夏と幽霊(怪傑オカルト研究部)
※導入のみ
「あづいー!」
日当たりがよすぎる部室は猛暑に襲われていた。林田先輩が自宅から持ってきてくれた扇風機がかろうじて服の裾辺りをなびかせてくれているが、その風もぬるいを通り越してもはや温風と化している。
「部長暑いんですけど…」
「俺に言うな」
いつもは部室の隅っこで厚い本を読んでいる部長ですら部屋の中央で本も読まずにだらけていた。
「暑そうだねみんな」
そう飄々とした雰囲気でいうのは修羅の顔をした赤鬼の面が今日もよく似合う林田先輩。学校指定夏服の半そでから覗く腕は日焼けを知らない白さをしている。
「はやしだせんぱいはあづぐないんですがぁ?」
完全に溶けてしまった陽葵が濁点交じりの声で問いかけた。せっかく学校内では可愛い方で通っているのに、全校男子が幻滅してしまうことだろう。
「暑いは暑いんだけどね」
「じゃあなんでそんなに涼しそうなんですか?」
目元に垂れてくる汗を拭ってそう聞くと、林田先輩は小首をかしげてくくっと笑う。般若の面が僅かに口角を上げたように見えた。
「じゃあ君たちも聞くかい?」
ーこの街で今話題になっている幽霊の話を
(暗転)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます