第16話
ピピピピッ!ピピピピッ!ピピピピッ!ピピピピッ!……
うるっさいな……。
なんでこんな時間に目覚ましなんか鳴ってるんだよ。
まだ外は暗いのに……。
って、そうだ!今日は待ちに待った、美空とのデートの日だ!
跳ね起きて目覚ましを止める。
時刻は5時31分53秒。
目覚ましは5時30分0秒にセットした。だから俺は1分53秒も目覚ましを鳴らせ続けたということか。
いつも、寝起きがいいことには自信があったのに、俺としたことが……。
って、そんなことはどうでもいい。
なぜ普段は平日だろうが休日だろうがどんなときでも6時30分ぴったりに起きる俺がこんなに早く起きたかというと、美空とのデートの準備の為だった。
元陰キャでモブ男の僕は、”おしゃれ”というものを理解していない。だから準備に約4時間もとったのだ。
と、起きてみたものの……、
いや、まじで何すればいいんだ?
そもそも何をすればいいかさえわからない元陰キャでモブ男であった。
まず髪の毛をとかしてみる……?
家に埋まっていたくしを発掘してきてとかしてみる。
うーん、なんか変化したかな?
まあ、やらないよりはまし。そう思ってとかし続けた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そんなこんなで準備を終えると、もうすでに9時45分を回っていた。
早めに起きてよかったとつくづく感じた。
よし、デートというものは、男性が先に行って待ってて、女の子が遅れてきて「あ、待った〜?」なんて言って、男性が「いま来たところだよ」何ていう見えきった嘘をつく。
だから、そろそろ出るか。
その”悲劇”が起こったのは、ちょうど、僕がそんなことを考えていた頃だった。
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