第45話 盛り上がるクリパ。
12人で使用するには広すぎる和室がエアコンで暖かくなり始めた頃、クリスマスケーキとシャンパンの乾杯からプレゼント抽選が終わり、次のプログラムを期待する槇女の女子六人へ、
「あのさ、僕の提案だけど、女子会の名前を『
実質は天野サヤカ・ファンクラブの名称が『槇女』なんて可笑しいだろうと僕は思っていた。
「それは無理な相談ね、私たちは
即断で僕の提案は却下された。
12月24日のクリスマスイブ、雪が降りそうに寒い室外よりエアコンの暖房は和室を温めてくれるが、同時に湿度を奪い室内をより乾燥させる。
「加湿器が無いからエアコンで喉が渇くよね、なにか飲もうか?」
「ノンアルコールのカクテルが有るよ、しかも糖類ゼロで太らない罪悪感ゼロだよ」!
最近の健康ブームで砂糖不使用、カロリー糖質プリン体のゼロ飲料は市販されて、車を運転するドライバーやアルコールに弱い女性の愛好者も多いと聞く。
子供シャンパンを飲んだプラスチックのコップへ、カシスなんとかモスコなんとか、シャルドネなんとか、本物のアルコール風味と香りに気分だけは宴席の雰囲気に浸る。
クリパ参加の全員が渇いた喉を潤う中、人より嗅覚に優れた僕は微量のアルコール臭を感じ取り、僕以外11人の誰かが無色透明のアルコールを盛ったと気付くが、証拠が無いので言い出せなかった。
アルコール疑惑のカクテルを飲んで男子女子共に緊張感が薄れていくが、座った場所から移動しない。
それを見る
「いぇ~、みんな乗っているかい?、いつまでも
さすが小学校時代は生徒会長、
「え~、男子の隣、恥かしい」
指示された女子は口々に言うが誰もが素直に従ったが、逆に男子が赤面している。
男子と女子が交互に座り、次のイベントに期待して
「さぁ、今日のイベントは、
橋本が『王』と言いかけた瞬間、学年で一番のイケメン、
「おい
冷静な
「え、
「
「・・・」
どうやら
注、イケメンの
それでも多くの女子から告白されて交際するが長続きしない。
モテる
チームメイトの
「そこが不思議なんだけど、橋本君は女子マネの吉田さんと交際しているのでしょ、吉田さんとキスには飽きたの?」
そこまでの展開に僕は無関係だと安心、油断していた。
「小学校から八年の親友、
そんな馬鹿な、自分の欲望を我慢しているのを僕の所為みたいに言うな、小中八年の親友、
橋本の激白に槇女は反応する、
「じゃぁ、槇原君も
槇女の沖田さんへ僕は、
「そうだね、天野さんとは何も無いよ」
質問を否定せずに答える、学年カースト上位女子バスケ部の
以前は婚約者と公言した
「そうか、彼女が居てもキス出来ないなんて橋本君が可哀想ね、同情じゃなけどボッキーゲームならOKかな?みんなはどう?」
細い焼き菓子にチョコレートがコーティングされた『ボッキー』と言うお菓子を男女が両端から咥えて食べ進む合コンに有るらしいゲームを、リーダーっぽい近藤さんから提案された他の女子も、
「本当にキスするんじゃないなら大丈夫よ」
概ね了解したが、これも誰かが入れたと思うアルコール疑惑の影響なんだろうか、勿論酒類に弱い僕は甘い味を理由にカクテルを飲まずに、ノンカフェイン・ペットボトルの麦茶を飲んでいた。
「あの、私は無理です」
僕のシクラメンを受け取り、隣に座る山村さんが手を上げて小さな声で不参加を望んだ。
「え~付き合い悪いよ、男子と女子の数が合わないよ」
槇女のメンバーから同調圧力で参加を強要される光景に、
「甘いボッキーは苦手だから僕もパスするよ」
隣に座る山村さんを庇う積もりは無いが、僕の真っ赤なシクラメンを喜んでくれた小柄な女へクリパで嫌な思いをさせたくない。
「じゃぁ、
「私の所為で槇原君を付きあわせて、ごめんね」
「違うよ、僕は甘いチョコが嫌いなんだ、少し熱いから窓際に移動したいけど」
冷え性の女子に断られると思うが、誰かが一服盛った微量のアルコール入りカクテルで頬を赤らめた
「私も顔が熱い、涼める窓際に移動しましょう」
僕と
二人きりに成っても話題が無く、少しの沈黙から
「話す事ないね、槇原君が何か私に質問してよ」
此処は何を訊けば良いのか、好きな食べ物とか趣味とか言われてもそこから会話は続かない、こう言う所が友人の多い
そうだ、最近感じるの疑問を質問しても変に思われないかと、多少不安だが良い機会と、
「へんな事を訊くけど、中二女子が想像する交際って、どんなの?」
「え~、私、彼が居ないから分からないけど、想像するなら・・・」
女心を知りたい僕の変な質問へ真剣に考える
「そうね、私の想像だけど手を繋いで一緒に下校して、お休みは私が作ったお弁当を持ってピクニックや遊園地に行って、恋愛映画なら一緒に行きたいな」
あぁ、そうか、女子は外にお出かけが嬉しいのかな、休みは部屋で昼寝が好きな僕はインドア派と言えないし、暗くなる映画館は上映開始から数分で寝てしまう。
この状況にデートでキスしたいのかと、女子へ訊くのは空気が読めなさ過ぎると会話が途切れた。
「じゃぁ、私から槇原君に質問ね、プレゼントに真っ赤なシクラメンを選んだけど、お花は好きなの?」
あ、そこか、
「正直に言うと、花の名前も知らないし、葉が赤と緑のポインセチアを見て気が変わり、知り合いのお店で勧められて」
「やっぱりね、槇原君とシクラメンンの組み合わせが意外で、笑いを我慢に必死でした」
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