第13話

「おはよう!」


「おはよ」


入学式の次の日、僕はまた端爪美空に挨拶された。

ああ、今日も可愛いなぁ。


可愛いと思っていることには変わりない。だが、昨日一緒に帰ったおかげか、相手の明るい性格のおかげなのか、まあそれはどちらでもいいが、結果として緊張せずに話せるようになったので良かった。


「そうだ。あのさ、昨日、名前を聞くの忘れちゃったからさ、教えてくれない?」


「いいけど、名簿に変えてあったけど見てない? ……まあいいや。早坂晴希。」


「早坂くんか。うーん、やっぱり晴希くんのほうがしっくり来るな。そう呼んでいい?」


やった!早くも下の名前呼びゲットだぜ!

もちろん、答えはOKだった。


「いいよ。僕は名簿見て名前知っちゃったから。僕も下の名前で呼んでいい?」


「いいよー」


「美空さん、でいい?」


「うーん、じゃあ、ちゃんってガラじゃないから、ちゃんで!」


矛盾の極み!?


しかも、高校生にもなって、同級生のことちゃん付けか……。

まあいっか。美空ちゃん、うん。案外、しっくり来るかもしれない。


「じゃあ、美空ちゃんね。美空ちゃん、ラインとかやってる?」


よし、これぐらいはやらねば。


「うん、やってるよ。交換する?」


「したい」


よし。これで仲良くなること間違いなしだな。

……ってあれ?なんかまた女子の視線を感じる……。

かと思ったらガタッという音がしてみんなが一斉にこちらに来た。


なになになになに!?!?!?!?


「早坂くんだよね!? 私もライン交換したい!」「待って、私のほうが先に来ていたよ!だから私が先!」「早坂くん、私とも交換しよう!」


え、何これ!?


「い、いい……ですけど……」


「「「やったー!」」」


「早坂、俺らも! お前みたいな良さそうなやつとは友達になりたい! 交換しようぜ!」


え、なんでこんなにみんなライン交換したがってくるんだ?

だって、今の僕のラインの友達は、父親(母親は離婚していていないからいない)、中学時代の友達一人、そしてあかりの計3名だけだった。

それが、美空も含めて、1、2、3、4、……、23人も増えるなんて!

これで僕のラインの友だち数がいっきに爆上がりした。


僕とラインを交換しながら美空は言った。


「晴希くん、良かったね。やっぱりイケメンは違うなぁ」


え、いけめん?

まさか、陰キャでモブ男を卒業した早坂晴希は、もはやイケメンと化してしまったのか?


騒がしいクラスとは対照的に、昨日とは違い、席にぽつんと座ってこちらをじっと見てくるあかりがいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る