第69話 下位冒険者は変態の可能性に思い悩む その弐
「それで試したい事ってのは?」
「はい、ご主人様が仰っていた魔法の併用です。
「風魔法は何を使うんだ?」
「
「
「
「弱められた一撃であればあとは
「魔力量に関しては問題ないと思いますし、単純に二つの魔法を順番に唱えるだけならそう難しくはないと思います」
ティルルカは弱視のハンデを補う為に、探索魔法を常に使いつつ他の魔法を使っているから、確かに魔法の併用自体は問題ないかもしれない。だが、今ではほぼ無意識下で使っている探索魔法と、他の魔法を同列に語っても良いものだろうか?
特に
それを、
「そんな真剣に心配して頂けるのは肉奴隷冥利に尽きるのですが……」
「肉奴隷ちゃうわい」
「……こればかりは実際にやってみないと分かりませんよ。実戦は最良の訓練だとも言いますし、取り敢えず試してみて、無理そうならショルツの助けを借りましょう」
「……分かった。無理はするなよ」
「はい!」
嬉しそうに、そう返事をするティルルカを見てるのが照れくさく、俺は「フンッ」とそっぽを向いた。
そんな俺を見て、背後でティルルカが「ニヒヒ」と笑っているが、珍しくそれ以上ウザ絡みしてこない。それはそれで不気味だが。
「あれ?」
すると、そこでティルルカは、何かに気が付き顔を
「どうした、ルカ? 何か……ん? これは……」
「ご主人様も感じますか?」
「ああ。
「はい、
「いやいやいや、普通に考えて
「デスヨネー。どうもあたしの『目』には、あの手の手合いはみんな同じに見えるんですよねぇ。まぁ、あたしに取ってはご主人様以外は
「つまりはルカに取ってはリリーヌ嬢も、
「……多分、それで折檻されるのはご主人様の方だと思いますが……」
「デスヨネー! なんという理不尽!」
あの人、なんでかティルルカには甘いんだよね。理不尽だ。
「それで如何しましょうかね?」
「如何するもこうするも、獲物の横取りは冒険者教義に於いてはご法度じゃね?」
「なるほど。追い立てられてる
「そうそう、
「実はあの気配、ギルドで『視た』事あるんですよね。こっちの話も聞かずに、勝手に『無理矢理奴隷にされてるハーフドワーフ』の話を創り上げて、『俺達が救ってやる』とか『俺達について来い』とか、上から目線で無理矢理あたしを連れて行こうとしたんですよ。あたしは、好きでご主人様の奴隷してるって何度も言ったのに……」
「ああ、アイツ等か。確か最近他所から移籍してきた若い冒険者達だったよな。俺もその場に居たからある程度知ってるけど、あれはホントに正義感から来た言葉だったぞ? 本人達からすれば、俺みたいな悪人顔が、見た目は少女なお前を奴隷にして連れ回すのは悪人に違いないって事なんだろうな。悪人に人権は無い的な」
「浅い正義感の持ち主達ですね。何故か若手の冒険者とか、ギルドの新人職員からのウケは良いみたいですけど」
「見てくれは良いからな。わかり易くヒーローっぽい活躍してるみたいだし、その所為だろ」
「脳味噌軽そうだし、あたしとしてはなるべくお近付きになりたくないですね」
「まぁな。俺もなるべくなら関わりたくないな」
「ご主人様を見たら難癖つけてきそうですもんね」
「全く持ってその通り。否定出来んのが哀しい」
「哀しいならあたしが全力で慰めますから! エヘエヘエヘヘ……」
うっかり燃料与えてしまった所為で、不気味に笑い始めたティルルカから目を離し、俺は
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