妖怪:背中叩鬼
第5話 大きな掌の鬼 その1
水仁との仲が深まった翌日、始業前―――――
白「おっはよ~う。今日は早起きしたぞぉ~~~ぅ。」
挨拶して早々、白鳥使いは大あくびをした。怠惰な彼にとって、遅刻をしなかったことは褒められることだろう。しかしながら、彼に浴びせられたのは称賛の言葉ではなく怒号であった。
鬼「オイィィィッ!!! テメー、どの面下げて来やがった?!
毎日のように遅刻をする、仕事中に大あくび、挙句の果てに儂らに仕事押し付けて急に退勤!!! 仕事舐めとんのか!!!」
鳩「そうですよ!!! いい加減我慢の限界です!!!
昔のよしみでなければ殴りとばしてしまいそうですっ...」
興奮する2人とは対照的に、白鳥使いは瓢々とした態度で返す。
白「うるせぇなぁ~。今日は遅刻してねぇし、出ちまうもんはしょうがねぇじゃ~~~ん。それに、昨日はマジで急用だったんだよ。色々スマンかった!」
水「白鳥使い殿の言うとおりだ。昨日は拙者の用事に同伴してもらった。」
珍しく白鳥使いの擁護をする水仁。
水「まあ、昨日の事は昨日の事。普段の勤務態度の悪さとは別問題であるがな」
そんな事はなかった。
さて、鳩使いと一緒に白鳥使いへ説教する鬼(本物)がいる。
彼の名は
背中叩鬼は事務所の人間(?)の中で最も直情的で、かつ真面目な性格をしている。そのため怠け者の白鳥使いとは反りが合わず、いがみ合うこともしばしばだ。
「白鳥使い殿ぉ^^ お昼ご一緒してヨロシ?」
正午、昼休憩を知らせるチャイムが鳴った直後に、ブリーフ一丁の魔人が白鳥使いに声をかけた。
白「おお! P、だったか? アンタとはあまり喋ったこと無かったなぁ。
まあ、いいぞ。」
P「どもどもぉ^^ では、お隣失礼しますゾ^^ ところでですね...」
隣に座ったPは、ほくそ笑んで白鳥使いに耳打ちした。
白鳥使いもにやけ面で返す。
白「...面白ぇ! その話乗った!!
てかお前、昼飯それで足りんのか?」
P「ええ、ソーセージ3本で十分^^ これこそ紳士の嗜みです^^」
白「?」
一方...
「よう! 頑張ってるな!」
鬼「ああ!? ...何だ
朝から白鳥使いに振り回されて虫の居所が悪い背中叩鬼に、1人のおっさんが声をかけた。
球「白鳥使い、だったか? 俺もあいつは苦手だ。ところで、今日2人で飲み行くか。いつもの業務に加えて、
鬼「...そうだな。いつものアレが終わったら、居酒屋へ向かう。」
背中叩鬼は少し考えて承諾した。この後、彼はまんまと嵌められることとなる。
鬼「よし、これで終わりだ!」
午後6時過ぎ、日課を終えた背中叩鬼は事務所を出ようとしたが、1つのデスクに目が留まった。そのデスクの上には書類が山のように積み上げられており、崩れ落ちた紙は床にも散らばっている。
鬼「何だこりゃ?! 机の上も下も派手に散らかってやがる!
この机は...白鳥使いのか... 全くしょうがねぇ...」
背中叩鬼は呆れた口調で、独り愚痴をこぼした。
鬼「すまん球磨、少々遅れちまった...
...って、はぁ??!! 何でテメーらがここに居る?!」
空の少し暗い時間帯、背中叩鬼は行きつけの居酒屋に遅れて到着した。そこには彼を待っていた球磨の他に、見知った顔が2人、何故か立っていた。
P「何で、と...」
白「言われてもなぁ~www」
状況が全く掴めていない背中叩鬼は困惑して、球磨に視線を送った。
球「すまんな。お前達がいつもいがみ合ってるから、今日くらい腹割って話でもしてもらおうと思って。2人で思う存分飲めよ!!」
P「では我々はお暇させて頂きますゾ^^」
鬼「あっ! おい待て!! 嵌めやがったなお前らぁ!!!」
そう、3人はグルだったのだ。
白「さあ、これで2人きりだ。普段のことは忘れて、酔い潰れるまで話そうぜ」
他に客のいない夜の居酒屋で、相性最悪の2人の飲み会が始まる。
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