第18話 エミさんのエッチな恩返し。

***御注意してください、エッチなシーンが有ります。


体が沈むほど柔らかいベッドで転寝うたたねした僕は、唇に触れる柔らかさで目覚めた。

まぶたを開いた僕の目には松下エミさんが笑顔で、

「えへへ、寝ている槇原マッキーにキスしちゃった」

今の感触は松下エミさんにキスされたのか、昨夜の公園で篠田ユミさんのキスと感じが違うが、二日連続で違う女性からキスされるなんて僕のモテ期か?

女性が言う『男って単純なバカね』に舞い上がる僕の顔はヘラヘラしていたと思う。


「ねぇ、槇原マッキーはエッチな事に興味有る?」

思春期の男子がエッチな事に興味がない筈は無いが、キスされて平常心で無い僕は、

松下エミさんのエッチな事って、なに?」

槇原マッキー、同意したね、こういう事よ」

この時点で寝ていた僕は、松下エミさんの手で刺激されて元気な状態にされていた。

顔のガーゼで遮られた視界から彼女の白い胸元が見える。


そして僕の下半身が暖かくて柔らかいモノに包み込まれてザワザワしている。

松下エミさんは僕の耳元に顔を寄せて、

槇原マッキー、童貞卒業おめでとう、初めてが天野サヤカさんじゃなくて私でゴメンね」


それは僕とサヤカの関係からゴメンと言うのか、なんて冷静では居られない。

人生初の経験で僕の化身は松下エミさんの泉に包まれて、言葉に出来ない快感と痛いほど興奮している。


「本当にエミさんとシテいるの?」

「うん、マッキーが寝ている時にアレを付けたから好きに出して好いけど、私が逝くまでもう少し我慢してね」

我慢、我慢、我慢と必死に耐える僕は限界を迎えて、

「もう駄目かも」

「うん、私と一緒に逝こう」

別の事を考えながらエミさんと大人の階段を登って天国のドアを超えた。


「初めてって想像するより呆気ないでしょ、私と付き合ってとか言わないから、ヤルだけのセフレで善いわよ」

「え、セフレって、セッ◯ス・フレンド?」


「そうよ、私は匂わせたりこじらせたりする馬鹿な女じゃないから安心して」


ストーカーから松下エミさんをかばった僕は14歳で童貞を卒業した。

気持ち良かったが特別な感動も無く、彼女が言う人生初のエッチは数分の呆気ないものだった。


「食事に行きましょう、槇原マッキーの希望はスタミナ・ラーメンだったよね」

スタミナじゃなくてベトコンだよと否定せず、乾いたバスケジャージを着て駅西口のラーメン店へ向った。


店の外まで匂う大蒜にんにくの香りに誘われて、空いていたカウンター席に二人で並んで座った。

「らっしゃい、ご注文は?大きいお兄さん、コレどうですか?」

ラーメン店主のお勧めで『チャレンジラーメン』の張り紙を見た僕へ、

「メガ盛りラーメンを二十五分の完食で無料って、槇原マッキー、挑戦してよ」

松下エミさんは簡単に言うが、チャレンジって言う位だから成功例が少ないでしょ。


「お兄さん、可愛い彼女から言われたら、挑戦しないと男じゃないよ」

確かに今の僕は腹ペコで完全に空腹だが、なんの説明も無いままチャレンジするほど愚かじゃない。


「大将、チャレンジラーメンって何玉入り?」

やる気満々でも一応訊いてみると店主からは、

「普通5玉と具材は3倍で器がすり鉢、完食したらレモンシャーベットをサービスするよ、失敗したら3千円ね」

失敗の3千円よりレモンシャーベットが気になる松下エミさんは、

「シャーベットが食べたい、マッキー、頑張って」

無邪気に笑顔で言うから、

「ほら、お兄さん、可愛い彼女にプレゼントできるよ」

断れない流れから僕は、チャレンジラーメンへ挑むことになった。


「ヘイ、お待ち、今から二十五分だよ」

店主はキッチンタイマーをセットして、カウンターの上に置いた。


熱々の大蒜にんにくたっぷりラーメン、スープに沈む麺を持ち上げて、冷やしながら口に運べば『美味い』と叫んでしまう。

カウンター越しの店主は僕を見て『俺のラーメン美味いだろ』とニヤニヤ笑う。


今までの僕は一度にラーメン3杯と唐揚と餃子と炒飯を完食した経験が有る。

兎に角、麺が延びる前に片付けないと後から困る作戦で戦うが、鼻に詰めた綿で呼吸が苦しい。

松下エミさん、ティッシュを一枚ください」

鼻を塞ぐ綿を取って、残り時間10分でスパートした、すり鉢の底に握り拳大の叉焼チャーシューが隠れていた。

煮込んで柔らかいチャーシューは飲み物だと、ばかリ一気に喉へ押し込見、スープを飲み干したすり鉢の底に『完食』の印が見えた。


キッチンタイマーの終了時間は35秒に、ホッと安堵の息を吐いた。

賞品のレモンシャーベットを嬉しそうに頬張る松下エミさんは、

槇原マッキーは胃袋からキ〇タマまで空っぽだから完食できたね」


「え!」「え~?」

可愛い女子から出た言葉に僕と同時にラーメン店主も驚いて声を上げた。


それからラーメン店を出るまでは、恥かしくて憶えてなかった。

夜の7時過ぎ、暗い帰り道に松下エミさん心配して家まで送る僕へ。

「付きまといの男は大丈夫だよ」

「別の男がエミさんを狙っている可能性もあるから、家に入るまで送る」


「へえ~マッキーは心配してくれるんだぁ、私とエッチしたから?」

「別にそうじゃないけど、僕が心配しちゃぁ悪いの?」


「別に好いけど、セフレの件をマッキーは承知したね」

「うん、でも僕は携帯を持ってないよ」


「マジかよ、連絡手段が無いなら二人の暗号サインね」

「暗号って?」


「そうね、おでんの鍋に入ったマッキーは竹輪、私はシラタキを入れた茶巾で、煮込まれて偶然に竹輪が茶巾に挿入しちゃう、私から『おでんが食べたい』って言ったら『エッチしたい』のサインよ」


僕が竹輪で松下エミさんが茶巾とは下ネタだよな、これから寒い冬に向かうから『おでんが食べたい』でも変じゃないけど、おでんなら大根や蒟蒻と練り物に昆布、王道の玉子は外せない。

とか言ったら複数の女子と乱交だよな・・・それも悪くないって。


セレブなマンションの玄関前まで松下エミさんを送り、僕も帰宅する。


あぁ、顔の傷と夕食を食べないと、母に何て言えば良いのだろう・・


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る