勇者学園の最強てんてぇ〜魔神の技で目立たずに補助をしていたのだけれど、無能と笑われて勇者パーティーを追放されました。俺は教師になって順風満帆だからさ、戻って来いってどの口が言ってんだよ〜
第11話 デインがいないダークのパーティー 【ダークside】
第11話 デインがいないダークのパーティー 【ダークside】
時間は遡って。
勇者ダークがデインを追放した、次の日。
☆
俺の名前はダーク・アルバート。
最強の勇者を自負している。
紫の髪に合わせた装備品の数々は、見た目だけでも相当にイケている。
王都を歩けば女たちにキャアキャア言われる始末。
実力も、見た目も、大陸一。
最強の勇者ダーク様とは俺のことだ。ひゃは!
ギルドが騒めいていた。
俺が受付嬢に「Sランクのダンジョンを攻略する」とさらりと言い退けたからだ。
「俺にかかればSランクのダンジョンなんて楽勝だぜ。ひゃは!」
俺の笑い声はギルドに響く。
「おいおい。またダークがSランククエストに挑戦だってよ」
「すごいわねぇ」
「流石は勇者の称号を得ただけのことはあるな」
周囲からの羨望の眼差し。
ふふん。
これが俺なんだ。
3人の仲間は、それぞれが鼻を高くしていた。
「ウフフ。流石はダーク様って感じですわね。人気ナンバーワンだわ」
喜んでいるのが魔法使いソモ。
赤髪の、目の鋭い女。
『閃光のソモ』と呼ばれるほど、素早い攻撃魔法の使い手だ。
しかし、補助魔法だけを使うように注意した。
攻撃魔法で敵を一掃されたら、俺が目立たなくなるからな。
「ダーク様は王都の希望だよな。あたしは仕えることができて幸せだよ」
そう胸を張ったのは戦士の女、ゼリーヌ。
黄色い髪の大剣使いだ。
彼女の攻撃は高防御のメタル系モンスターでさえも一撃だ。
『メタル斬りのゼリーヌ』と呼ばれるほど、強い攻撃力の持ち主である。
しかし、後衛を担当するように厳しく言い付けている。
前衛は俺が出て活躍することになっているからな。
「キャハ! やっぱーー。ダーク様ってぇ。最強って感じっスねぇ」
そう言って、俺の腕を抱いたのは僧侶のコネネ。
肌は茶色で、ピンク色の髪をツインテールにしている。
『治癒のコネネ』などと噂されるほど回復魔法に長けている。
しかし、ほとんど、出番がない。
なにせ、俺は負傷しないからだ。強すぎて、回復魔法を使う場面がないのである。
戦闘といえば、俺の大活躍で完結する。ソモの補助魔法と、ゼリーヌの後方支援で事足りている。
本来ならば、コイツは用無し。賢者のデインと共にこのパーティーを追放しても良かった。
まぁでも、俺のことを心底、尊敬している可愛い女なので置いている。
雑用係のデインがいなくなったから、コイツに担当してもらおう。
女たちはダンジョンに向かう途中で、もうクリアしている気分でいた。
余裕の彼女らは、いつしかデインの愚痴を言い始めた。
「無能賢者のデインがいなくなったから、ダーク様と公然とイチャイチャできますわね」
「あたしは、抱いてもらえるのが嬉しいな。うっとおしいデインの視線を気にしなくて済むのはありがたい」
「きゃは! 本当、無能のデインがいなくなって清清したって感じっす。あいつ戦闘で全然、仕事しねぇし。きゃはは!」
やれやれだ。
どうやら、みんなもデインのことが目の上のたんこぶだったみたいだな。
奴を追放したのは英断だったようだ。
ククク。いつだって俺の判断は冴えているのさ。
「デインがいなくなった分は報酬の分け前が増えるからな。今夜は飲み明かそうぜ」
「「「 はい♡ 」」」
俺たち4人は、意気揚々とSランクダンジョン『
蟹竜とは聞いたこともないモンスターだが、俺にかかれば造作もない。
ギルドでは謎のモンスターの正体を知りたがっていた。
俺がチョチョイっと倒して、その全貌を明らかにしてやろう。
ダンジョンは全部で30階層。その前半は軽い準備体操の気分で行こうと思う。
「10階くらいまでは敵が弱いからな。気楽に行こうぜ」
「「「 はい♡ 」」」
「きゃは! ダーク様がいれば余裕っすね!」
しかし、1階層で問題が発生する。
大きなネズミのモンスター、ダイラットの攻撃が強かったのだ。
ダイラットはたったの3匹。
たったそれだけなのに、凄まじい猛攻なのだ。
俺は前方で2匹を相手にしていた。
「く! つ、強い!! なんだ、ここのネズミは!?」
とても2匹を相手になんかできるか。
「おい! ゼリーヌ! 後衛ばっかりやってんじゃなくてこっちにも参加しろ!!」
「も、申し訳ありません! あ、あたしも苦戦してます!!」
なにぃ!?
たった1匹にメタル斬りのゼリーヌが苦戦だと!?
ここのダンジョンモンスターは強いのか?
いや、もしかして、
「ソモ! 補助魔法はどうした!?」
「既に、攻撃力増強のストレングスを付与していますよ!」
なにぃいい!?
それにしては力が弱い。
いつもならもっと攻撃力があるはずだ!
今日は調子が悪いのか!?
仕方がない、
「防御と速度の補助もせんか!」
「は、はい! ただいま!!」
ったく、使えない女だぜ。
死闘の末。
俺たちは3匹のダイラットを倒した。
「ハァ……ハァ……」
い、一戦目でこんなに苦戦するだと?
一体どういうことだ?
「ダーク様。ここの敵、強くないっスか? 超ヤバい感じなんですけど?」
「うるさい! たまたま苦戦しただけだ! お前は黙って回復魔法を使ってりゃあいいんだよ!!」
「は、はい! すいませんっス!」
ちぃ……。
ついてないぜ。
たまたま、強いダイラットに遭遇してしまうなんてよ。
「よし。みんな回復したな。先に進むぞ」
「「「 ……は、はい 」」」
クソ!
不安そうな顔しやがって!!
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