第20話 エピローグ
『光弾よ 敵を撃て
俺の
「これで十発ですね。先程の立ち木切断と合わせて課題はクリアーです。試験は合格。おめでとう御座います、クロさん。貴方は今日から冒険者です」
お得意の営業スマイルを浮かべて、そう宣うリリーヌ嬢へ気の利いた返しも出来ずに、俺はその場にへたり込んだ。情けない話だが、成りたて初級冒険者でもこなせる十発分の
しかもヘロヘロ。
見に来ていた野次馬共がやんややんやと野次を入れて来るが、俺はそれに反論する事もできない。ヘロヘロなのは事実だし。
「しかしクロさん考えましたね。まさか、
そのリリーヌ嬢のひと言に、野次馬共が静まり返る。
「
「ふっ………悪人顔には悪人顔の矜持があるんだよ」
「ドヤ顔がこれ程絵にならない人も珍しいですね。嫌悪感しか湧きません」
「ほっとけ」
「クロさんの
「そしてやっぱりそのまま話し続けるんかーい」
「上出来ですが、やはり少し無理のある改編です。正しくはこうなります」
そう言うと、リリーヌ嬢は俺やった様に人差し指を的に向かって突き付け、魔力を指先に溜めつつ
『敵を射抜きし一条の光
リリーヌ嬢の指先より放たれた
「まぁ、これだと射程は短くなりますがね。消費魔力は抑えられますが。どうせ省エネにしたいならこういう魔法がお薦めです。『光弾よ 敵を穿て
次いで放たれたリリーヌ嬢の魔法は、光の飛礫が螺旋状に回転しながら飛んでいき、そのまま的を貫通すると、さっと霧散して消えた。
「こちらならば、消費魔力は更に減り、魔力の込め方に寄っては威力も増します。総魔力量が少なく、それでいて魔力操作に長けた人間に取っては使い勝手の良い魔法になるでしょう。ただ、射程は短いのであまり離れていては使えませんが」
「なるほど………飛び退きながら牽制に使うとか、リーチを誤魔化したいときなんかに使えそうだな」
「流石はクロウさん。あくどい事を考えさせたら右に出る者はいませんね」
「いや、今の別にどこもディスる要素なかったよね?! 普通だよね?! 何でもかんでもオチに使わないでほしいんだけど!?」
「まぁ、何よりこの魔法の優れてる所は………」
「そしてやっぱり俺の抗議は無視ですかーい」
「悪人顔でも使えちゃう所です」
「悪人顔、関係ないやろー!」
「今なら特許使用料金一万バリスで使い放題」
「んで金取るんかーい」
「しようがないですね。それが嫌でしたら、今後もキチンと料理を貢ぎ………納めなさい」
「今、貢げとかなんとか不穏な台詞、言いかけてたよね?!」
「気のせいですよ」
「んでしらを切りとおすと………」
こうして何のかんのと言いながら、俺の冒険者ライフは始まるのだった。
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