第22話
「ちょっと、今から着替えるから覗かないでね!」
「誰が覗くか!」
「思春期の男子は女子の……」
「もううるさいから早く着替えろ!」
これがどんなシチュエーションなのかというと、僕の家で”家族”として生活を始めたあかりが文句ばかり言っている、ということだった。
いくら兄妹とは言え、もともと一緒に住んでなかった思春期の男女が一緒に住み始めるというのは無茶な話だ。
先日、あかりが「私は晴希の双子の妹だ」と告白してきて、再び”家族”に戻ったわけだが、うまく行かないことだらけだった。
箇条書きにすると……
①父親がびっくりしすぎて状況を理解しなかった。
②父親があかりを歓迎するあまり僕にあれしろこれしろ(特に家事)と色々と押し付けてくる
③あかりは僕が覗くという疑惑をもっている。
などなどだった。
「あ、そうだ。今日はご飯、何がいい?」
いいことといえばこれくらいだ。
それは、自分でご飯を作らなくてもすむということだ。
「うーん、じゃあね、とんかつと、ローストビーフと、ステーキと、ケンタッキーと……」
「おい、ちょっとは遠慮というものをしなさい。その食費、君のお財布から出すんだからね? ていうか、最後のケンタッキーは作るものじゃないし。それに第一、そんなに食べたら太るよ」
え、食費も負担するの?しかも父親じゃなくて僕?
それに、一つ反論したいことがある。
「それなら最近あかりが昼食で食べてる、あの、なんだっけ、パンにいちごとか生クリームとか入っているやつ。アレのほうが太ると思うけど」
「余計なお世話ですっ」
あかりはほっぺを膨らませてぷいっと向こうを向いた。
あーあ。せっかくの美人顔が台無しじゃないか。
「じゃあ、夕食はグラタンでいい?」
肉要素ないじゃねーか!
まあ、美味しい料理を作ってもらえるだけありがたいと思っていただくとしますか……。
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