第14話

「晴希」


背後から声をかけてきたのはあかりだった。


「何?」


最近は美空とばかり話していたから、あかりとはあまり関わりがなかった。

なんか、あかりは幼馴染、美空は(今の所)仲の良い友達と、元陰キャでモブ男の分際で、両手に花だった。


「最近、端爪さんと仲いいよね。あんまり女子にいきなり手を出さないほうがいいよ。端爪さんだって迷惑してるよ」


「そんなことないよ。だって、昨日だってライン交換してくれたし、ラインで夜まで会話したし」


そう言うと、あかりは一瞬、ムッとしたような表情を見せた。

え、これが嫉妬”というやつか?って、もと陰キャでモブ男の分際で生意気か。


「別に、いいんだけど、晴希の幼馴染は私であって、端爪さんじゃないからね。それだけは覚えておいて」


いや、正確には幼馴染ではなく、ニセ幼馴染だけどね。


「分かってるよ。美空ちゃんはただのと、友達だよ」


本当は友達だと言いたくなかった。友達じゃなくて……、その……か、かのj……。


「分かってるよ、晴希が端爪さんに一目惚れしたことくらい。幼馴染を舐めてはいかん」


え、バレてるのか!?

そんなにわかりやすかったかな……?


これはもしかすると美空にもバレている可能性もある。


すると、僕の心を見抜いたかのようにあかりが言った。


「あ、端爪さんにはバレてないと思うよ。だって、私が見た感じ、あの子は超鈍感そうだから」


ああそうなんだ、よかった……って、なんでそんなこと分かるんだ?クラス一の美少女の正体は実は魔術師だったり?


「あのさ、私は別に晴希とそういう関係になりたいとは思っていないけど、私と晴希は友達なんだから、放って置かないでよ」 


そういうものか。

それは確かに悪い事したな。


「分かった。ごめんね」


「まあ、私は2人の恋の行方を妨げるような真似はしないから、協力できることはするよ。だって、人様の恋場を邪魔したら、牛に惹かれて死んじゃうんでしょ」


「いや、それ、馬だと思うけど?」


「どっちでもいいでしょ! それよりもさ、晴希、陰キャでモブ男卒業したと思ったらモテ男に一気に変化しちゃったじゃんもうすでに告白された数=年齢とか?」


「いや流石にまだ高校入学3日目だよ? それにそんなにモテてないし。そっちこそ、高校入学してからだけで二桁行ったの?」


「まだ3回」


いや、3回!?

まあ、僕も2回だけど。

僕の場合はそれが人生の中で告られた数だけどね。


「あ、晴希くーん! 一緒にご飯食べよー!」


毎秒ずっと可愛い美空の登場だ。


「あ、いいよー!」


「じゃあね、頑張ってね」


そう言ってあかりは去っていった。

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