第60話 本音の会話。
「じゃぁ、私とお話の続きね」
ニセ恋任務の終了で気楽に成ったが、本当の意味でエミさんから開放されるのは。
「エミさん、お話の続きってナニ?」
顔が火照る僕も微量のアルコールに酔っているが、リビングテーブルの向かいに座るエミさんの頬も桃色に染まっている。
「う~ん、そうね
過去の恋バナを愚痴った後に何を言い出すのか、少し不安な僕へエミさんは、
「女子が下ネタって引くよね」
初球からど真ん中のストレートかスローカーブの変化球、どう受け取れば善いのか、友人の少ない僕は戸惑う。
「女子はお泊り会のパジャマトークで話題にするの?」
「う~ん、女子の恋バナより私は男子のエロ話を知りたいの」
「あの子が可愛いくて好きとか、早く経験したいとか、中二の男子はそんなもんだよ」
「じゃぁ私で童貞を卒業した
あの日の僕は童貞を松下さんで卒業した、そして二度目のエッチも経験して。
「何を話題にするの?」
「うん、
若い男子の生理現象で欲望を溜めると身体に悪いから、食事と同様に処理するが自分ではそこに興味が無いから味見しない。
「普通の男子は出した体液を舐めないよ、多分だけど」
「え~男性は女性の口に出して、ゴクリと飲み込んで欲しいのでしょ?」
「それって何処からの情報?」
「え、無料エロ漫画のエッチシーン、ネットで読める同人誌だけど、読んだこと無いの?」
「僕も読んだ事は有るけど、あれは男性読者を喜ばせる演出でしょう?」
「そうか、甘いとか酸っぱいとか苦いとか、生臭いとか、私は味見してみたいな」
思春期の純粋な性的好奇心なのか、中二十四歳の非処女と男子の僕は興味が違う。
「早く出して
アルコールに酔っているのか、自分の発言に照れているのか、エミさんの頬は更に紅潮してきた。
「エミさん、これはセクハラだよ、すこし冷静に成ろうよ」
「セクハラって分かっているわ、こんな事は酔わなきゃ言えないでしょう」
酒の勢いって、大人みたいな言い訳だろう。
「もう一度話題を変えようね」
「じゃあ、大きくて力の強い男性が女性を力づくでレイプは可能でしょう?」
これもエロ漫画からの知識なのか、それを問うのも面倒くさい僕は先を急いで、
「そうだね、性犯罪で一番有るの男が女性を
「ならその逆は有りえるの?力の弱い女性が男性をレイプするって、物理的に無理じゃないの?元々好きじゃない無い女性に襲われて男性のアソコが整うの?」
確かにその状況なら手足を拘束されて、首元に刃物を突きつけられない限り、男が非力な女性に襲われる事は無いが、
「エミさんの意見は正論だけど、例えば両手両足を縛られて抵抗出来ない男性がタイプじゃない女性にアソコを刺激されれば、男の生理現象で準備が整うから、同人誌の逆レイプは有り得ると思う」
「そうか、男性は上半身と下半身が別人格なんだ勉強に成るわ、例えば何をされれば準備が整うの?」
「それは個人差が有ると思う」
「じゃあ、
あ~、確かにそれは正解だけど、恥かしくてエミさんに返事が出来ない。
「マッキー、何か言ってよ、まるで私が痴女みたいでしょう?なんちゃって~」
恥かしい発言の最後に『なんちゃって~』を付ければ笑いに出来るのか?
「エミさんって、ドSですか?」
「どちらかと言えばSね、赤いモヒカン頭のマッキーが困っている顔を見ているとゾクゾクしちゃう」
エロ話に酔いも醒めて帰り支度をする僕へ、
「怒ったの?マッキー、嫌な気分にさせたなら御免なさい、残りのすき焼きを食べてくれない?」
時間をおいて小腹が空いた僕はすき焼きの残りを片付けて、エミさんに教えられたキッチンで鉄鍋と二人が使用した茶碗を洗い、布巾で水分を拭き取り食器棚へ収めた。
「鉄鍋と食器はそのままで良いのに」
「自営業の
家では当たり前が他人の家では不思議に思われるのだろう・・・
「マッキー、本当に帰るの?」
「エミさんが何でそんな事を訊くの?」
「だって今日は両親が留守なのよ、私一人で朝まで過ごすなんて、もし暴漢が侵入して私が襲われて翌朝に変死体で発見されたら、マッキーは帰った事を後悔するでしょう?」
「それはエミさんの妄想か、
「そんな意地悪を言わないでよ、何もしないから安心して泊まって、約束するから」
それは男性が気の有る女性に言う台詞でしょ、マジで男女が逆だよ・・・
「不安なのは分かったけど、風呂に入りたい僕は着替えを持ってないし」
「187cmのマッキーを想定した2Lサイズのシャツとボクサーブリーフを用意してるよ、新品の歯ブラシも有るし、
「そこまで言うなら」
手足が伸ばせる広い風呂は僕の憧れ、これ以上にお泊りを断る理由がない僕は、ボディーガード役のニセ恋延長でエミさんの家に泊まると決めた。
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