第4話

「お、お邪魔します…」


クラス一の美少女こと、水野あかりの家は高級マンションだった。

さすがクラス一の美少女…。


こんな場所に陰キャでモブ男の僕が入り込むことなんて、世間様は許してくれるのだろうか。


「そこ、私の部屋だから。適当に座って待ってて。

…そうだ。飲み物、麦茶でいい?」


なんと、飲み物まで出していただけるのか。

こんなことがあっていいのか、本当に疑問に思う。


「えっとね、まずは数学かな。式の計算とか方程式とかはいいんだけど、円とか三平方の定理とか、まじでわかんないからそこから教えてほしいな」


麦茶をお盆に置いて持ってきながら、水野あかりは言った。


数学なら大丈夫だと思った。

そこでまず一安心。


「えっとですね、まず、円の性質に…」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あぁっ! もう、疲れたぁ〜。一回休憩しない?」


「まださっきしたばっかりですよ。とりあえず、ここまでやってから考えましょう」


「えぇっ!? 早坂くんのケチ…」


水野あかりはさっきからこんな調子で、すぐに休憩、休憩って言っている。

まったく、そっちから勉強教えてって誘ってきたというのに…。


「ねえ、それよりさあ、これやんない?」


そう言って彼女が僕に差し出してきたのは、トランプだった。

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