第17話

ピーンポーン。


え、誰だ?このクソ大事なときに……。


(自分で言うのもあれだが)自分にしては珍しく苛立ちを感じる。


出てみるとなんと……、


「こんにちは! 遊びに来ちゃった!」


という満面の笑みを浮かべた、あかりがいたのだった。


「えええええええええええええ!?!?!?!?!?!?」


僕は驚きと混乱と絶望のあまり発狂する。


「え、どうしてそんなに驚くの? だって、幼馴染が予約なしに遊びに来るのなんて、別に普通じゃない」


いやいや、それが本物の幼馴染だったらね。

だって、この人は僕の幼馴染カッコ仮だからね?


「『それが本物の幼馴染だったらね』って顔してるね? 私達、本物の幼馴染だよ?」


この人、僕の心の中読めるんか?

前も同じようなことあったけど……。


それに、一番僕が感じている疑問はそこじゃない。


「なんで僕の家知ってるの? 教えたことないよね?」


「うん。この前、家知りたくて、晴希の生徒手帳勝手に見たんだ!」


おいおいおい、さっきコンビニ言ったんだ!みたいな軽いノリで言うのやめろ、それ。

結構、犯罪行為に値しません?これ。


って、あかりとぺちゃくちゃ喋ってる場合でもないし、ましてや遊んでいる場合でもない。なぜなら、今日は美空との楽しい楽しいデートなのだから!

ここは丁寧にお断りさせていただかなければ。


「あのさ、せっかく来てもらって悪いんだけど、今日は人と会う約束があるから、今日のところは帰ってもらってもいい?」


「なにそれ。そんなの聞いてないよ」


あなたにいちいち報告する義務はない気がするけど。


どうしよう。現在、時刻は9時52分。そろそろ出ないと、本当にまずい……。


「ごめん、時間ないからもう行くね。だから、今日は帰ってね」


そう言って強引に玄関から出ると、あかりは僕のコートのポケットあたりを掴んだ。


「待ってよ。そんな、晴希が隠したがるようなお出かけ、私も付いていくに決まってるじゃない」


うそだろ!?!?

まじのまじのまじのまじのまじで困る。


「ちょっと、それは困るかな……」


「あなたが困る困らないは関係ない。あなたに決定権はない」


奴隷か!?僕は。


時刻は9時55分。もうなんでもいいから行くしかない。


「分かった! 分かったからもう行くよ」


「そうこなくっちゃ」

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