第3話 禁断の背徳感と無茶振り。
美味しい洋菓子に誘われて、サヤカから『あの女子生徒は誰?』と聴取されたり『婚約者の私は
そんな部屋の外から足音が聞こえて、ノックと同時にドアが開いた。
「裕人君、お腹が空いているでしょ、洋菓子と紅茶より食事にしましょう?」
僕の空腹を見透かすサヤカのママは初恋のエミリさん。
「僕は家で母の料理を食べるから大丈夫です」
初めて訪れた家で食事に誘われても普通に遠慮するが、
「お母さんには『
部活後で腹ペコの僕は大好物のカツカレーに
大盛り御飯にカレールーをたっぷり掛けた皿の上に、熱々のロースカツが鎮座する。
隣に座るサヤカは小皿に少しのカレーライスを見て、元モデルは小食と思う。
「さぁ、裕人君遠慮しないでね、お腹いっぱいに成るまでお代わりしてね」
家で食べる母のカレーより美味しいく感じるのは、エミリさんが料理上手なのか、それとも空腹は最大の調味料を実感して、お代わりした二杯目のカレーを完食した。
僕の食欲に驚くエミリさんは、
「わぁ凄い、裕人君みたいに御飯をいっぱい食べる男の子は好きよ」
憧れた人から理由はともあれ『好きよ』と言われて嬉しい僕は、
「こんなに美味しいカレーを作るお母さんが好きです」
正直な気持ちで返した。
「ちょっと裕人君、私のママが好きなの?」
嫉妬するサヤカは聞き捨てなら無いとばかりに、僕へ文句を言うが、
「違うよ、君のお母さんが好きじゃなくて、僕は美味しいカレーが好きなんだよ」
「裕人君、紛らわしい言い方をしないでよ、あ、お腹が痛い、ちょっとゴメン」
席を立つサヤカを見送る母のエミリさんは、
「仕事を休む前からサヤカは体調が良くないの、休業の理由を訊いても言わないし、そうだ裕人君が聞き出してくれないかな、勿論私から頼まれたとは言わないで」
「僕が訊いたら逆に傷つけないですか?」
「裕人君にならサヤカはきっと話すわ、ねえお願いするわ」
初恋の人から頼まれたら出来る限り頑張ると思う僕へ、
「さっきの裕人君が好きって、もしかして私の事なの?」
「・・・」
本心を指摘されて僕は何も言えなかった。
「裕人君が私みたいなオバサンを好きなら、恥かしいけど嬉しいわ」
「エミリさんはオバサンじゃないです、僕にはお姉さんに見えます」
「ヤダぁもう裕人君、お姉さんって、私を幾つと思うの?」
「はい、エミリさんは十五歳でサヤカさんを産んだと予想して今は二十九歳、それより若く見えます」
「裕人君、お世辞が過ぎるわ、二十歳でサヤカを産んで今は三十四歳よ、私が喜んだってサヤカに内緒にしてね」
「はい勿論、僕がエミリさんを好きなのも内緒でお願いします」
冗談とも本気なのか判断出来ないエミリさんの笑顔で会話から、
「ここに居ないから言えるけど、サヤカは負けず嫌いで強情な性格から、裕人君にエッチなお願いをするかも知れない、高校卒業までは手を出さないでほしい、その代わりに私が裕人君の望みを叶えるわ」
嘘でも嬉しい提案に僕は『その事は分かりました』エミリさんと約束した。
僕は婚約者の母と内通する背徳感と禁断の恋を妄想した。
余韻に浸る僕へ戻ってきたサヤカは、
「裕人君はママと何の話をしていたの?」
「うん、学校の話とカレーの事だよ」
「そうなの、じゃぁ私の部屋に行きましょう?」
「宿題も有るし、お風呂に入りたいから僕は帰るよ」
「え~じゃあ一緒に宿題をしましょう、そうだ好い事を思いついたわ、裕人君が着替え持参で、ここのお風呂に入ってから晩ごはんを食べて宿題すれば私の勉強にも成るわよ」
自称婚約者のサヤカさん、幾らなんでも中学生の僕にそれは無茶振りですよ・・・
「そうね、善いかも、三人で食べる食事は美味しいわ、ねえ裕人君どうなの?」
『ねぇ裕人君』って、ママのエミリさんも娘に同調するって、マジか・・・
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