第18話
気が重い……。宇宙全部の星を集めてもそれよりも重い……。
なんと、この世で一番のカオスな状態が生まれてしまった。
それは……、
①僕は美空とデートの約束をした。
②準備は順調に進んだので、家を出ようとしていると、僕の本物の幼馴染を名乗るあかりが家に押しかけてきた。
③家に来た、あかりの要求は、僕と美空のデートに同行することだった。
いやー、カオスですね。これほどカオスな状況は前代未聞だと思いますね、はい。
なんて他人事みたいに言っていられる時間はすぐに終わりを迎えた。
もうすでに来ていた美空が、「あ、晴希くっ……」
と言いかけて硬直した。
それも無理もない。僕の隣には、あかりもいたのだから。
「えっと、……晴希くん、これは、どういう……?」
優しい美空は僕を攻めるわけではなかった。その代わり、人一倍に混乱しやすいようだった。
「えっと、ごめんね、なんか……」
僕が説明しようと言葉を選んでいたらあかりが口を挟んできた。
「こんにちは。うちの晴希がいつもお世話になってます、端爪さん」
これはこれは満面の笑みだった。ただ、僕は気付いていた。あかりの目がこれっぽっちも笑っていないことに。
これは、鈍感な美空でも流石に気付いたらしい。
「え、えっと、水野さんがなぜここに? それに、『うちの晴希』ってどういうこと……?」
もはや怯えた美空の顔は白を通り越して青かった。
でも……、そんな美空も可愛い!!
「実は、晴希と私は幼馴染なの。だから、今日も遊ぼうと思って家に行ったら、晴希が端爪さんと遊ぶって言ってたから、ついてきちゃったの」
ちょっ、色々誤解がありすぎ!
「いや、そもそも僕は美空ちゃんと遊ぶ予定だったし、あかりが家に来たのだって初……」
「晴希」
あかりに呼びかけられ、あかりの方を見ると……、
『なにあんた変なこと言ってるの? そんなことしたらだめでしょ。あんたは何も口を挟むな。だまってろ』
というようなことが伝わってきた。
口にこそ出していないが、目は口ほどに物を言うという言葉もある。
「さあ、じゃあ3人で遊ぼうか! 最初はどこ行く? やっぱりでもゲーセンだよね! そこでいい?」
完全にあかりのペースだった。
僕はいいけど、美空は大丈夫かな……?
「美空ちゃん、ゲーセンで大丈夫そう?」
「あ、うん。そうしよう」
もーう!!!
初デート、台無しじゃねぇか!
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