第130話
明けて翌朝。
おはようございます。
スザキさんとの会話は色々と考えさせられる部分が多かったんだけど、中でも魔剣を壊すためだけに、それに特化した武器を作るって発想がなかったから、色々と斬新だったんだよね。
で、それと同時に、私の持つガガさんの魔剣が破壊される恐れがあるってことにも気づいた。
破壊不可特性みたいなのを魔剣に付与できればいいんだろうけど、私の【まねっこ動物】の【魔剣融合っぽいもの】は、半分の能力になって付与されるから、半破壊不可みたいな中途半端な能力になりそうなんだよねー。
それ以外だったら、破壊不可特性が付いた魔剣を二本用意して、【バランス】さんで【バランス】を取ってもらうとか?
うーん、【魔神器創造】にフル回転してもらわないといけなそうな予感。
まぁ、素材にできそうなものは、ファーランド王国に行った時に大量に手に入ってるからね。モンスタースタンピードの素材とか、デイダラとその分体の素材とかね。それらを使えば、魔剣のひとつやふたつは簡単に作り出せるんじゃないかな?
でも、魔剣キラーの効果が単純に耐久を減らすとかじゃなくて、魔剣を装備できなくするとか、そういった変化球だった場合を考えて、魔剣じゃない剣も作った方がいいのかな……?
例えば、聖剣だとか、神剣だとか、精霊剣だとか、なんかそういう感じの奴?
というか、私もガガさんやスザキさんを見習って、私オリジナルの発想で剣を打ってみてもいいのかも。
私だけが作れる、私オリジナルの、誰も対策してないであろう、わからん殺しの武器――。
そんな物が、本当に作れるかどうかは知らないけど、試してみても良いのかもしれない。
「ふぁ……」
ベッドからモゾモゾと抜け出して、大きく伸びをする。
さて、昨日は夜遅くになっちゃって行けなかったんだけど、今日は教会に行くよ。
そして、ついに……初めての進化だ!
果たして、どんな感じなのか、今からドキドキだね!
■□■
というわけで、やってきましたー!
教会ー!
…………。
うん、私の思ってたのと何か違う。
というか、山羊の頭蓋骨とか六芒星とか入口に飾ってあるし、どう見ても邪神を崇拝する邪教徒の館です。ありがとうございます。
まぁ、魔物族だしね。
そういうものなのかもねー。
でも、そんな怪しい雰囲気たっぷりの割に、人が沢山出入りしてたりする。意外と地域に愛されてる邪教の館です。
私もそんな人の流れに乗って、教会の中に入ってみる。
中は正面に逆十字がでんっと飾られていて、そこから後光みたいな線が放射状に伸びているオブジェがあり、その周りにはお祈りのスペースなのかな? ちょっとした広場があって、そこで片膝を付いて、お祈りを捧げてる人たちが沢山いる。
そして、その後ろに教会で良くあるような長椅子が並べられており、少しだけ教会っぽさを醸し出しているけど……。
なんかタコなんだか、触手のバケモノなんだか、よくわからない石像も脇に飾られてたりして、普通の教会とは違うなーとは感じるね。
とりあえず、郷に入っては郷に従えとばかりに、広場で周りの人の見よう見真似でお祈りをしてみる。
すると――、
▶神の声が聞こえます……。
ヤマモトの現在のレベルは57/60です。
次のレベルまでの経験値は104,021です。
ヤマモトの素養で現在進化できる進化先は以下です。
・キラーメイル
・ホロウ
・ナイトメア
・エクスキューショナー
・フェアリーナイト
・ティターニア
・ザッハーク
・アスタルト
▶進化を行う場合は、司祭に声を掛けて進化の間にまで進んで下さい。
▶進化の間を使用するのには10万褒賞石が必要です。
あー。
教会とか利用してこなかったから知らなかったけど、こんな風に経験値や上限レベルが表示されるんだねー。
って、そうじゃない!
進化先の選択肢が多過ぎるんだけど!?
なにこれ! どれを選べばいいの!
あ。
一応、進化先に意識を集中させると簡単な説明が出るんだね?
というわけで、ひとつずつ確認していこうかな?
====================
・キラーメイル
ディラハンが物理特化で進化した姿。
高い攻撃力と堅牢な防御力を誇り、パーティの先陣を切って戦うことができるだろう。
====================
これは、ディラハンを物理特化のまま育てたら、進化先として表示されるのかな?
パーティーの盾役兼アタッカーとしては、頼りになりそうな感じだね。
でも、モンスターの格としては低めかな? どうなんだろ?
====================
・ホロウ
ディラハンが魔術特化で進化した姿。
土魔術、闇魔術と高い親和性を誇り、パーティーのサポート役として十分に働けるであろう。また、相応の装甲を誇り、中衛としての役割も十分にこなせることだろう。
====================
こっちは魔術特化型にしたディラハンの進化先かな? ディラハンの硬い防御とサポート魔術での立ち回りが便利そうだね。
====================
・ナイトメア
ディラハンが特殊進化した姿。
物理にも魔術にも通じ、高い戦闘力を誇る。
敵対した者は悪夢にうなされる程の恐ろしさを味わうことになるだろう。
====================
これは、ディラハンを物理にも魔術にも強くした際に現れる進化先かな?
何か文面を読む限りだと、特殊進化先に相応しいぐらいのハイレベルな存在に思える。多分、上限レベルも高いと見たね。
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・エクスキューショナー
ディラハンが特殊進化した姿。
宣告を行って、相手と自分を制約で縛ることで、戦闘を優位に進めることができる。
一風変わった戦い方を披露することができるだろう。
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これは……なんだろ?
死の宣告を沢山使ってたりすると出る進化先なのかな?
制約ってのが何かよくわからないけど、かなりテクニカルな臭いがプンプンするよ!
フッ、私には扱い切れないって、進化前から分かっちゃうんだよね!
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・フェアリーナイト
妖精種の中でも近接戦闘に長けた者が辿り着く姿。
素早さが高く、相手を翻弄する動きが得意。
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これは、ディラハンというよりも妖精種共通の進化先って感じかな?
ディラハンの強みって、分厚い装甲と高機動だと思うんだけど、それを全部捨てて、妖精汎用の種族に行くなら、これを選んでねってこと?
うーん。ちょっと魅力を感じないかも。
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・ティターニア
妖精種の中でも高い能力を持つ者が特殊進化した姿。
尋常ではない魔力量を誇り、その威容と能力から妖精たちの女王と呼ばれる。
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こっちは妖精汎用の中での特殊進化かな?
というか、ティターニアは私でも知ってるくらい有名な妖精の女王の名前だね。
いや、そんな存在に1プレイヤーが進化していいのって話なんだけど……。
ただ、ちょっと気になるのが、魔力に特化した進化先っぽいので、鍛冶とか剣を振ったりとかに影響がある可能性があったりしないかなーって心配はあるね。
剣装備不可とかになったら、ものすごく落ち込みそうだから、この進化先もどうかなぁ……。
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・ザッハーク
蛇の因子を強く持つ者が辿り着ける特殊進化先。
肩に二匹の蛇を生やすことで、同時に三度の攻撃が行える、超攻撃型の魔人。
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うん。……うん?
これは……ヴリトラを倒したからかな?
特殊なモンスターを倒すことでも、特殊な進化先への道が開けるみたい?
それにしても、肩に蛇……。
可愛くはないよね……?
いや、でも、ギョ○とウ○ルンだと思えば、ワンチャン……。
いや、無理かなー。
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・アスタルト
覚醒亜神デイダラの素養を持つ者が辿り着けるひとつの極地。
豊穣多産の神となり、訪れる地に幸福をもたらす存在へと至ることだろう。
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覚醒亜神デイダラの素養って、進化先に影響を及ぼす感じのアイテムだったんだね。
というか、レイドボスの総合個人ランキング1位の報酬だけあって、進化先が神ってすごいよね!
いや、なっちゃっていいの? って感じだ。
でも、何でデイダラの素養で豊穣多産の神になるんだろ?
泥が豊穣?
というより、水と土が豊穣の証?
じゃあ、多産は?
あ、デイダラの最終形態で沢山雑魚デイダラ生み出してたね。だからかな?
というか、これ。
なればなったで、ツナさんあたりに「本当にゴッドになったのか……」ぐらいには言われそうな予感はするよ。
でも、総合個人ランキング1位の報酬は、進化でしか役に立ちそうにないというのも……。
ここで使わなかったら、他で何かに使えたりするのかな? 錬金素材とか? それはそれで何かすごいのできそうだけど。
うーん。
色々と悩むけど、モンスター種の格としては、神であるアスタルトが一歩抜けてる気がするんだよねー。
あと、豊穣の神というのが、これから暗黒の森を開拓しようとしてる私には、とてもマッチしてるイメージ。
あと、楽しそうなのは、ザッハーク?
肩に蛇って、考えようによっては肩にペットを乗せながら動き回れるようなものだから、それはそれで愛着を覚えたり、癒やされたりとかで嬉しいかもしれない。犬とか猫とかだったら、もっと嬉しかったけど。
あとは、ディラハン特殊進化のナイトメアも、その先の進化とかが気になるといえば気になるかな?
でも、ディラハン種から脱せれば、もう鎧に縛られることもなく、服も自由に着られるようになりそうなんだよねー。
そう考えるとディラハン種に拘る必要もないかな?
ただ、馬車がねぇ……。
あれだけ頑張ってデザインしたのに、種族が変わっちゃうと、種族スキルも変わっちゃうだろうし、もう呼び出せなくなるとか考えちゃうとちょっと寂しいかな。
とりあえず、何に進化するのかは悩むけど、上限レベルの関係上、進化しないってことはないので、その辺をウロついていた司祭の格好をした凄い角が生えた悪魔みたいな人に声をかける。
「こんにちはー。すみません、進化したいのですけどー」
「はい、こんにちは。進化の間の御利用ですか? 失礼ですが種族レベルは20を超えてらっしゃいますでしょうか?」
「はい」
むしろ、進化しないと上限に引っかかっちゃいそうなレベルです。早く進化したいです。
「また、進化後は現在のステータスが四分の三ほどに弱体化して、レベルが1へと戻りますがよろしいですか?」
え?
ステータス下がっちゃうんだ……。
あ、もしかして、あれかな?
レベルが1になってレベルアップしやすくなるから、ステータスが下がらないと延々とレベル20で進化を繰り返して、どこまでもステータスが盛れるって事を避けてるのかな?
特に、上限レベルが高いモンスター種なんて、レベルが上がりにくくなってくると、ステータスも盛れなくなってくるわけで……。
折角、希少種族に進化したのに、実はその辺の格の低いモンスター種に進化することを繰り返した方が強くなれるとかだったら激萎えだもんね。
その辺は【バランス】を取ってるっぽい?
「えーと、ステータスが下がってもいいので進化を希望します」
「では、我が教会に10万褒賞石の喜捨を」
言われるままに、10万褒賞石を支払うよ。
微妙に高いと感じるのは、簡単にほいほいと進化させないようにするための工夫なのかね? なんかそんな感じもするよ!
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