第16話 女子のリクエスト③。
昨日は練習試合の後に
今日も朝から練習試合で九時までに灰原中の体育館へ登校する。
昨日対戦した三校より、今日はBブロックで二回戦を勝ちあがった稲尾中、大和中、東山中を迎える。
それと同時に『明日、練習試合の後に時間を頂戴』と言った
午前八時三十分の集合時間に余裕を持って早めに家を出た僕を、校門前で私服の篠田さんが呼び止めた。
「マッキー、昨日は私の
言いたい事を一方的に言って去って行った。
いつもは嫉妬するサヤカが篠田さんへ同情して焼肉デートを許したのか、『女心と秋の空』は変わり易いと言うが、中二男子の僕は難しくて理解出来ない。
徐々に集まる灰原中のバスケ部員、女子マネに告白してOKを貰ったキャプテンの
チームメンバーから冷やかされて、照れるより喜んでいるみたいに表情を崩す。
番号付きのビブスを着て、フットワークから準備運動を終えると、
『集合!」
コーチの掛け声で集まる男子バスケ部の全員へ、
「今日の相手はBブロックのベスト4、昨日の様に楽に勝てないから集中していけ」
強敵を迎えた今日は8分4Q、時計を止めないランニングタイムで試合するらしい。
そして試合開始から10点差以上リードできないと、僕を含めたスターターを交代させてくれない。
下級生の経験値を上げる為に、控えメンバーの出場機会を与える為に、そして
取らぬ狸のナントカで、毎試合接戦で交代休憩させてもらえない、特に青山中のコーチと灰原中のコーチは、何やら因縁が有るみたいでいつもより大きな激が飛ぶ。
四校はベストメンバーでフルタイム32分の試合を終えてから、昼食時間を挟んだ午後からサブと一年でチームを組み、四校総当りで対戦してから解散に成った。
「アッした~<有難うございました>」
他校のバスケ部へ挨拶して見送り、体育館の床掃除で殆どの部員は帰路に着くが、僕と
「
「デートじゃないし、相手を聞いてどうする?」
微妙な空気に
女子シャワー室からチームジャージ姿で出てきた。
「お待たせし・・・え何でマッキーが居るの?」
君達のデートを邪魔する積もりは無い僕が、ここに居ちゃ悪いかと思うころ。
「
女子バスケキャプテン、学年で一番可愛い女子と人気の松下エミさんがメイクして大人の私服姿で登場した。
「ウソ、マッキーのデート相手は松下さんなの?」
ハッシー、デートじゃないって言ってるだろ」
松下さんの用件を知らない僕は
「う~ん私はデートでも好いけど、さぁマッキー、行きましょう」
「
「松下さん、これから僕と何処に行くの?」
「う~んそうね、取り合えず私をエミと呼んでね、面倒な元彼っていうか、知り合いの男と別れるの、軟弱な大学生だから危険は無いけど、マッキーはそこに居るだけで善いから」
それって身体の大きい僕が、松下さんのボディガード役を任されるのか、イヤイヤ危険が有るから僕を同伴させたのだろう。
「ねえ、マッキー、私のプライベートを聞きたいでしょう?」
「別に善いよ」
「私の質問は、聞いてっていう意味よ」
「じゃぁ、聞かせてもらう」
松下さんは一年前に学習塾の大学生講師と付き合い始めて男女の関係になった。
大学卒業から内定を取り、就職前の彼は女子中学生と交際に不安で別れた。
次に現れた男性は松下さんと同じ学習塾の受験生から、大学合格からアルバイト講師で戻って来た。そ野地学生から食事に誘われた松下さんは食事こそ行ったが、交際する積りは無くて断ったが、何度も誘い続けるストーカーと言う。
「ちょっと有名な大学のクイズ研究会に入って知識の自慢ばかり、難問漢字とか世界遺産なんて興味無いって、言っても空気の読めない奴なんだ」
あのクイズ番組で見るような女子からモテそうにない大学生なんだろうな、って僕の一方的な先入観だけど。
「それで何処で会う予定なの?」
「駅近くの鶴屋書店なら明るいし通行人も多い、あいつの前ではエミと呼んでね」
エミか、そこまで僕と松下さんは親密じゃないし、今イチ気が乗らないけど、それも演出なら仕方無いなぁ。
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