第366話

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【お知らせ】

※ロキ・レプリカのステータスをオール800→平均1000に変更しました。

それに伴って、357話の表記も『ステータスが平均1000くらいあるバケモノだ』に変えています。御了承下さい。


↓以下、本編です。

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冒険担当クラブ視点】


 さてさて、なかなか上手くいったんじゃないかな? ……も。


 というわけで、混乱が収まりきらない内に【ダークルーム】を解除して、みんなを戦場へと放り出す。


 【ダークルーム】の外は、ここ四日ほどフェンリルが【氷魔法】を連打してくれたおかげで綺麗な雪原へと変化していた。


 まぁ、足を取られるレベルの雪の深さじゃないのは、不幸中の幸いかな?


 キラキラしてて、見てる分には綺麗だ。


「おいおいおい! いきなりおっ始めるつもりかよ!?」

「最終試験なんだし、もう逃げ込む場所は必要ないでしょ?」

「せめて、装備くらい用意させろ! こちとら装備もまだ買ってねぇんだぞ! あと、あの話を聞いた後なんだから、SPを割り振る時間ぐらい寄越せってんだ!」


 うん。


 口は悪いけど、言ってることは至極真っ当なんだよね、ジェイスくん。


 これはTakeくんと同じ苦労人のニオイがプンプンするよ!


「SPはゴメンだけど、武器はコレを使って。習作だけど、それなりに頑丈だから」


 言いつつ、私はジェイスくんとムツにゃんの足元に剣を……泉の女神様の時のことを思い出して……優しく下手投げで放ってあげる。


 ヒュンヒュンヒュン! ザクッ!


 ヒュンヒュンヒュン! カァン!


 カランカラン……。


「有り難く使わせてもらう」

「――殺す気か!?」


 ムツにゃんの足元には剣が上手く刺さったんだけど、ジェイスくんに投げた剣は足元に刺さらなくて、その場で跳ねて、彼の前髪を少しだけ斬り裂いたみたいだね。


 不可抗力、不可抗力。


 だから、こっちをそんなに睨まないでくれるかな?


「つか、なんだこの剣……! 習作ってレベルじゃねぇぞ! 物攻だけで百以上もあるじゃねぇか!?」

「攻撃力がいきなり二倍に増えるって……」


 言われてみれば、ガガさんの魔剣の初期状態ぐらいの性能はあったような……?


 あー。


 コグスリーと比べると、全然大した性能じゃないと思って迂闊に渡しちゃったよ。


 もうちょっと世間の常識を考えて渡さないとダメだね。反省。


「はしゃいでる場合ちゃうで。陣形を整えるんや。ブレとミサキに、あの二頭のフェンリルを任せてもえぇか?」


 私たちが【ダークルーム】から出てきたことで、フェンリル二頭が歯を剥いて威嚇してくる。


 これは、今にも襲いかかってきそうだね。


「いつものフェンリルですよね? 余裕……と言いたいところですけど、進化してレベルが下がってるので、良い勝負になるかも……」

「私とブレが組んで戦うならそんなことはない。余裕」


 ブレくんとミサキちゃんの意見が食い違ってるようだけど、多分、ミサキちゃんはブレくんとタッグを組めば、一足す一が三にも四にもなるから余裕ってことを言いたいんじゃないかな?


 そして、フェンリルに関しては、あの二人が足止めしてくれるから、残りの全員は少年の方に全力を尽くそうということなんだろうけど……。


「改めて【鑑定】」


 ▶ロキ・レプリカを【鑑定】します。

 ▶【鑑定】に成功しました。


 名前 ロキ・レプリカ

 種族 大神(偽)

 性別 ♂

 年齢 0歳

 LV 521

 HP 6580/6580

 MP 13200/13200

 SP 23


 物攻 656

 魔攻 1306(×1.75)

 物防 582

 魔防 1166(×1.75)

 体力 658

 敏捷 1204(×1.75)

 直感 1164(×1.75)

 精神 1320(×1.75)

 運命 683


 ユニークスキル 【トリックスター(偽)】

 種族スキル 【新たなる神の一族(偽)】

 コモンスキル 【古代魔法】LvMAX/ 【思考加速】LvMAX/ 【動作加速】LvMAX/【時間加速】LvMAX/ 【魔技】LvMAX/ 【魔道】LvMAX/ 【魔導】LvMAX/ 【魔陣】LvMAX/【魔塵】LvMAX/【魔蓋】LvMAX/【冷静沈着】LvMAX/【心頭滅却】LvMAX/【泰然自若】LvMAX/【短剣術】LvMAX/【短剣法】LvMAX/【短剣理】Lv6/【神気術】LvMAX/【隠蔽】LvMAX/【偽装】LvMAX/【夢幻泡影】LvMAX


 うん、改めて確認してみても、とんでもないステータスだよね。


 一日目に【鑑定】が通ったから、事前にクランチャットを通して、クランメンバーにはステータスを公開したんだけど、タツさんが「アカン」とか言うだけあるよ。


 まぁ、だからこそ、私の正体を明かして、戦闘に参加するようにしたんだけどね。


 ちなみに、ここで私の正体を明かしたのには意味があったりする。


 実は、現在残ってる最終試験メンバーの中には嘘つきがいるのだ。


 まぁ、嘘つきというか、クランに入団することを目的としてないプレイヤー……私を狙ってる自称PKK……がいるんだよね。


 その存在はアイルちゃんによって既に看破してもらってるんだけど、向こうが何も仕掛けてこない状態で、お前のやろうとしてることはPKだぞー! とか言って襲いかかっちゃうと、PKK側に大義名分を与えることになりかねないからね。


 彼らの主張としては、『ヤマモトは運営を殺したPKで、運営を殺せるほどの力があるPKを放っておいたら危ない、だから殺す!』って意見らしいので、ここで先手をとって動くと、『やっぱり危ないじゃないか! やっぱり殺す!』となって、私に対する非難を正当化させちゃうんだよね。


 かと言って、『本当は運営を殺してないですー、ゲームから排除しただけなんですー』と説明することもできない。


 そんなことをして、その情報が漏れて運営に伝わったりしちゃったら、それこそ運営を排除するのが難しくなってきちゃうからね。


 なので、自称PKKに対して、こっちから行動することはできないわけなんだけど……かといって、クランメンバーに引き込みたくもないわけだ。


 PKとか、PKKってゲーム用語で誤魔化してるけど、普通に人殺しだからね?


 そんなプレイヤーと仲間になって、普通に会話して、笑い合えるかと言ったら……私としては難しいと感じてしまう。


 やむにやまれぬ事情があってとかなら、まだしも――、


 いや、無理だね……。


 だって怖いもん。


 アレでしょ? ちょっとでも地雷踏んだら、簡単に一線越えてくるってことでしょ?


 ムカついたからって、すぐ手をあげてくるDV彼氏の上位互換でしょ?


 そんなの耐えられないよ!


 というわけで、最終試験の最中に私はあぶり出すことにしたのだ。


 まずは、自称PKKさんの目の前にオイシイ獲物として、ヤマモトが単体で現れる。


 そして、アホの子をアピールして、『こんな奴に強大な力を持たせちゃいけない!』と自称PKKさんに思わせる。


 で、ロキ・レプリカという強力なモンスター相手に、ちょっと苦戦してみせる。


 PKKさんには戦闘にも参加してもらうので、多分、ロキ・レプリカのヤバさは肌で感じてくれるはず……。


 そして、そのクソ強いモンスターに私が苦戦してみせることで、『このモンスターならヤマモトを殺せるかもしれない! コイツを使って殺そう!』とか考えさせられたら、私の勝ち。


 クランメンバーには、今回の件については動画を撮るように言ってあるし、ロキ・レプリカと私がメインで戦ってる最中に、自称PKKさんが絶妙なタイミングでフレンドリーファイアをかましてくれれば、それを材料にして、「大事な戦闘中に味方を攻撃する奴はクランには入団できません!」とか言ってお断りできるからね。


 相手が開き直って、「我々はヤマモトという凶悪なPKを裁きにきたPKKだ!」とかって告白ゲロってくれれば、そのまま拘束して、動画を添付した上で現実世界へ直帰してもらってもいいし。


 どっちにしろ、PKKを動かすことができたら対処に動けるので、私の勝ちというわけだ。


 まぁ、タツさんからは「自分を囮に使うんやから、妹ちゃんからは怒られるやろなぁ……」とは言われてるけど。


 うん。


 もしかしたら、PKKを動かすことができた時点で、私の負けなのかもしれない……。


 ■□■


 というわけで、作戦をいざ決行してみたところ――、


「PKは殺す……!」

「お前もPKKだというのなら、何故ヤマモトの危険さがわからない! コイツは生かしておいてはいけない存在だ! 今ここで殺しておかなければ――」

「うふふ……、ゲホゲホ……、嗚呼、その顔が……、その顔が見たかったんですよぉ……!」

「お前……っ!」

「おねーちゃーんだいじょうぶー? かいふくひつようかなー?」


 ――情報量が多過ぎる!


 というか、みんな一斉に動き出し過ぎなんですけど!?


 四日も足止めをくらって、我慢できなくなってたのは、どうやらクランメンバーだけじゃなかったみたい。


 私がタイミングで、弾かれたように状況が動き出し始めた。


 そりゃ、私も思わず眉間を指で摘んじゃうよ……。


 とりあえず、ひとつずつ情報を整理していこう。


 まず、ロキ・レプリカだけど――、


 このモンスターは普通に強かった。


 というか、ユニークスキルの【トリックオアトリート(偽)】?


 …………。


 なんか違うような……?


 まぁ、いっか。


 とにかく、それがとんでもないユニークスキルだったんだ!


 【鑑定】で確認したら、スキル所持者の半径五百メートル以内のモノの位置を任意で入れ替えることができるというスキルで、その対象は物でもプレイヤーでも自分自身でもなんでもあり!


 攻撃しようとしたら、ロキ・レプリカが愛花ちゃんと入れ替わって、愛花ちゃんを斬り付けそうになったり、ロキ・レプリカが【古代魔法】で作った短剣を投げつけてきたので、サッと躱したら、次の瞬間には躱したはずの短剣がロキ・レプリカになって、側面からの攻撃を受けたりと、とにかくトリッキーな戦い方をしてきて大変だったのだ!


 特に、好き放題に色んなモノの位置を入れ替えてくるので、前衛や後衛といったものが意味をなさずに、ステータス以上に苦戦させられた感じ。


 で、そんなロキ・レプリカに苦戦する姿を見せたことで、自称PKKが馬脚を露わすことになったわけだけど……。


 ロキ・レプリカとの戦闘中に……こう、ぶすり、とね。


 背中を矢で射られたんだよね。


 矢を射たのは、【弓聖】ファニル。


 というか、このメンバーの中で、弓をメインウェポンにしてるのは彼女だけだし、わかりやすいといえばわかりやすい。


 そして、矢が私の背中にぷすっと突き刺さった――と同時に、矢の位置とロキ・レプリカの位置が入れ替わり、傷口が少しだけ押し広げられる感覚――。


 どうやら、ロキ・レプリカが【古代魔法】で短剣を作り出し、それを使って私の背中を深く突き刺そうとしたみたい。


 けど、私の防御力的には、「ん〜? 今、何かしたかな〜?」って感じだったので、それをもっと大袈裟に見えるように、体の一部を【肉雲化】して、ズブリとロキ・レプリカの腕を引き込んであげたんだよ。


 結果として、私の背中から入ったロキ・レプリカの短剣が体の中を通過して、胸にまで突き出た……みたいな感じになっちゃったんだけど、【肉雲化】と【それなりに超?回復】のせいか、全くダメージがないというね。


 いや、多分、ダメージを受けてはいると思うんだけど、そのダメージがすぐに回復しちゃうせいで、痛いというよりも痒いというか……。


 けどまぁ、傍から見たら、胸から短剣が突き出てくるのは結構ショッキングな光景だったらしく――、


「お姉ちゃん!?」

「ハハハ、見たか! 我々は危険なPKであるヤマモトを倒すために立ち上がった正義のPKKである! その正義の刃に、今、ヤマモトは倒れたぞ!」


 ――唐突にカミングアウトが行われたり、愛花ちゃんが悲鳴をあげたりと大忙しになっちゃったんだよね。


 あ、ちなみにこのタイミングで、ロキ・レプリカには【空間魔術】レベル1の【ロック】をかけて動きを封じて、【空間魔法】レベル5の【スキルシール】でスキルを封印してたりするよ。


 今は『あのヤマモトがやられてる!』っていう強烈な絵面が必要だからね。


 ここで、ロキ・レプリカに危険を感じて逃げられちゃうと困るし。


 なので、とりあえず逃げられないようにしてみた感じだ。


 まぁ、ロキ・レプリカも魔力を高めて、私の拘束から無理矢理逃れようとするんだけどね。


 それでも、【神殺し】の効果でステータスが五倍にまで跳ね上がって、魔攻が三万以上に達してる私の拘束を解くのは難しいんじゃないかな……?


「そして、ヤマモトのクランメンバーも人の命をなんとも思わない危険分子である! 故に、我らがこの場で粛清する! 阿形、吽形、やるぞ! これは聖戦だ!」


 うん。


 私がロキ・レプリカの相手をしてる(?)間に、好き勝手言ってるね。


 というわけで、私が死んだ前提でファニルが動き出したわけなんだけど、


「貴様がPKだったのか……!」

「チッ、なんだ貴様は……! 聖戦の邪魔をするな!」


 ガキンッ!


 ファニルの暴挙に反応して、今度は風魔くんが動く。


 両手に持ったショートソードを使って、ファニルに肉薄するけど、ファニルも武人を標榜するパーティーだからか、弓だけでも上手く接近戦を捌いてる。


 両者共に実力が高いのかな……?


 武術は素人なのでよくわからないけど、風魔くんの苛烈な攻めをファニルが的確に受け流してる印象だ。


「人を殺しておいて聖戦だと! PKが理想を語るな!」

「我々はPKKだ! PKではない! 阿行、吽形! お前たちはクラン・せんぷくを殺れ! コイツは私が相手をする!」

「「応っ!」」

「させるか……!」

「大体、その様子をみれば、貴様もPKKなのではないか! 何故、我々の邪魔をする! 今は協力してクラン・せんぷくを滅ぼす時だろうが!」


 阿行、吽形と呼ばれた二人が、タツさんとTakeくんに向かっていったけど、そこに蕎麦屋の哲ことツナさんと、ジェイスが立ち塞がったね。


 ナイスフォロー。


 Takeくんはともかく、タツさんは近付かれると結構キツそうだしねー。


「「邪魔だ! 退けぇい!」」

「あのクソチビモンスター相手には触れもしなかったが……テメェら相手になら活躍が見せられそうだ! 悪いが、俺のアピールのためにも付き合ってもらうぜ!」

「ゴッドのことだ。殺さずに捕まえる必要があるんだろう? だったら、四足獣や大蛇よりも人型が相手をした方がいい。……それとも、タツよ、コイツらに巻き付いて動きを封じてみるか?」

「ワイの物攻が弱々なん知ってて言うとるやろ……。ツナやんに任すわ」

「任された」

「ツナ? ――哲の兄貴じゃねぇのかよ!?」


 折角、キメ顔を見せてたジェイスが、マヌケ面でツッコんでる間にも、更に状況が動く。


 ザクッ――。


「うぐっ……!?」

「うへへ……、あぁ、もう駄目ですね……、我慢できない……、ゴホゴホ……」

「なに……?」


 視線を向ければ、そこには背中を剣で斬られ、地面に片膝をついているムツにゃんの姿があった。


 斬ったのは――貞◯ちゃんだ。


 そのまま、彼女は恍惚とした表情でムツにゃんを見つめる。


「昔から、私……、自分より可愛い娘が大好きなんですよぉ……。特に、その娘の顔が……、怒りとか悲しみとかで……、グッチャグッチャに歪むのが好きでぇ……」

「なにを……、言っているの……?」


 斬られた痛みと、突然の告白に混乱するムツにゃんを前にして、貞◯ちゃんは長い前髪の間から目と口の一部だけを出して、笑顔を見せる。


 というか、あの髪型、前が見辛くないのかな?


「覚えてないんですかぁ……? 本当にぃ……? だったら、あの時に使った【偽装】するためのアイテムも、それなりに効果があったってことですよねぇ……? ゲホッ……、コホッ……」

「あの……、時……?」

「まさか、、年中夢中のムツにゃんをいたぶれるとは思ってませんでしたよぉ……! 嗚呼、神に感謝します……!」

「……もう一度って」


 ムツにゃんの顔面が蒼白になる中、カリカリが瞬時に動いて貞◯ちゃんに攻撃を加えようとするけど――、


「無駄ですよぉ……、今日の私は絶不調ですからぁ……。だから、ステータスも三倍ですしぃ……。それに、今までんですからぁ、多分、地力でもあなたたちよりも……、強いですよぉ……!」

「グハッ!?」

「カリカリ!」


 ――貞◯ちゃんは、カリカリの攻撃をサッと躱して、そのままカリカリに斬撃を叩き込んでるね。


 なかなか鋭い動きだ。


「私……、昔から年中夢中の大ファンだったんですよぉ……! メディアで見る度に……、その顔をグチャグチャに歪めてあげたいって……、そう思ってたんですぅ……! だから、LIAで年中夢中の四人を見つけた時は……、もう我慢できなくて……! 気付きませんでした? 居ましたよ……。あの時、年中夢中をいたぶったPKメンバーが……、この入団試験にも何人も……! まぁ、私ほどムツにゃんに執着がないのか、みんな諦めちゃったみたいですけどぉ……! ゲホゲホゲホッ!」

「あなたが……! あなたが、あの時の……!」

「嗚呼、その表情……! ゲホゲホ……! その表情が見たかったんですよぉ……! 私よりも綺麗な顔が、私よりも醜く歪む様が……! 嗚呼、気持ちいいですねぇ……!」


 コイツは外道だね……。


 私なんかよりも、あっちの方が大分サイコパス美じゃない?


 むしろ、シン・サイコパス美?


 貞◯じゃなくて、サイコパス美の名前は彼女にあげるよ。


「お姉ちゃん! 大丈夫!?」

「おい! aika、近づき過ぎだ! その距離は流石に庇えないぞ!」


 そんなしょうもないことを私が考えてたところで、愛花ちゃんがパーティーメンバーを置き去りにしながら、血相を変えて近付いてくる。


 で、さっきからピクリとも動かない私とロキ・レプリカの姿を近くで見て――、


 ……不審そうな表情を浮かべ始めた。


 なので、口パクで「演技、演技」と伝えてあげると、愛花ちゃんの顔色が真っ青から、今度は真っ赤へと変わったね。


 ……私、殺されるかも。


 でも、周囲の状況をいち早く感じ取ってか、愛花ちゃんも私の演技に付き合うことにしてくれたみたい。


 こういう地頭の良さは、流石、愛花ちゃんって感じだ。


 なんにもしてないのに、わざとらしく後方に吹き飛び、驚いたような表情をみせる迫真の演技を行う愛花ちゃん!


 いいよ、いいよ!


「わー、なんかふしぎなちからでちかづけないー」

「「「…………」」」


 うん、ごめん。


 愛花ちゃんが、嘘つくの苦手だってこと忘れてた……。


「大丈夫か、aika!」

「これは、魔力の膜……みたいなもの!? 突破するのが難しそうだね!」

「力押しでなんとかならないか!?」


 そして、そんな愛花ちゃんのダメ演技を、すかさず即興の演技でカバーしてくれる、愛花ちゃんのリア友さんたち。


 愛花ちゃんってば、良いお友達を持ったよね……。ホロリ……。

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