第2話 2日目
次の日。
例の公園にひょっこり顔を出した。
あの女の子がもしかしたらいるんじゃないかと思っての行動だった。
水たまりはすっかり蒸発して跡形もなくなり、水たまりのあった場所には当たり前のように女の子の姿はなく、立派な砂のお城の建てられている砂場や汗だく少年の水分補給の水飲み場や順番待ちの列をなしているすべり台、空乃は順繰りに目を通していって、やがて、ぽつんとベンチの上に座っている女の子を見つけた。
相も変わらずつまらなそうな顔をして、地面に着かない足をぶらぶらと揺らしている。揺れている自分の足を一心に見つめて、周囲の光景にまるで興味がないようにまったく周囲に目を配らない。
空乃が近づくと、女の子の足元に空乃の影が落ちる。
それに気づいて、空乃に向かって女の子が顔を上げる。
「こんにちは。どうだった、私の一押しの芸人さんは? 私よりもずっと面白かったでしょ。私で期待値を下げて、それから芸人さんのコントで期待以上の面白さを提供する。こういうのを前振りっていうんだよ。いや、違うのかな? とにかく私はすごく好きなんだ。サンドイッチマン」
空乃は、昨日の失敗なんてなにもなかったような笑顔で言った。
女の子が答える。
「あんまり笑えなかった」
「えーどうして」
空乃は本気で不思議に思った。あのコントを見て、あんまり笑えなかったなんて言う人間がいるとは思ってもみなかったのだ。
「なんか台本に従ってこういうことをやってるんだなって思っちゃうと、あんまり普通の目で見れないっていうか、そんな感じ」
「うーん、作り物みたいな感じがしちゃうと冷めちゃうみたいなものかな」
「たぶん、そう」
「だったらバラエティ番組はどうかな。コントとは違った芸人さんたちのアドリブの面白さがあると思うよ」
「じゃあ見てみる」
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