鬼面の孤独(怪傑オカルト研究部)
鬼面を譲り受けてから。誰かと食事をすることがなくなった。
家族の前でも決して外してはいけない鬼面は僕を孤独にした。
古くから妖怪や怪異の類との共存の道を歩んでいたうちの家系では、代替わり制で一人、その時に一番妖気が強い人間が鬼面を譲り受けることになっている。そして鬼面を譲り受けていた祖父が亡くなった時、家族の中で一番妖気が強かったのが僕だった。ただそれだけの話。そんな仰々しいものじゃない。
鬼面には妖怪や怪異など、この世のものではない者たちと繋がるための力が込められている。なんか色々説明はあったけれど忘れた。まぁ平たく言えば鬼面を譲り受けたものは鬼面の力のおかげで妖怪や怪異を認知できるようになるし認知されるようになる。
それだけなら鬼面を他者の前で外してもいいと思うだろう。しかし妖怪や怪異はいないように見えて常に周りにいる。だからこそ窓口となっている鬼面を急に外してしまうと妖怪や怪異たちは急に僕を認知できなくなって混乱を起こし無意識下だったとしてもこちら側に害を及ぼしてしまうのだ。要するに、鬼面を譲り受けた者の周辺の人たちを守るため。
だから僕は孤独を受け入れている。
大切な家の伝統を守りたいし、家族や友人も守りたい。
でも…
「あれはちょっとやりすぎたよな」
少し前部室での出来事を思い出す。
あのひと時はこのことを忘れてしまっていた気がする。家族以外で、自分の素顔を見せたいと思ってしまったのは初めてかもしれない。
まぁ大体の理由は反応が見たかったからだけど。
「どうすればいいと思う?」
ふわり空中に浮かぶ光の靄に話しかける。しかしそんなの知ったこっちゃないと靄は僕の手元から離れていった。
(暗転)
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