猫歴47年その2にゃ~
我が輩は猫である。名前はシラタマだ。アホでもアホでもアホでもない!
さっちゃんのアホ三段活用をいまさら返したのは置いておいて、手持ちの金貨の件が解決したのは
しかしながら、我が猫家には大問題が発生していたので、わしは食堂に家族全員を集めて家族会議を開催する。ちなみに居候のベティとかには「来るな!」と言って排除してある。
「インホワって、今年40歳だったよにゃ……」
「そうにゃ。誕生日に、にゃんかいい剣プレゼントしてくれるにゃ?」
「わしのこの顔を見て、誕生日の話をしてるように見えるにゃ?」
「う~ん……うんにゃ」
「違うにゃ! 結婚の話をしたいんにゃ! オニヒメとサクラしか結婚してないんにゃよ~~~!!」
「「「「「にゃっ!?」」」」」
そう。結婚問題だ。我が猫家は見た目が変わらないメンバーばかりなので、発見が遅れてしまったのだ。なのにインホワのヤツ、わしの顔がとぼけてるからって真剣な顔に気付きやがらないとは、ふてぇ野郎だ。
「第二陣は30歳、第三陣も21歳にゃ。誰か結婚する人、いにゃいの~??」
「「「「「あぁ~~~」」」」」
わしの子供は、全員20歳超え。大人なのに、まだ家も出ないでぐうたらしているのだから、わしも涙目だ。
しかし、親が全員揃っている手前、子供たちはずっとモジモジして言い出し辛そうなので、まずはインホワを責めてやる。
「彼女ぐらい、いるんにゃろ?」
「い、いないにゃ……」
「ひょっとして、アレ以降いないにゃ??」
「そうにゃ! ママたちが悪いんだからにゃ!!」
「「「「「あぁ~~~」」」」」
インホワはストーカーウサギと付き合っていたのに、リータたちがモフったせいで「スキスキ」言っていた向こうから別れを切り出されたことが、トラウマになっているらしい。
お母様方も、それは悪いと思っていたみたいだ。
「結婚したいという気持ちはあるんだにゃ?」
「まぁ……長生きだからいつかできるにゃろ」
「いつかじゃイサベレみたいに百年後になっちゃうにゃ!? 見合いにゃ! 見合いしようにゃ。にゃ?」
「お、おうにゃ……」
とりあえずインホワは見合いは承諾してくれたので、次の獲物を物色。すると、24歳になってますます全体的に大きくなったオニタが手を上げていたから発言させる。
「俺もだいぶ貯金も増えたから結婚したい」
「あ、そうだったにゃ。結婚は物入りだからって、わしが止めてたんだったにゃ。彼女とそろそろってことかにゃ?」
「彼女なんていない。いたこともない」
「そうにゃの? お春……」
「にゃっ!」
オニタはモテないのかと思ってお春に聞いてみたら、資料を渡してくれた。ちょっと聞きたかっただけなのに、こんなに調べていたのね……
「学生時代はけっこうモテてるにゃ~ん。その中にタイプの人いにゃかったの?」
「ああ」
「参考までに、どんにゃ子がタイプにゃの?」
「背が低くて髪の毛が長い、母さんみたいな人がいい」
「にゃるほど……」
オニタがマザコンだったので、それ以上言えなくなるわし。お母様方に目で訴えたけど、オニタの相手は代わってくれない。
「ま、結婚相談所に持ち込んでみるにゃ。あ、ベティもけっこう背が低いけど、ベティはダメにゃ?」
「騒音パーマはイヤだ」
「あたしのこと騒音パーマって呼んでたの!?」
そういえばベティも今世は未婚だったと思い出して勧めてみたら、オニタは即拒否。その拒否の仕方が悪かったらしく、排除していたベティがドアを勢いよく開けて入って来た。
「てか、聞き耳立ててたにゃろ?」
「にゃ、にゃんのことかにゃ~?」
「「「ひゅ~」」」
「ノルンもワンヂェンも揃ってるんにゃから、聞き耳立ててたとしか言えないにゃろ!?」
3人が同時にドアの前にいたのだから、目的はそれしかない。出て行こうともせずに、イスに座ったし……
「ベティは結婚しないにゃ? もういい歳にゃろ?」
「あたしは……孫が大きくなってからかな~?」
「ニナは30歳にゃから、もう大きくならないんにゃけど……できるといいにゃ」
「その言い方は何よ!? もっとあたしにも興味持ちなさい!!」
追い出してやろうと結婚の話をしてみたのに、ベティ御年45歳はやっぱりうるさい。ちなみに結婚しない理由は、前回の結婚でイケメンに捨てられたから、二の足を踏んでいるからだとエミリが教えてくれた。
さらにかなり前に、父親をエミリに会わせてやろうと探したら、ハゲ散らかったデブになっていたから会わせるかどうか悩んだらしい。
結局、隠し撮りした写真だけは見せてエミリに判断を任せたら、悩んでいるうちに父親は女に刺されて死んだんだって。そのおかげかどうかわからないけど、エミリは会わなくてよかったと納得しているそうだ。
「んで……ワンヂェンは見合いしたいにゃ?」
ベティは出て行く素振りも見せないので、標的はワンヂェンに移す。
「ノルンちゃんが面白いことになってるって言うから、ちょっと気になっただけにゃ~」
「別にお婆ちゃんだからって、パートナーを諦めることないんにゃよ?」
「だから、ウチは永遠の20歳にゃ~」
「それ、子供たちの目を見て言えるにゃ??」
「うっ!? ママ、冗談言っただけだからにゃ~?」
「どの子のママになったんにゃ!?」
結婚を諦めてしまったワンヂェン御年66歳は、わしの子供の黒モフ組を自分の子供だと思って育てていたらしい。
黒モフ組は、お母様方から「かわいそうな猫だから付き合ってあげて」とお願いされて「ワンヂェンママ」と呼んでいたそうだ……哀れすぎて泣きそうじゃ!
「えっと……ノルンちゃんも結婚したいにゃ?」
「ノルンちゃんはただの付き添いなんだよ。そもそもノルンちゃんは唯一無二の絶対アイドルなんだから、この世の男は釣り合わないんだよ」
「そ、そうにゃんだ。それはありがたいにゃ~」
「なんで感謝されるんだよ??」
ワンヂェンがかわいそうすぎて、ノルンに話を振ったのは大正解。変なことを言って上手くお茶を濁してくれたのであった。
「その他はどうにゃってるの? 彼氏彼女がいる人、挙手にゃ~」
乱入者のせいで話が逸れまくっていたので挙手を求めたけど、誰も上げず。しかし、お母様方がゴニョゴニョと説得したら、第二陣の白猫ニナと第三陣の狸しっぽ黒猫娘シラツユ、遅れて猫耳娘キアラが手を上げた。
「ウソにゃろ……パパは許しにゃせん!!」
「シラタマさんは黙って!!」
「なんのための家族会議ニャー!!」
でも、娘がかわいすぎてわしは大反対。リータとメイバイにめっちゃ怒られて涙目で話を聞いた。
「ニナとシラツユは、相手のプロポーズ待ちにゃんだ~」
「「にゃんで嬉しそうなんにゃ??」」
「それよりも、キアラはマジで言ってるにゃ?」
「本気だけど……ダメ??」
「二次元はちょっとにゃ~~~」
ニナたちは破局の期待ができるから置いておいて、マンガのキャラはいただけない。キアラを三次元に引き戻さなくては!
「要は、王子様系が好きなんにゃろ? そんにゃの、東の国の貴族に腐るほどいるから、さっちゃんに掛け合ってあげるにゃよ?」
「本当!? それなら、剣も使えて魔法も使えて~……」
「ちょっとメモるから待ってにゃ~」
「あーしもイケメン紹介してほしいにゃ~」
「私も金髪イケメンがいいにゃ~」
「彼氏はどうしたにゃ!?」
キアラと話しているのに、ニナとシラツユは乗り換えようとしているので、わしもツッコミで忙しい。好きで付き合ってたんじゃなかったのか……
ひとまず3人から好みのタイプを聞いたら、クシャクシャにしてメモを投げ捨てたくなったけど、メイバイに先の先で奪い取られた。やりそうだとバレていたみたい。
これで大部分の処置は終わったので、関係なさそうな顔をしている狸しっぽ黒猫男ギョクロと狐しっぽ黒猫娘ナツと話をしてみる。
「「仕事が楽しくて……」」
「やっぱりにゃ! お前たちが一番重傷にゃ~~~!!」
量子コンピュータ開発をしていたこの2人が、一番結婚しなさそう。勉強しすぎて色恋沙汰を置き去りにした2人には、パートナーの素晴らしさを説いてお見合いを勧めるわしであった……
「「パパっていっつも怒られてるのに幸せにゃの?」」
「し、幸せですにゃ~」
「「「「「ウソっぽいにゃ……」」」」」
子供たちが結婚しなかったのは、少なからずわしのせいだったかもしれないと思った今日この頃であった。
「あの……リリスちゃんはどうしますか?」
「一旦保留にしようにゃ~」
「それは仕方ないニャー」
獣のお見合いの仕方なんて知るか。いまは人間っぽい子供だけで手一杯。リータとメイバイも仕方ないと諦めてくれるのであったとさ。
その日から、わしは忙しい。さっちゃんに独身貴族のイケメンを……これだと結婚しないヤツみたいだな。貴族の独身男性をピックアップしてくれるように頼み、男性陣は猫市にある結婚相談所に登録。
狐しっぽ黒猫男フユだけは、「まだ21歳だから自分で探したい」と言っていたので尊重する。その他は逃がさないからな!
というわけで、後日、結婚相談所に4人で足を運んだら、パソコンの中に希望者の顔写真とプロフィールがあるというので個別に確認させる。
「「「「多すぎるにゃ~」」」」
けど、すぐにギブアップ。そりゃそうだ。猫の国の王子様がこんな庶民的な機関で募集をしたら、パンクするわな。噂が噂を呼んで、適齢期の女性が押し寄せたらしい……
「にゃあ? インホワのところにもこの子いたんにゃけど、これって重複してにゃい??」
「たぶん、王族なら誰でもいいって人が多いのかと……」
「こっちは誰でもよくないからにゃ! そいつらには1人に絞らせろにゃ~~~!!」
こんなに多くてはお手上げ。スタッフを叱責したら、息子たちを連れて帰るわしであった。
後日、結婚相談所から連絡が来たので顔を出したら、息子たちへのオファーは激減。一桁台まで減っていたから選びやすいけど、減りすぎじゃね?
「にゃあ? 千人以上いたのに、残りはどこに行ったにゃ??」
「こちらです……」
「にゃ? ……これってわしにゃ!?」
「はあ……王妃様が側室を募集していると登録して行きました」
「す、すまないにゃ。なかったことにしてくれにゃ~」
まさかの王様まで登録済み。だから息子たちへのオファーが激減して、王様のわしに一極集中したのだ。
しかし、これはこれでアリな予感。王様より息子と孫を選んでくれたのだから愛が深いのでは?
「そん中から決めたらどうかにゃ~?」
「う~ん……パスにゃ。タイプじゃないにゃ~」
「「うんにゃ~」」
「贅沢言うにゃよ~~~」
残念ながら、ここまで減ってしまうと逆にタイプの子がいないらしい。中にはお婆ちゃんもいたんだとか……
こうしてまた後日来店することになり、わしが登録抹消されたので、程良い感じで女性は割り振られたのであった。
「なんで登録やめてしまうんですか~」
「ウサギ族の側室がほしかったニャー」
「いや、インホワたちの邪魔してたんだから当たり前にゃ~」
もちろんリータやメイバイたちから、わしはブーブー言われたのであったとさ。
やっぱりウサギ族目当てだったんじゃな……
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