第34話 甘々お姉さんのスパルタ学習。
姉弟に成る約束した数日後、僕の型落ちタブレットに奈央さんからメールが届き、
「定期テストは何日から、水曜と土曜の夕方は都合が良いから学習指導するから、夕食も用意するね」
その内容に、
「よろしくお願いします」
と送信した。
同級生の
そんな気分で当日水曜のバスケ部朝練中に、小学生の頃から腐れ縁の
「マッキー、表情が固いな、人に言えない心配事なら遠慮なく相談してくれよ」
八年来の友人と信じていたが、男と男の約束と言った
同じ過ちを繰り返すほど僕はバカじゃない。
「ハッシーの心配は無用、僕は別になんとも無いよ」
橋本の杞憂に勘が良い女子に気づかれないかと用心して、元々無口な僕は放課後まで大人しく過ごした。
10月の衣替えから冬時間で17時に早くなった下校時間まで部活に参加して、『一緒に帰ろう』と誘う同じ方向へ帰るバスケ部員へ、
「ちょっと用事が有るから、別行動で帰る」
「マッキーは何処へ行く?」
いつもの
橋本の彼女、女子マネの
「
彼氏の
奈央さんに教えられた仮眠用のワンルーム・マンションへ向い、エントランスでインターフォンを押した。
「裕人君、いらっしゃい、どうぞ」
女性の独り暮らしを訪ねた経験は無いが、想像よりシンプルと言うかベッド以外に冷蔵庫と電子レンジの家電以外、シンプルなワンルームに驚いたと同時に美味しそうな匂いを感じた。
「こんばんわ、奈央さん」
僕の言葉が気に触ったのか、奈央さんは、
「奈央さんじゃなくて、私をお姉さんと呼んでね、弟の裕人君」
何となく分からないでも無いが、僕にも抵抗が有って、
「お姉さんですか?」
「そうよ、私は弟を溺愛する優しい姉よ」
一人っ子の僕は仲の良い
「そうですか、お姉さん、これで良いの?」
「はい、良く言えました、裕人君、部活で汗を搔いたでしょ、シャワーを浴びてから食事にするよ」
行き成りのシャワー指示に驚く僕は、
「着替えを持ってないです」
「大丈夫よ、お姉さんが下着を用意しているから、TシャツはLLサイズ、ボクサーブリーフはLサイズでしょ?」
身長185cm、体重75kg、ウエスト73cmを見ただけでサイズを当てるのも、男性経験が豊富なのか、それとも現役看護師の
「これ下着とバスタオルね」
洗面台の前で着替えを渡せれて、以外に広いユニットバスのシャワーで身体の汗と汚れを流して、僕はバスタオルでゴシゴシと短髪を乾かした。
部屋に入った時に感じた匂いは、テーブルの上に置いた圧力鍋から香るビーフシチューが飢えた僕の食欲をそそる。
「今日のお昼休みに槇原ベーカリーでフランスパンを購入したわ」
僕を迎える為に店まで出向いてくれたのかと感謝しながら、両手を合わせて「頂きます』とスプーンを持った。
普段の僕は生活時間が違う父母と一緒に食事しないから会話もない、
「裕人君、今日は学校で何か有ったの?」
小学生の頃に母から訊かれた質問を思い出しながら、
「普通に授業と部活が有って、給食は美味しくないスパゲッティでも、生きる為に完食しました」
勿論、奈央さんのビーフシチューが美味しくないと言う意味では無いが、
「私のシチューが美味しくないの?」
「とても美味しいです、お替りしても善いですか?」
この後に学習指導が有るから満腹だと思考力が落ちる不安で、お替りは一回だけで『お姉さん、ご馳走様です、僕が使った食器は自分で洗います』と母の教えを言う。
「偉いね、裕人君、それはお母さんの躾けかな」
「はい、朝が早いパン屋の父母とは食事と就寝の時間が違うから、僕には普通です」
「妹の愛奈に聞かせたい台詞ね、じゃあ勉強を始めましょう」
圧力鍋を片付けた奈央さんはテーブルに英数国社理の分厚いテキスト五冊を置いて、
「裕人君が科目を選んで、1時間で可能なだけ問題を解いて、分からない間違えた問題をピックアップして、繰り返し分かるまで解くのよ」
何処から出したのか、キッチンタイマーで60分をセットして僕の前に見せた。
「タイマーが鳴るまで深呼吸と背伸びも禁止、集中力を維持する練習だからね」
弟を溺愛する甘甘の姉はスパルタ教育者に代わった、これが地区一番の黒松高校に合格の学習方法なのか、行き成りの事で驚くが僕なりに得意な数学のテキストへ集中しして、ピッピピッピとタイマーの鳴るまで一時間が経過した。
「どう、裕人君、全部出来た?」
どう見ても無理でしょ、しかも中学二年で習ってない中三の範囲もあるし、
「そうね、最初は無理でも次は攻略できるわ、分からない問題だけ繰り返し解いて」
次は得意な理科でも同じ様に奈央さんのスパルタ指導が続き、僕はふと思った。
「あの、
「
「年が離れていても血を分けた姉妹だから他人より逆に難しいですね」
「裕人君が理解してくれて嬉しい、二科目終わったから今日はお終いね、甘えさせてあげるからこっちに来て」
テーブルの対面に座る奈央さんは僕の手を引き寄せて言う。
「あの、僕が勘違いしたみたいにお姉さんが思う、僕は童貞じゃないです」
「え、どう言う事、裕人君が女性を経験しているならお姉さんに報告しなさい」
此処に来て隠す必要も無いから、転校してきた
「そうか、裕人君は女子に優しいのね、だけど誰にでも優しいのは罪作りよ、
そう言われたまま、僕は奈央さんの膝枕で耳搔きされて、眠くなるほど快楽の持て成しを受けた。
「これも、お姉さんの愛ですか?」
「そうね、身体だけは大きくなったけど、いつまでも可愛い弟よ」
シャワーを浴びて食事に満足して、膝枕で耳搔きに微塵の不安も無かった、逆に申訳なさから、
「お姉さん、僕も何かお返ししたいですけど、マッサージはセクハラですよね?」
「え、裕人君がマッサージしてくれるの?」
「はい、毎日のルーティンでセルフ・マッセージしてます、自分で揉んでも気持ち良いです」
「その理由を教えて」
「はい身長を伸ばす為にコーヒーや紅茶を飲みません、『寝る子は育つ』とか、過剰な筋肉は骨の成長を阻害するし、運動後のセルフマッサージは揉みほぐしと筋肉痛予防の意味もある。
更にバスケ経験者で高身長の父から『寝る前にコップ一杯の牛乳を飲む』を守っています」
それを民間療法と言われても、絶賛成長中の僕は信じて毎日牛乳を飲んでいるし、言い忘れたが190cmの父と170cmの母から受け継いだ遺伝子のおかげも有る。
「じゃぁ、裕人君にマッサージをお願いしようかな」
「なるべくデリケートゾーンを触らないようにしますが、坐骨マッサージは気持ち好いです」
僕は自分で体感した坐骨マッサージをエッチな意味でなく、奈央さんへ申し出た。
「じゃぁ、お尻を触ってもOKよ」
ベッドでうつ伏せの奈央さんの肩から腕と掌、背中の背筋から腰を揉まれる奈央さんは、
「あ~気持ち好いわ、裕人君は女性の身体に慣れているの?」
「それ、セクハラですよ、マッサージを止めますよ、お姉さん」
「ウソよ冗談だって、次は坐骨ね」
太股の付け根に近い、坐骨を揉むと心地良い僕は奈央さんのヒップに触れて、男性の尖った尻と女性の丸いお尻の形が違う事に驚いた。
「あ~それも気持ち好い、次は何処なの?」
坐骨から続く太股の裏、最近のアスリートはハムストリングスと呼ぶらしいが、僕は人体で最大の筋肉はこの大腿筋と記憶している。
股から膝下の
「足の裏なんて汚いよ、それでも気持ちいい~~・・・・」
ハードワークの看護師さんは全身疲労と言っても過言じゃない、それを立証するように奈央さんは僕のマッサージで快楽から気を失った。
このままじゃ風邪を引くと、僕は眠る奈央さんへ羽毛布団を掛けて、オートロックのドアから帰路に付いた。
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