第134話
「うああああぁぁぁーーーっ!?」
いきなり、地面が抜けて、奈落の底のような大穴に落ちそうになって、私は【わりと雷帝】を使って、なんとか空中に踏み留まる。
「あ、あぶなー……」
『シンニュウシャ、ユカパージ、アイテ、ホンキ……』
いや、そんなの無理矢理押し入った時点でわかってるんだけどね!?
タタタタタタッ!
キキキキキキンッ!
飛んできた魔力の銃弾をガガさんの魔剣で弾き飛ばしながら、私は相手の射程圏内から逃れるようにして、空中高くに【縮地】効果で移動する。
というか、地面が抜けるって、どんな構造してんの? この都市?
ミリーちゃんに案内されて辿り着いた古代都市だけど、見た感じはなんというか、近未来的な建物が建ち並んでいる感じ?
やたらと湾曲というか、曲線的な建物が多くて、上空から見ててもなかなか飽きない。
そんな中を、床でも壁でも構わず走行して追ってくるのが、自走砲っぽい警備ロボである。
地面……というか、床? が抜けたことで何台かが奈落に飲み込まれていったけど、大丈夫なんだろうか?
そもそも、この都市ギミックが多過ぎる気がする。
さっきなんてスパイク付きの防壁が飛び出してきたし、建物の至る所にも壁がクルンと回転して、機銃が飛び出してきたし……。
この都市、天空都市との全面対決を想定して作られてませんかね?
とにかく、警備システムに追いかけ回されてる現状じゃ、落ち着いて魔力充填もできやしないよ!
『シンニュウシャ、ゲイゲキシステム、オオモト、ミツケタ!』
ミリーちゃんの叫び。
だけど、その言葉に何か違和感を覚える。
そういうのって、侵入者撃退システムの場所はこっちとか、そういう風に言わない?
何で見つけたって言ったの?
それじゃ、まるで侵入者撃退システムが移動できるみたい――。
「…………」
言葉を失う。
私の目の前に真っ赤なカラーリングをされた、それこそモビ○スーツかってぐらいの大きさのロボットがバーニアを噴かせながら滞空していたからだ。
それが、こっちに銃口を向ける……?
アカン。
――ジッ!
「くぁ……っ!?」
咄嗟に飛び退いたは良いんだけど、左腕が持ってかれた!
ほぼ真っ白い光線として放たれたソレは、一瞬で私の左腕と背後の建物を消滅させる。
熱線というよりは、魔力的な対消滅の類?
わかんないけど、物防も魔防も400オーバーの私の腕が消滅するとか、ちょっとおかしい攻撃だよ!
「【鑑定】!」
▶???を【鑑定】します。
▶【鑑定】に失敗しました。
くっ、レベルの下がった私じゃ無理か!
ちなみに、普通なら痛みに涙目になるところなんだけどなんか平気――っていうか、【肉雲化】が勝手に発動して、一瞬で腕の付け根が膨張して腕が生えた! すごいね、神様! 邪神だけど!
「あ……? あぁーーーっ!?」
けど、無事じゃない部分もあった。
私が時間を掛けてデザインした鎧の腕部分が完全に消失してる!
ディラハンは鎧と一体化してたから、どんなにやられても鎧が消えるってことはなかった(部位欠損は除く)んだけど、種族が変わったからか、普通に鎧が攻撃で消し飛ぶようになっちゃったみたい!
ぐぬぬ……!
『ボウエイ、メインシステム、ザーヴァ! ワレワレ、エイチ、ケッシュウ、サセタ! ダレモ、カナワナイ!』
「なんでちょっと自慢げなの!? それにコレを壊さないと魔力を充填できないでしょ!? ――喰らえ、【肉雲化】!」
真っ白な素肌を晒す左腕が一気にピンク色の肉の塊となったかと思うと、膨張、巨大化し、ザーヴァと呼ばれた警備マシンを掴もうと広がる。
それは、まさに巨人の手。
だけど、その巨大な左腕がザーヴァを掴もうとした瞬間に、何か硬いものに弾かれる感触。
見えないバリアみたいなものが展開されてる……?
『ザーヴァ、ブツリシールド、マジックシールド、アル! コウゲキ、キカナイ!』
「そういうことは早く言ってよ!?」
ザーヴァが縦に回転して、蹴りを放つ。
その威力に肉雲化した腕が途中で切断されるけど……。
「【肉雲化】!」
私の言葉に答えて腕が元に戻ると同時に、切断された側の腕がピンク色の肉塊となって、私から離れた場所で姿を象り始める。
そして、気づいた時には、切断された側の肉塊が人型をとっていた。
白銀色の髪に、男好きする体に、見てるだけでクラリとくる美貌……って、あれってアンダーウェア姿の私じゃん!
「私が分裂した!?」
「【並列思考】でこっちの肉塊のコントロールを奪っただけだって!」
つまり、私の【並列思考】があっちの肉塊に乗り移って、私の姿を模したってこと?
よくわかんないけど、私が二人になったって理解でオーケーだよね? とりあえず、深く考えてる時間がないので思考は放棄するよ!
「本体! 私が足止めしてる間に、ステ振りしてきて! ちょっと、レベル1で弱体化してる状態で勝てる相手じゃないよ!」
「わかった、もう一人の私! 危険性が無いって言葉にちょっと油断してた! これ、使って!」
言って、私はガガさんの魔剣を投げる。
それを、パシッと片手で受け取るもう一人の私。
お、私、カッコいいじゃん。
「行くよ、【灰棺】!」
そして、更に【灰棺】を使って、ザーヴァを翻弄し始めたよ!
空中を【わりと雷帝】の高機動で駆け回りながら六個の棺桶を操り、もう一人の私がザーヴァを翻弄していく中を、私は一時的に戦線を離脱して建物の影に隠れる。
そして、手早くステータスを呼び出す。
そんな私を心配してなのか、ミリーちゃんも近寄ってきて、私を心配そうに見守る。
『ダイジョブ? ザーヴァ、ツヨイ、ニゲル? ワタシ、オコラナイ……』
何も因縁がない状態だったら、逃げてたかもしれない。
けど、アイツは私のデザインした鎧を破壊した! そんな暴挙をやられた状態で、私が大人しく引き下がれるわけがない……っていうか、引き下がんないし!
「大丈夫。あのザーヴァっていうのを倒して警報システムを止めたら、魔石に魔力を込めて、それで終わりだよ。だから、何も心配することなんてないから」
そう言いつつ、私はまずはスキルを取得する。
▶【隠伏】スキルLv1を取得しました。
▶【心眼】スキルLv1を取得しました。
▶【多重思考】スキルLv1を取得しました。
▶【未来予知】スキルLv1を取得しました。
▶【天啓】スキルLv1を取得しました。
▶【操蟲術】スキルLv1を取得しました。
▶【バランス】が発動しました。
スキルのレベルバランスを調整します。
▶【隠伏】スキルがLv5になりました。
▶【心眼】スキルがLv5になりました。
▶【多重思考】スキルがLv5になりました。
▶【未来予知】スキルがLv5になりました。
▶【天啓】スキルがLv5になりました。
▶【操蟲術】スキルがLv5になりました。
ここまでアンロックはしてたけど、取得してなかった中級スキルを取得していく。
そして、取るだけ取った状態で、残りのSPをステータスに全ブッパするよ!
名前 ヤマモト
種族 シュブ=ニグラス
性別 ♀
年齢 0歳
LV 1
HP 7950/7950
MP 6832/7950
SP 0
物攻 763
魔攻 763
物防 775(+12)
魔防 773(+10)
体力 763
敏捷 954(×1.25)
直感 954(×1.25)
精神 763
運命 763
ユニークスキル 【バランス】
種族スキル 【地母邪神】
コモンスキル 【鍛冶】LvMAX/ 【錬金術】LvMAX/ 【調合】LvMAX/【鑑定】LvMAX/ 【収納】LvMAX/【火魔術】LvMAX/【水魔術】LvMAX/【風魔術】LvMAX/【土魔術】LvMAX/ 【光魔術】LvMAX/ 【闇魔術】LvMAX/ 【料理】LvMAX/ 【ヤマモト流】LvMAX/ 【採掘】LvMAX/ 【採取】LvMAX/ 【細工】LvMAX/ 【革細工】LvMAX/ 【木工細工】LvMAX/ 【彫金】LvMAX/ 【彫刻】LvMAX/ 【釣り】LvMAX/ 【追跡】LvMAX/ 【逃亡】LvMAX/ 【魔鋼精製】LvMAX/ 【魔神器創造】LvMAX/ 【隠形】LvMAX/ 【隠蔽】LvMAX/ 【魔力操作】LvMAX/ 【魔甲】LvMAX/ 【状態異常耐性】LvMAX/ 【思考加速】LvMAX/【並列思考】LvMAX/【観察眼】LvMAX/【先読み】LvMAX/ 【中級鍛冶】Lv5/【中級錬金術】Lv5/【中級調合】Lv5/【火魔法】Lv5/【水魔法】Lv5/【風魔法】Lv5/【土魔法】Lv5/【光魔法】Lv5/【闇魔法】Lv5/【空間魔術】Lv5/【動作加速】Lv5/【状態異常無効】Lv5/【魔鎧】Lv5/【魔力感知】Lv5/【偽装】Lv5/【全体化】Lv5/【追駆】Lv5/【遁走】Lv5/【畏怖】Lv5/【霊感】LvMAX/【野生の勘】LvMAX/【虫の知らせ】LvMAX/【心霊術】Lv5/【言語理解】LvMAX/【象形文字理解】LvMAX/【古代語理解】Lv5/【竜語理解】Lv5/【精霊語理解】Lv5/【隠伏】Lv5/【心眼】Lv5/【多重思考】Lv5/【未来予知】Lv5/【天啓】Lv5/【操蟲術】Lv5
ステータスがついに750オーバーにまで上昇!
これで、少しは戦えるようになったかな?
そして、虎の子のコレも投入しよう!
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【機械神剣】
レア:10
品質:最高品質
耐久:10000/10000
製作:デウス・エクス・マキナ
性能:物攻+1234 (叩属性)
機械種超特攻 (ダメージ5.0倍)
機械系ギミック無効
備考:機械の神によって、この世に生み出されたとされる機械破壊の魔剣。その丸みを帯びた刃は機械を破壊することに優れ、機械系モンスターの特殊能力を完全無効化する。この世に一本しか存在しない最高峰の魔剣のひとつ。
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うん。
まるで、このイベントのために用意されたとしか思えないような魔剣だね。
ちなみに、これはマリスと接触した時に接収した3本目の魔剣で、機械相手の特攻武器だ。
そんなピンポイントで使う魔剣なんて、どこで使うのさーって思ってたんだけど、すぐに使える場面がやってきたね。
これを装備して、と。
「【肉雲化】」
【多重思考】を取ったからか、私の中で私という人格が複数に分裂してるのを感じる。
それを、受肉させるよ!
【肉雲化】で伸びた腕を機械神剣で切り落とし、切り落とされた肉塊が全て私の姿を取っていく。
「じゃあ、反撃開始といこうか」
「「「そうだね」」」
私は六人に増えながら、そう頷き合うのであった。
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