夏とソフトクリーム(怪傑オカルト研究部)
「あぁーあづい…」
数分前に買い出しじゃんけんに負けた自分を恨みながら、陽炎が立つアスファルトを眺めだらだらと歩く。数分後には涼しいスーパーで涼むことが出来るのだろうが、結局はそのあと大荷物を抱えてこの道を戻らないといけないと考えると一気にテンションが下がった。ジャラジャラとポケットから聞こえる音が恨めしい。
「…ソフトクリーム始まったのか」
そんな中不意に目に留まったのはとある喫茶店の店先。普段の通学路になかったはずのそれに汗だけでなくじゅるりと涎が垂れる。
「あー食べたいなぁ…」
思わず足が止まって炎天下の中に立ち尽くしてしまった。じわじわと頭皮が焼けていく感覚に陥っていく。買い出しではアイスも頼まれているから買い終えてから部室に戻ってゆっくり食べてもいいだろう。しかし…
「この量持って買いに来るのは流石に…なぁ」
スマホにメモしたリストを表示させる。画面いっぱいのそれを持っている自分を想定すると明らかに両手が塞がってしまうことは目に見えていた。
「まぁ…買い出しの特権だよ…な!」
数秒の葛藤の後、ぐっと掌を握る。
そして俺は踵を返して横断歩道に向かったのだった。
(暗転)
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