第37話 お姉さんに相談して。

今回も先を急ぐ『あらすじ』的なエピソードですが、ちょっとエッチな展開も有ったり無かったり・・・


水曜の放課後に天野サヤカさんとお互いの謝罪から一度は仲直りしたのに、二度目の口喧嘩で『私と別れたら凄い事に成っても知らないよ』と捨て台詞を言われた。


冬時間でバスケ部も早く十七時に終わり、急いで帰宅してシャワーで汗を流した。

パン屋の父と母は朝も早いが夕食の時間も早く、僕が帰る時には食事を終えている。


「裕人、直ぐに食事をするでしょ?」

母の問い掛けに、

「これから勉強を教わりに行く、帰ってから食べるよ母さん、お店のパンが残ってないかな?」

槇原製パン店の人気商品、食用パンと惣菜パン、お菓子パンもおやつタイムの午後三時に完売する。


「今日は焼きそばパンが二つ残っているけど、裕人はこれをどうするの?」

「それを腹の足しにするから持って行くよ」

母にはそう答えて、受験用テキスト五冊と焼きそばパン二個をサブバッグに詰めて自転車に乗った。


家を出る前にタブレットミニで、奈央ねえさんの着信メールで約束の十八時を確認した。



看護師の奈央さんは昼勤と準夜勤シフトの仮眠用にワンルームを借りていて、その部屋で僕は受験対策を兼ねた学習指導を受けている。


玄関エントランスのインターフォンを押して、奈央ねえさんの部屋に入る、と同時に昆布出汁の香りに気付き、

「こんばんわ、この匂いはおでんですか?」


「いらっしゃい、裕人君、驚くような嗅覚ね、今晩はおでん、嫌いじゃないよね」

カツオ出汁と昆布出汁を嗅ぎ分けるなんて、カレーと肉ジャガの次に簡単な問題に驚かれても逆に恐縮する。


「勿論、おでんは大好きです」

ご馳走に成る身としては『おでんを嫌い』などと言えないし、僕の家では他所の家とは違う『おでんルール』が有るけど、話たら笑われそうで言いたくない。


「じゃあさあ、裕人君はおでんで何の具が一番好きかな?」

そこを訊かれると、遠回しにでも我が家の『おでんルール』を話すしかない、


「笑わないで聞いてください、一番好きな具は『玉子』だけど、一人一食に付き一個の制限が有るから、最後にとって置いて、数量制限の無い大根と蒟蒻を中心に食べます」

オブラートに包んだ僕の説明を奈央ねえさんは不思議に思うのか、

「その理由って?」


「順に言うと・・・」

パン屋の開店時間は午前七時、朝食と夕食も早い両親と僕が一緒に食事が出来るのは土曜と日曜日、土曜の夕食におでんを食べる際に食の好みが同じ僕と父が先を争そって玉子を取り合うから、母から『玉子は一人一個』と制限される。


翌日の朝食は、おでんに茹でるタイプのウインナーを足して、僕と父は二個目の玉子を与えられる。

序に言うと、さつま揚げや蒲鉾の練り物と大根は出汁に和辛子を付けて、コンニャクと玉子には甘味噌を付けて食べる。


以前に母は何度かジャガ芋をおでんに入れてみたが、、父と僕に不評だった。

我が家で定番の具は柔らかく煮込まれた『鳥の手羽元』も人気がある。

牛スジ肉やタコを入れたり、それぞれの家庭で具材の好みが別れると思う。


そして日曜の昼食は残ったおでん汁に、母が残してある玉子と鳥の手羽元へ葱と赤い袋のパウダーカレー粉を溶き入れ冷凍うどんを五個投入して、和風のカレーうどんが決まっている。


そこまで聞いた奈央ねえさんは、

「そうか、明日は私もカレーうどんを真似してみよ」

笑われると思いながら話したが、予想外に納得されて拍子抜けした。


食事を終えて学習指導中に、

「どう、何か変化は有った?」

そうそう、先行学習のお陰で授業中の理解度が高まり、奈央ねえさんの指導方法に感謝している。


「はい、予習の意味も有り、授業に集中できます」

「でしょう、中学3年に成ってから始めるなんて遅い、高校の受験勉強にフライングは無いのよ、机に向って集中する習慣を身体に慣れさせることが大事」


奈央ねえ御尤ごもっともなご意見に賛同するしかない。


「あとは何か?」

「後と言われても、何を?」

中学の授業以外に何を話せば良いのか、思い浮かばない僕へ、

「喧嘩した元カノと、どうなったの?」


今日の放課後を思い出して、

「相手から謝罪されて、僕も非を認めて、前回の口喧嘩は無かったにしたけど、復縁と今後の相談で二回目の喧嘩をしました」


モデル復帰の天野サヤカとは普通の友達に成る、その理由に僕は『CM契約期間中のスキャンダルは契約違反で多額の違約金が発生する』と相手の立場を思いやる積りだったが、天野サヤカは怒りだした。


そこまで一部始終を訊いた奈央ねえさんは、

「う~ん、それは正論だけど、裕人君の方が悪いと思う」

「え、何で、僕のどこが悪いの?」


「そもそも、彼女から先に謝ってきたんでしょ、包容力と言うか、裕人君は男の度量で受け入れるべきよ」


天野サヤカが言った『私と別れたら凄い事に成るよ』の意味を『私がフリーに成ったら男子からモテモテ』なのかと奈央ねえさんに意見を求めた。


「う~ん、CMモデルがどれくらいモテるか分からないけど『高根の花子さん』で男子は腰が引けるんじゃないの?」

結局答えが見つからないまま『今日の出来事』の報告は終わり、


「裕人君、今日はどんな風に甘えたいの?」

前回の耳かきも気持ち良かったが、やっぱり膝枕が一番気持ち良いが、今日は仕事で疲れている姉さんへ先にマッサージしてあげたい。


「え、その言葉に甘えて好いの?私が寝たら裕人君が帰るのは無しよ」

ベッドにうつ伏せの奈央ねえさんの肩から腰、太股からふくらはぎの後を揉み解す僕へ、


「私の肩なんてゴリゴリに凝っているでしょ?」

前も思ったが、肩が凝ると言うが、男と違って女性の腕や足の裏まで柔らかい。


「何処もポチャポチャで凝ってないです、そもそも筋肉痛に成る筋肉も無いでしょ」

正直に感想を告げる僕へ、

「ちょっと、それは酷いよ、私ポチャポチャに太ってないし、そうだ裕人君、その手を貸して」


ベッドから起き上がった奈央ねえさんは、部屋着のスエットすそから僕の手を入れさせて、自分の生乳なまちちに当てた。


奈央さんの意外な行動に驚くより、その胸の柔らかさに言葉を失い、僕の全神経が右手に集中した。

その感触を別の物に例えるならとても柔らかいプリンに手を沈めた、それは違う突きたての温かい餅に手の平を埋めた、僕は条件反射的に奈央さんの餅肌を握った。


「女性の生オッパイは傷付きやすい桃を扱うように優しくするのよ」

「は、はい、こうですか、でもこれじゃ収まりが付かなくて」

思春期の男子は僅かな刺激でも身体の一部が変化する。

女子との経験が有る僕は奈央ねえさんの意見を求めた。


「裕人君が姉の私とエッチしたいなら合意するけど、いくつか約束してくれる?」

「幾つかの約束とは?」


「当たり前だけど私はバージンじゃないよ、基本好きな人とエッチでゴムは使いたくない、エッチしたと誰にも言わないのと、男性の賢者タイムで後悔はしないで」


全てが受け入れられるが、

「避妊しない理由は?」

「そうね、服のまま風呂に入っても気持ち良くないでしょ、それと同じよ」


ゴム付きのエッチしか知らない僕は奈央ねえさんの説明で興奮しながら期待した。

「今から良いですか?」

「うふふ、裕人君、今は生理中なの、期待させてゴメンね、次の安全日にしましょう、とか言ってもアソコの収まりが付かないね、手で抜いてあげるから見せて」



期待したエッチを裏切られたより『抜いてあげるから見せて』に興奮して、スケールアップした僕は奈央さんの手に分身を委ねた。


「裕人君、既に大人の形態ね、正しく使わないと将来は女性を泣かせるわよ」

人生初の経験で女性の手へ欲望を放出した罪悪感と、絶頂直後の敏感な痺れる感覚を味わった。


これを男の『賢者タイム』と言うのか、それでも僕は奈央ねえさんへ正直に、

「お変わりお願いしても好いですか?」


「もう、裕人君の性欲強過ぎ、可愛い弟の頼みなら仕方無いわね」

と追加で合計三回を奈央ねえさんの手へ欲望を放出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る