オカルト研究部と謎の少女(怪傑オカルト研究部)
※概要
少女を拾ったうみ。
しかし少女の家族が見つからずにオカルト研究会で少女を預かることになる。そして街に流れ出す不穏な噂。果たして少女の正体は。
ー以下導入ー
「カップ焼きそばしかないけど、ごめん」
窓を冷たく激しい雨が叩きつける夜。せまっ苦しい部屋の中央にある古ぼけたちゃぶ台の前にはぽつりと座る一人の少女。謝りながら目の前にカップ焼きそばを置くと彼女はびくっと肩を震わせた。
「え…と…」
「もしかしてアレルギーあったりする?」
「んと…」
ホカホカとした湯気が彼女の視界を遮る。ソースの美味しそうな匂いに俺の腹もぐうっと鳴った。
話は数時間前に遡る。
「ひぁー傘持ってったの誰だよぉ!」
バイトの帰り道。持ってきていたはずの傘を誰かが間違って持って帰ってしまったらしく、俺は強制的に滝修行を余儀なくされてしまった。
行きに気にしていた足元ももう全く気にならない。というか気にしても意味がない。
「早く帰って風呂に…ん?」
走っている最中に出会う街頭の中にぽつんと。小さく震える人影が見えた。真っ白の髪の毛が蛍光灯に弾かれてしっとりと光っていて、長時間雨に打たれていたからなのかところどころが肌に張り付いてしまっている。こんな時間に傘もささずに路上に座り込んでいるなんていったいどうしたのだろうか。
「大丈夫?」
「…え?」
「とりあえず食べて」
そんな少女をとりあえず家に招いて風呂に入れた俺は戸棚に一つ残っていたカップ焼きそばを少女に振る舞って…いや、振る舞おうとしていた。
というのも少女は何故かカップ焼きそばに手を付けようとしないからだ。どうしたものかと考えていると息を吸い込む音が聞こえる。
「あの…あなたの分のは?」
想像よりも高めな女の子の声に驚いた。そしてすぐこれは少女の声であると気が付く。
「なんで?」
「だってお腹鳴ってたから…」
アッと思い俺は自分の腹を押さえる。親切にしていたつもりだったが逆に困らせてしまったらしい。
「明日給料日だから今日は腹すかして明日豪勢にするつもりなんだ!」
「…ほんと?」
「うん!だから遠慮せず食べて!」
笑顔満開でそう言うと少女はようやく目の前の箸を手に取って食べ始めた。ずるずると聞こえる音に食欲を刺激される。しかし言ってしまった手前は涼しい顔をしていなきゃいけないわけで。
「とりあえず俺お風呂入ってくるから、食べ終わったらそのままにしてい置いて大丈夫だよ」
そう言って俺はその足で風呂に向かった。
「とりあえず親御さん探さなきゃだよなぁ…明日警察に行くか」
びしょ濡れの服がすでに入った洗濯機に今着ていた服も投げ込む。本当はすぐに連れて行った方がいいだろうとも思っていたがこの大雨でまた出かけると今度こそ風を引きかねない。
「ってかあの子の服洗って干さないと服なくて外出れねぇじゃん!」
今更そう思っても時すでに遅し。今から洗濯機を回したら確実に怒られてしまう。
「うーしょうがねぇ…あとで陽葵に連絡するか」
確か弟と妹がいたはずの同級生を思い浮かべる。説明が面倒くさくなりそうだが仕方がない。
「はぁー色々大変なことになりそうだな」
そう呟きながら俺は浴室のドアをがらりと開いた。
(暗転)
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