コケシちゃんそれは違うよ、コケシちゃんは三年四組のアイドルなんだ、女子はコケシちゃんを応援するファンで、男子はコケシちゃんを守る親衛隊だよ」
物は言いようだと思うが、言われたコケシちゃんは満面の笑顔から涙を流して、
「わだじもびんながずぎだよ」
〈私も皆んなが好きだよ〉と言っているらしい。
橋本のアイドル発言に殆どの生徒は『アイドルは言い過ぎだろ』からの『ゆるキャラでしょ』『リスかハムスターの
まぁ、周りから可愛がられているには違い無いと思う。
少し先の話をするが、翌年の卒業式では、初めて担任を受け持ったコケシちゃんは、いつもしない化粧と女子大生が着る羽織り袴姿で、四組の生徒氏名を読み上げた。
初めて見るコケシちゃんの姿に他のクラスから『可愛い』と歓声が上がるが、四組の生徒は、
「まるで七五三だよな」
最後までコケシちゃんは妹かペット的な存在だった。
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