第238話・赤心
「
猛々しい武人の声が木霊する。それは、
この
この、お互いを尊敬しあうというのは、議論が白熱した時でも上手く会議を回す潤滑剤になるのだ。
「それに関しては私も同意です。現段階において、人が混乱を起こさないかは専門家として
天孫として数回に渡り天皇として政務に携わった
妻であるからこそ、それを咄嗟に思い出せるのだ。贔屓になってしまう部分は、他の神でバランスをとれば良い話である。
「私はすぐにどうとは申せません。クー子殿の放送活動の一部で良いので、見せていただきたい。それから、我々と関わってくださる人々にお伺いも立てましょう。今人である彼らこそ、最も偉大な専門家です」
この空気がピリリと締まった会議の場で、ポンコツオンパレードの放送アーカイブを晒されてしまう。ただでさえやらかしているのに、さらに追い打ちだ。
とはいえ、真っ当すぎて反論ができない。クー子はダラダラと冷や汗を流すことしかできなかったのだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
上映会は終わり、空気はすっかり弛緩していた。クー子のポンコツが、彼女をみる人々の行儀の良さが、これはあまり深刻になって議論することではないと告げていたのだ。
「いやぁ……こりゃ楽しい! 人の子の妙なる言葉回し、まことあっぱれだ!」
「ふふっ、これは大丈夫でしょう! 一応お伺いの手紙は返信法を添えて神社に送りましたが……。これは……」
混乱が多少起こったとしても、その混乱も含めて人々が楽しんでくれそうな予感がする
「ですね!」
「うぅ……穴があったら入りたい……。むしろ閉じこもりたい……」
クー子はその公開処刑にすっかり意気消沈してしまった。
「岩戸開く?」
それをからかう
「誇りなさいな。とても楽しく拝見しましたよ!」
基本的に
「では、
神々はすっかり和やか、ドンチャン綺麗事モードに回帰した。
「「「賛成ー!!」」」
皆、食事を再開する。酒こそ飲まないものの、宴会の雰囲気である。
「恥ずかしい……」
ただ、クー子だけは顔を真っ赤にするばかり。
しかし無情にも会議は進んでいく。
「本日出席してくれている、
「私から……。彼女に、道先を伏してお頼み致します。許されぬ事をしたとは重々承知、されど、更生の機会を与えてもらいたく」
だが、それを許せるのは
「クー子……いい?」
「あなたが信じる道を行くべきだよ。私はクルムが許すなら、
クー子はあらかじめ、そう決めていた。
「ん!」
「あなたは苦しんだ……。好きな人と会えない……苦しい! でも……八つ当たり……悲しい!」
「もっともです。心からお詫びします」
「わかったなら……
神の体罰は、禊である。音と衝撃により、自らを咎める心を祓い、次に進めという合図を送るのだ。
「はい!」
よって、それは許された合図になる。
「心と向き合う、立派な
「彼女が見つけた道を、
存外に難しいもので、自らの醜さにもしっかりと目を向けなくてはいけない。この最後の道を見つけづらくしていたのは、善く在ろうという心だ。善く在りたいがために、心はそれ自体の醜悪さから目を背けてしまうのだ。誰だって善人が好きである。
醜悪さに惑い、もがき苦しみながら進んだ、
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