第8話 巨乳と殺意
マンティス先生が俺を睨むようになった。
彼は高等部の教師なのだけど、その見た目は大きなカマキリで、背丈は俺より少し高いくらい。
カマキリ人という種族だ。
廊下を歩いていても、背中にゾクリと視線を感じて振り向くと彼である。
真っ赤な目で俺をギロリと睨んでくる。
エゲツナールの一件以来、どうにも目の敵にされている。
いやはや、男にまとわり付かれるのは困る。付くなら巨乳美女だけにしてくれよ。
などと思っていると、
「デインさん。宜しければ、今晩、一緒に夕食などいかがでしょうか?」
と、誘ってきたのはエルフの巨乳美女、モーゼリアである。
「どうしたんだい急に?」
「色々、お世話になっているので、そのお礼をしたいと思っているんです」
「別に大したことはしてないよ?」
「い、一杯してくれてますよ……。モンスターから命を助けてもらったことなんて2回もありますし……」
そういえば、彼女は2度もゴブリンキングに襲われたんだったな。
俺が
「それに……。レナンシェアさんの執事さんからお話しを聞きました。遺跡調査の件をデインさんが調べてくれてるって……」
彼女はエゲツナールに騙されて学園長を降格させられたのだ。
俺はその件について調べている。
「黙ってるつもりはなかったんだけどな。余計なことだったかい?」
「そんなことありません! すごく……嬉しいです」
「それなら良かったよ。なんとか君の身の潔白を証明できたらと思っている」
「ありがとうございます。なんだかデインさんには助けてももらってばかりです」
「ははは。気にしないでよ」
「是非、夕食をご馳走させてください!」
まぁ、そんなに言うなら断る理由もないか。
それに彼女のような巨乳美女と2人きりで夕食なんて最高の展開だしな。
そんなわけで、俺たちは王都にあるレストランに行くことになった。
おしゃれな店なんて俺は全く知らないのだが、店の予約から何まで、全部、彼女がやってくれた。
待ち合わせの場所を王都の広場に決める。
今は彼女が来るのを待っているところである。
「お待たせしました」
彼女は白いシルクのドレスで現れた。
スレンダーな体にフィットしたデザイン。その下は長いスリッドの入ったロングスカート。
胸元はパックリと空いており、大きな胸が、これでもか、というほどに露出していた。
「う!」
す、凄まじい威力だ。
目が強力な磁力によって引き寄せられる。
「こういう服装、お嫌いですか?」
そんなことはない。
「いや……。嫌いじゃないよ。似合ってるし」
「良かった! 初めて着るんです。こんな大胆な服」
そう言って顔を赤らめる。
エルフってこういう服を着慣れてそうな感じがするが……。
「初めて?」
「デインさんが喜ぶと思って、少し恥ずかしいですが、思い切って着てきたんです」
お、俺の為に?
「デインさん……。いつも……。その、一部分を凝視されているので……」
しまった。
巨乳を見ているのがバレていたのか!
「ふふふ。今日は、よく見れるように、こういう服を着てきました」
「え? それって……。見て欲しいの?」
彼女は真っ赤な顔のまま、コクンと静かに頷いた。
見て欲しいんかいッ!!
見て欲しいんかいッ!!
大事なことなので2回言いましたよ!
なんだこれ、最高かよ!!
いかん!
スライムのように顔が崩壊する。
本能が理性を侵して
落ち着け俺。
顔を正すんだ!
「じゃあ、行こうか」
「ええ」
彼女は俺の腕を抱いた。
巨乳の感覚が腕に伝わる。
当たってる!
デカい乳が当たってますよモーゼリアさん!
最高かよ!
この日の夕食は生涯記憶に残る楽しい時間だった。
彼女は終始笑顔で、その笑い声は優しかった。
食事を済ました俺たちは、レストランを出た。
さて、このあとはどうしようか?
そう思っていると、またしても彼女は俺の腕を抱いた。
プニィッと巨乳の感覚が俺の腕に伝わる。
うう、柔らかい。
そして、めちゃくちゃ良い匂いだ。
サラサラの金髪が微風で揺れると、ふわっと花の匂いが香る。
それに、彼女の全身からも香水のいい香りがする。
「あっちに公園がありますから、少し歩きませんか?」
「いいね」
彼女は顔を赤らめたまま微笑んだ。
最高の展開かもしれない。
ワクワクが止まらん。
王都内にある公園を歩く。
そこは人気もないひっそりとした場所だった。
ここでキスをするのが大人な展開かもしれない。
などと思っていると、5人の男たちに囲まれた。
「へへへ。綺麗なお姉ちゃんを連れてるじゃねぇか」
やれやれ。
身なりは冒険者って感じだな。
良い雰囲気がぶち壊しだ。
それぞれの
それなりに強いが俺の敵じゃないな。
「俺に絡むのはやめとけよ。後悔するぞ?」
「ククク。後悔するのは貴様の方さ」
そう言って、5人の男は武器を出した。
長剣に短剣、斧、大きな木槌。
はい?
ゴロツキの絡みにしては本格的すぎやしないかい?
「死ねぇええええ!!」
おいおい。
俺はモーゼリアを抱いたまま距離を取った。
「ちょっとここにいてくれ。片付けてくる」
彼女を木の影に置くと、即座に5人の元へと向かう。
奴らは、それぞれの武器を俺の方へと放った。
「喰らえ!! ひゃっはーー!!」
目的は俺の殺害か?
とにかく、相手をしてやるか。
「
俺の拳に黒いオーラが纏う。
その拳のまま、5人の武器を粉砕した。
「「「 ひぃ!! 武器がぁあ!! 」」」
「な、後悔しただろ?」
「こ、この野郎!!」
今度は殴る気か。
俺に素手で攻撃するなんて無謀ですよ。
俺の打撃が奴らを襲う。
「「「 ぐふ…… 」」」
瞬く間に、男たちは地に伏せた。
こいつらは殺し屋だろうか?
俺を殺そうとした理由を知る必要があるな。
「おい。誰の差し金だ?」
「あ、あれ? 俺たちはどうしてここにいるんだ?」
「とぼけるな。俺を殺そうとした癖に」
「あ、あんた誰だ? 痛てて……。なんで俺は怪我をしてるんだ??」
そんな言葉を5人ともが口を揃える。
どうやら、記憶がないらしい。
「デインさん、お怪我はありませんか?」
「ああ、俺は大丈夫だ」
「助けていただき、ありがとうございます」
「いや、こいつらの目的は俺さ」
「デインさんの命を狙ったのですか?」
「うん。理由はわからないけどね」
確実に俺の命を狙っていた。
しかし、記憶はなくなっている。
つまり、
「お前たち、誰かに操られたのか?」
「知らねぇよ! 痛てて……」
モーゼリアは眉を寄せた。
「人を操るスキルを使ったのかもしれませんね」
スキルか。
確かにその可能性があるな。
「しかし、その者らは記憶がないようですし、その形跡を知る術はありませんね」
「そうでもないさ」
「え?」
俺にはできる。
「
この技は、対象が受けた補助の形跡を見ることができる。
探れるのは24時間以内の補助効果だけだが従分だろう。
土竜みたいに掘り当ててやる。
男たちの前には1〜24の数字が浮かび上がる。
その2という欄に星マークがついていた。
「大当たり」
「デインさん。この表示はなんですか?」
「これは、今から2時間前の表示なんだ。星マークはなんらかの補助を受けてたってことだね」
「すごい! そんなことがわかるんですね!」
「それだけじゃないよ。どんな補助を受けていたのかもわかる」
星マークをタップすると「?」マークが出た。
「うーーん」
「?マークですね?」
「魔法なら魔法名が表示されるんだがな。?ってことは俺の知らないスキルだ」
こいつらは、なんらかのスキルを受けて俺を殺そうとしたわけか。
俺を殺そうとするなんて一体誰の差し金だ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます